お風呂好きな日本人は、サウナも同じくらい好きですね。
温泉やスーパー銭湯に行った時も、サウナが付いてないと、何となく物足りなく感じる人が多いようです。
約2,000年前にフィンランドで発祥した「サウナ」は、温泉大国・日本ではもちろん、世界各国で健康法の一つとして人気です。
「疲れたときは、サウナで汗を流して、さっぱりしよう!」という人が多いのですが、本当に、サウナって、体に良いのでしょうか?
温泉や銭湯によくあるサウナは、温度80~120℃、湿度10~30%ほどの「ドライサウナ(乾燥熱浴)」と呼ばれるものが中心です。
確かに、ドライサウナに入ると、体中の毛穴が拡がり、体内の老廃物を汗とともに排出し、爽快感が得られます。
さらに、「ドライサウナ5分+水風呂1分」をセットで「温冷交代浴」をすると、血行が改善され、疲労回復に加えて反射神経や筋肉の瞬発力なども蘇り、自律神経の乱れも調整できると言われています。
しかし、ドライサウナには、実は大きな落とし穴があるのです。
■ドライサウナは、脱水症と脳・心臓の血管障害に注意!
100度近い室内で汗をかくと、急激に発汗するため体に必要なナトリウム、カリウム、カルシウムなどの必須ミネラルが汗とともに体の外に出ていってしまいます。
さらに、多量に汗をかいて脱水症状になり、血液がドロドロになるので、血栓ができやすく、脳や心臓に梗塞が起きやすくなるのです。
また、サウナの後に冷水に入るのも体には良くありません。
血管が拡がって汗が出て温まった後に冷たい水に入ると、水圧がかかるのと寒冷刺激によってダブル・トリプルで血管系・特に心臓系・腎機能、交感神経系に悪影響を与えます。
特に、高齢者には最悪です。
熱いサウナからいきなり冷たい水風呂に飛び込む方が時折見受けられますが、これはマナー違反であるだけでなく、心臓への負担が非常に大きく、血圧が急激に上昇し、不整脈や狭心症につながる場合もあるのです。
サウナから出たら、まずシャワーで汗を流してから水風呂に入りましょう。医学的には30度くらいのぬるま湯がおすすめです。これでも十分冷たく感じます。
フィンランドでは、サウナ浴とクールダウンを3回、4回、5回と繰り返すのが一般的だそうですが、医学的には一度の入浴につき2回くらいにとどめておくのが安全とされています。
また、ドライサウナに、「やせたい」「美肌になりたい」と過度の期待をかけるのは、残念ながら無理があります。
たくさん汗をかけば、その分体重が減るのはごく当たり前です。
サウナ入浴後に体重を計ると、1キロくらいは減っているものです。しかし、これは、水分が減っただけで、脂肪が減少したわけではありません。
入浴後は水分の補給が必要ですから、減っているのは一時的に過ぎず、水分を補給すれば元に戻ってしまいます。サウナだけでやせようとするのは錯覚です。
また、高温で汗をかいて皮下の老廃物を排出することで、美肌になるような気もしますが、ドライサウナでは、お肌も乾いてしまいますね。
■サウナに入るなら、ミストサウナがおすすめ!
それでもサウナに入りたいという場合は、どうしたらよいでしょうか?
実は、40~45度の低温サウナでも湿度が100%だと、余り強くない刺激で汗は十分出ます。
高齢者や女性にとって、サウナとして望ましいのは45度前後くらいの湿式(ミスト)サウナです。
これが一番安全だと言えるでしょう。さらにメントールやローズマリーなどアロマを加えることによってリラックス効果も出ます。
湿式(ミスト)サウナなら、40~50度で10分~15分をおススメします。
どうしてもさっぱり感を味わいたければ、サウナ後に28~30度のシャワーを浴びるだけでもよいのです。
シャワーをかけながら足首~ひざから下くらいを冷たい水に入れれば、水圧が全身にあまりかからないので、心臓や交感神経系にあまり無理をかけずに、汗を止めることができます。
「ミストサウナ」は、今では家庭用も普及していますね。40~42℃と低温で、湿度は70~100%とだいぶ高目なので、お肌にも潤いを与え、美容効果も大いに期待できます。
冷水シャワーとセットで使用すれば、ドライサウナ同様の温冷交代浴効果も高く、さらに注目すべきなのが「アレルギー性鼻炎」や花粉症の症状緩和に有効なことです。
鼻炎治療の一つでもある「湯気を吸う」温熱療法と、40~42℃ほどのミストサウナの原理はほぼ同じなので、鼻の中が潤うだけでなく、粘膜についたホコリを洗い流す効果もあるのです。
こうしてみると、高温のドライサウナは、よほど健康に自信のあるアスリートあたりが、一時的な減量に利用するのには向いていますが、一般の方、特に女性やお年寄りの方には、体に優しい、お肌にもソフトでマイルドなミストサウナがおすすめです。