これから寒くなる季節、冷え症に注意!

■冷え症で、しびれの症状が表れるのは?

 冷え症の症状の一つとして、手足の先にしびれを感じることがあります。

 例えば、正座を長く続けていると、血流が悪くなって、足先が冷えて、しびれの症状が起きることがあります。

他にも、暖かい室内から寒い外に出たときや、冷たい水に触れたとき、一時的なショックによって、手足の先の血管が突然縮み、血流が悪くなることがあります。

その結果、手足の冷えと同時に、指先にしびれるような痛みを感じることがあります。

以上の場合は、ほんの一過性のものなので、それほど心配はいりません。

もし、慢性的にしびれの症状が続いたり、他の症状を併発するようになったら、要注意です。

冷え症以外に、別の原因が潜んでいる場合があるからです。

冷え症の主な原因は血行障害ですが、その血行障害が進行して動脈硬化を起こしていて、その結果引き起こされる脳梗塞心筋梗塞の前症状の一つかも知れません。

また、頸椎椎間板ヘルニアなどのような病気で、背骨や骨盤が歪んで、神経を圧迫している場合も考えられます。

さらに、自律神経失調症が原因の場合もあります。

いずれにしても、しびれがくるほどの冷え症では、冷え症の状態がかなり重くなっていると考えられますので、速やかに専門医を受診して、しっかり検査した方が良いでしょう。

とかく、「冷えは毎年のことだから」などと油断せず、症状が重くならないうちに対処することが重要です。

f:id:has1029th:20211110221559j:plain

■男性の冷え症も増えている?

冷え症は、今や決して女性特有のものではありません。

冷え症は女性に多いと思われていましたが、近年、特に若い男性や40~50代の働き盛りの男性の間でも、冷え症で悩む人が多くなってきています。

男性の場合、体の冷えを感じていても、「冷え症は女性のもの」という意識が強いせいか、それが冷え症だと自覚していないケースが多いのです。

若い男性に多いのは、体全体が低体温になって、自覚しにくいケースです。

日常的な運動不足による筋力の低下、ストレス、自律神経の乱れ、服装(寒い冬でも、防寒より外見のおしゃれを優先する)など、原因は様々です。

そして、いつの間にか低体温になり、全身の機能が落ちて、風邪をひきやすい、昼間も元気が出ない、夜ぐっすり眠れないなどの影響が表れてきます。

また、デスクワーク中心で、座りっぱなしの姿勢を長く続けている人も、足の筋肉が使われないため、血液が足に滞って、冷え症を引き起こしやすいのです。

40代以降の働き盛りの男性は、オフィス生活による慢性的な運動不足や、過度のストレスにより自律神経の反応が鈍くなりがちです。

その結果、寒さを感じにくくなることから生じる「末端冷え症」や、お酒の飲み過ぎにより内臓が弱って下痢になりやすい「内臓冷え症」なども多くなるようです。

さらに、50代以降になると、最近話題になっている中高年男性に多発している、「男性更年期障害」の影響も見逃せません。

これは、男性ホルモン(テストステロン)の減少によって起きる不定愁訴です。

その特徴として、うつ症状や気力・性欲の低下、ほてりの他に、冷え症の症状も伴うことがあるとされているので、注意が必要です。

■冷え症の原因とは?

冷え症の主な原因には、血液の循環が悪い、すなわち血行不良と、筋肉量の不足で体内で十分に熱を作り出すことができないことが挙げられます。

・血行不良

血流が滞ると、全身に熱が送られなくなってしまいます。

不健康な生活習慣やストレスなどで自律神経のバランスが乱れると、体温調節の機能がうまく働かなくなり、血液がスムーズに全身に行き届かなくなってしまいます。

例えば、夏に、エアコンの効いた室内と暑い屋外を出入りして、血管が収縮したり拡張したりするのを繰り返すことで、体温調節が追い付かなくなってしまうことなどもその例です。

