冷え症の人には、貧血や低血圧の人が多いとも言われています。
そして、貧血や低血圧の人にも冷え症の人が多いと言われています。
冷え症と、貧血、低血圧の間には相関関係があるのでしょうか?
いずれも、抜本的な改善をはかるには、体質改善に努めることが重要です。
そこで、今回は、冷え症と貧血、低血圧についてお伝えします。
■冷え症の原因は、自律神経の乱れによる血行不良!
血液には、酸素や栄養分を運んで体温を一定に保つ働きがあるため、血行が悪くなると手足の先まで血液が届かずに、冷え症になってしまいます。
この血行不良は、主に自律神経の乱れによって引き起こされると考えられています。
ストレスや、ホルモンバランスなどが崩れて自律神経のバランスが乱れると、基本的に交感神経が過剰に働き、全身の筋肉が無意識の内に緊張します。
必要以上に「全身に力が入っている」状態で、緊張感が続くと、筋肉の近辺を通る血管や筋内部の毛細血管の血流が悪くなり、内臓への栄養&酸素供給がおろそかになってしまいます。
このような状態が長く続くと、結果として体は血行不良の状態が続くことになり、各種ホルモンの分泌や体温調整などにも支障をきたすことになるのです。
つまり、自律神経が乱れることが、冷え症の最も大きな原因と言えるのです。
また、冷え症の人には、同時に貧血や低血圧になっている人も多いと言われています。
そこで、冷え症と貧血、低血圧との関係について、見てみましょう。
■貧血の症状とは?
貧血とは、血液中の赤血球や赤血球に含まれるヘモグロビンの量が正常値よりも少ない状態を言います。
具体的には、ヘモグロビンの数値が女性は12g/dl以下、男性は13g/dl以下の場合に貧血と診断されます。
体の細胞は、血液中の栄養素や酸素を利用して熱エネルギーを産生します。
ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割があり、不足すると、酸素や栄養素を運ぶ働きに支障が出て、細胞のエネルギーの産生にも悪影響を及ぼします。
その結果、脳や体が酸素不足になって、動悸や息切れ、体のだるさ、食欲不振、めまいや立ちくらみ、肩こり、腰痛、手足の冷え、不眠、皮膚やツメの異常、イライラなどの症状が現れます。
赤血球やヘモグロビンの減少を放っておくと、必要な酸素が全身に行き渡らずに、心臓に大きな負担をかけることになります。
結果として体力不足を招き、疲れやすく、手足が冷える状態を招いてしまうのです。
そのため、貧血の人には冷え症が多いとも言えますが、逆に冷え症の人には貧血が多いとも言えるので、両者は相関関係にあると言って良いでしょう。
■貧血の原因は・・・、鉄分の不足!
貧血には、様々な原因があります。
赤血球を作るのに必要な鉄分、ビタミンB12、ビタミンB群の一種である葉酸などの栄養素が不足したり、出血性胃炎、痔、白血病やガンなど重い病気が原因となっている場合もあります。
一般的には、鉄分が不足する事で起こる鉄欠乏性貧血が多いようです。
鉄分は、体の中で貯蔵鉄として蓄えられ、毎日そこから消費されるので、食事でしっかりと鉄分を補わなければなりません。
しかし、鉄分はとても吸収しにくい栄養素なので、徐々に鉄分が不足していく傾向にあります。
また、女性は、生理や.妊娠・出産、ダイエット志向による食事の制限などによって、鉄分が不足しがちです
さらに、激しい運動、睡眠不足、ストレスがなどが貧血を招いたり、悪化させる原因になります。
■貧血と低血圧の違いは?
低血圧は、朝起きてすぐに測定した基礎血圧の最大値が100mm Hg未満と定義されています。
特に女性に多いのが、通勤電車などで長時間立っていて気分が悪くなる起立性低血圧で、下半身に溜った血液を心臓に押し上げる力が弱く、脳に血液が十分回らないことで起こります。
貧血は、血液中のヘモグロビンの量が減少していて、血液が薄い状態です。
一方、低血圧は、心臓から押し出された血液が血管の壁を内側から押すポンプ作用が弱くなり、血液を送る力が低下して血液の流れが遅くなっている状態です。
低血圧で血液を送り出す力が不足していると、血液がドロドロになりがちで、血行不良になって、冷え症の原因にもなります。
低血圧は、遺伝的な体質による原因が大きいとも考えられますが、冷え症や貧血、高血圧、糖尿病などと同様に、生活習慣の乱れによる影響の方が大きいと考えられます。
■冷え症を改善するには?
