これぞ、本当の「聞く力」!?…、愚痴を聞いてもらうだけで、病が治る!?

昔から、「病は気から」とよく言われてきました。実際、「プラシーボ(偽薬)効果」と言って、有効成分が含まれていない薬剤(ニセ薬、プラセボとも言われる)によって、病状の改善や副作用の出現が見られることが、医学界では実証されてきました。

例えば、腹痛を訴える患者の中には、本当はどこも悪いところはないのに、単なる「気のせい」で過激に心配する人がいたりします。

そのような場合、医師は、患者を安心させるために、ただの小麦粉を「よく効く薬」と称して処方する場合があります。

すると、あら不思議、そのニセ薬を服用した途端、その患者は、腹痛が治ったと大喜び。

さらに、本当の腹痛であっても、同様のニセ薬で治ってしまうことがあるので、尚さら驚きです。

こうした「プラシーボ効果」が起こる理由は明らかになっていませんが、暗示自然治癒力などが背景にあると考えられています。 

すなわち、患者が、医師を全面的に信頼している場合、まさに「信じる者は救われる」境地であるといって良いでしょう。

そこで、今回は、同様の理屈で、患者の話を「聞くだけ」で、病が治ったという事例について、ご紹介します。

患者の話を「聞く」だけで、病を治す名物ドクター!

かつて、都心にあるクリニックに、「伝説のドクター」と呼ばれた名物ドクターがいました。

何しろ、「最近、どうも体の調子が良くないから、ちよつと、あの先生に診てもらって来るとするか」、こう思い立った時点で、大半の患者の病気はすでに50%は治っているというのです。

 

 

実際に、そのドクターを訪ね、顔を合わせて、あれこれ症状を訴えているうちに、90%以上治ってしまうのだ、とも言われています。

そして、そのドクターがアドバイスと薬で対処するのは、残り数%分でしかない、というのです。

都心の商店街、オフィス街のど真ん中というクリニックの地理的条件と、ドクターのユニークな人柄に惹かれてか、商店主から企業の経営者、エリート・ビジネスマンから型破りの若手実業家、芸能人、ちょっとはみ出し気味のサービス業や自由業の人まで、実に様々な人達が会いに来るそうです。

彼らに共通するのは、ただ一つ。常に”忙しい”人たちだということです。

忙しい人たちですから、ちょっとした風邪や腹痛程度で仕事を休むわけにはいきません。

この、「何としてでも治そう」と考える人たちの治りは早いと、そのドクターは語っていました。

乱暴に言えば、そう考える人たちの軽い風邪や腹痛なら、放っておいても時問さえかければ(休養するだけで)治る程度のものかも知れません。

そういう人たちが、忙しい時間を縫って、ドクターの顔を見に来るのは、それなりの理由があるからでしょう。

このドクターにかかると、「風邪をひいた?そりゃあ良かった!」ということになるそうです。

「良かった、良かった」とは、無論ドクターの信念のような言葉です。「ストレスが体の症状となって現れることによって、心身のバランスが崩れないですむ」からだと説明します。

確かに、「病は気から」と言われるように、現代人の病は、その原因の大半がストレスによるものだとも言われています。

かかりつけのドクターに、日頃溜った不平不満、うっぷんや愚痴をこぼすことによって、ストレスが発散され、心身がスッキリするのでしょう。

とかく競争社会に生きる人たちは、けっして他人に弱みを見せてはならないというプレッシャーを自覚している場合が多いのです。

そんな時に、黙って愚痴を聞いてくれる、信頼できる相手がいるだけでも、心が軽くなるものです。

患者の話を聞いている間、ドクターは、いつも優しい表情で、軽く相づちを打つだけなのです。

まさに、ドクターの「聞く力」と患者の「自ら治そうという強い意思・気力」の相乗効果によって、病に打ち克つ免疫力が活性化し、げん氣を取り戻すのでしょう。

患者は、いつでも歓迎される。

ドクターからしてみれば、軽い病気になってくれたお陰で、また、こうして「会って話ができる」という、ドクター自身の喜びも、ほんの少しは入っているらしいのです。

つまり、患者さんは、いつでも歓迎されるのです。

人は、自分が「相手に歓迎されている」ということが分かると、心が勇気づけられ、自信が付いて、前向きになれるのです。

私たちは、いつ何時訪れても、必ず歓迎してくれる人や場所を持っているでしょうか?

人によっては、行きつけの飲み屋のマスターなどが、ひょっとするとその役割を果たしているのかも知れません。

いつでも気軽に話を聞いてくれる人や医者、願わくば会うだけでホッとできる人を友人に持つことは、心の持ち方やモティベーションに大きな影響を与えると思われるのです。