冷え症の抜本的な改善をはかるには、まず全身の血行を良くすることが第一です。
血行障害のメカニズムについて考えなければならないのが、冒頭にも触れた自律神経との関係です。
なぜなら、自律神経は体温調節に関わる部分だからです。
私たちの体は、発汗や毛穴の開閉、エネルギーの代謝、筋肉の震えなどによって寒い時には熱を産生し、暑い時には熱を放出しています。
こうした一連の働きにより、体温を一定に保つことができるわけですが、この調節を行っているのが交感神経と副交感神経からなる自律神経です。
従って、何らかの理由で自律神経が乱れ、体温調節がうまく行われなくなると、冷え症の症状が表れてきます。
・生活習慣の改善が基本に
冷え症を改善するためには、自律神経を乱すような生活を見直し、そのうえで体を冷やさないように工夫すること、エネルギーの産生につながるように栄養バランスの取れた食事を摂ることなどが大切になります。
さらに、ストレスを溜めないように、リラックスすることも冷え症改善に必要になります。
結局のところ、冷え症も貧血も低血圧も、その改善のためには、食生活・運動・睡眠等々の基本的な生活習慣の改善やストレス対策も含めて、「心身の健康」に向けて幅広くアプローチしていくことがより必要になるのです。
■冷え症・貧血を改善するには、食生活から。
冷え症と共に、特に貧血を改善するには、まず栄養バランスのよい食事を規則正しく摂ることが基本になります。
特に、体を温める食材をとり、冷たいものを摂り過ぎない、そして、 鉄分、ビタミンB12、葉酸といった赤血球を作るのに必要な栄養素を豊富に含んだ食材を摂るのが重要です。
鉄分、特にヘム鉄という吸収の良い鉄分が多く含まれた食品を積極的に摂りましょう。
例えば、レバー、牛肉、レバー、大豆、カツオなど赤身の魚に鉄分が多く含まれています。
また、鉄の吸収を高めるビタミンCが多く含まれている緑黄色野菜も併せて摂るようにしましょう。
ビタミン12はレバー、魚介類、チーズ、卵に、葉酸はホウレンソウ、アスパラガス、ブロッコリー、納豆などに多く含まれます。
貧血を治すには時間がかかるので、最低でも3ヵ月は摂り続けることをおすすめします。
同時に、海藻類、ビタミンの多いタンパク質、野菜、生姜など体が温まる食材を摂取することが大切です。
また、調味料は、なるべく精製されたものより、天然塩や黒砂糖といった天然物の方が、ミネラル分が豊富で栄養価が高いので、おすすめです。
■日常生活の工夫が大事!
・適度な運動をしよう
現代人は、とかく運動不足になりがちです。
せめて、日常生活の中でも取り入れられる「20分以上」のウォーキングや有酸素運動を始めましょう。
ウォーキングの時のポイント
・背筋を伸ばし、肩の力を抜く。
・股関節の前側をしっかり伸ばして、後ろ脚でしっかり蹴り出す。
・進行方向に対して、おへそがぶれないように歩く。
・入浴をする
シャワーですませるのではなく、湯船に浸かってゆっくりと落ちついた時間を過ごすと、全身の血行が非常に良くなります。
・衣服の工夫
ポイントは3つです。すなわち、
・締めつける下着は着ない。
・腰から下を冷やさないように、靴下や腹巻きをする。
・寒さに我慢せず、薄着をせずに重ね着をする。
いかがですか。
冷え症や貧血・低血圧を改善するために気を付けるべきことに、難しいことは何一つありません。
普段から、規則正しい生活、すなわち栄養バランスの取れた食生活と適度の運動などを心掛けるだけで、健康は維持・増進できるのです。
とは言うものの、「言うは易し、するは難し」で、それを実行し続けるのが難しいのですけれどもね・・・。