・筋肉量の不足

人間の基礎代謝は、1日のエネルギー消費の60~70%を占めています。

体の中で、最も多くの基礎代謝を担っているのが筋肉です。

筋肉には多くの毛細血管があるので、筋肉を動かすことで血流が良くなり、体が温まるのです。

そのため、筋肉量が少ないと、生み出せる熱量が少なくなってしまいます。

男性より女性に冷えを感じる人の割合が多いのは、女性の方が筋肉量が少ないからです。

特に、運動不足や間違ったダイエッなどにより、筋肉量を減らしてしまうと、慢性的な冷え症に結びついてしまう危険性があります。

■冷え症の対策とは?

冷え症の対策と言っても、特別なことはありません。

日頃から、体を冷やさない、体を温める生活をしていけばよいのです。

体を温める生活といっても、難しく考える必要はありません。

ファッションや食生活、運動など、日常生活を少し見直すだけでできそうなことばかりです。

無理のない範囲で、毎日の生活に気をつけていきましょう。

・生活習慣の見直し①~服装では、足元を温めよう

冷え症の人は、上半身に比べて下半身の血流が滞って、その結果、特に足先が冷えるのが特徴です。

従って、足先を温めて血流を良くするのが、冷え症改善の基本になります。

そこで、おすすめなのが靴下の重ね履きです。

特に、シルク(絹)とコットン(綿)の重ね履きは、冷えを取るのに大きな効果があります。

シルクはただ温めるだけではなく、体の老廃物や毒素を排出する働きもあるので、履き続けていると、温めるのと相乗効果で体調が良くなります。

衣類は、冷えを防ぐ素材を選びましょう。

厚みのあるセーターでも編み目の粗いものは、そこから空気が出入りして体温を逃してしまいます。

体を温めるには、薄手でも目の詰まった天然素材で、ウールやカシミアなどがおすすめです。

f:id:has1029th:20211110221925j:plain

・生活習慣の見直し②~体を温める食材を摂る

食生活では、 栄養のバランスがとれた、規則正しい食事を摂ることが基本になります。

食材には、体を温める食べ物と、体を冷やす食べ物があると言われています。

体を冷やす食べ物をできるだけ避け、体を温める食べ物を積極的に摂りましょう。

 <体を温める食品の例>

にんじん、かぼちゃ、玉ねぎ、山芋、肉や魚、豆類、味噌、ニンニク、生姜、シナモンなどの香辛料、など

<体を冷やす食品の例>

キュウリ、レタス、トマト、柿、メロン、スイカ、パイナップル、コーヒー、牛乳、など

・生活習慣の見直し③~適度な運動を習慣にする

 血液の流れを促して身体を温めるには、軽い運動も必要です。

冷えに対して有効なのは適度な運動で、20分程度のウォーキングやエアロビクスがおすすめです。

第2の心臓とも呼ばれるふくらはぎをしっかり動かすことで、筋肉がポンプのような役割をします。そのポンプ作用で、体の血液の流れが良くなるのです。

また、筋肉を使うことで体温が上がります。

普段運動をする時間がないという人は、通勤時間に早歩きしたり、軽く走ったり、エレベーターより階段を選んだりなど、日常生活に運動を取り入れるのがおすすめです。

・生活習慣の見直し④~毎日、入浴する

寝る前、一日の締めくくりとして、入浴して体の中に残っている冷えを取り除くことも大切です。

ぬるめのお湯にゆっくり浸かりましょう。シャワーだけでは、冷えは取れません。

お風呂に入ると、体が温まり、血液の循環が良くなって、疲れも取れます。

また、リラックスすることで、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスがとれる効果も期待できます。

忙しくて、ゆっくり入浴する時間がない場合は、足湯だけでもOKです。

寝る1時間程度前にお風呂に入って、十分温まってから寝床に入ることで、ぐっすり質の良い睡眠をとることも、冷え症対策に欠かせない重要なポイントです。

 

いかがですか。

冷え症には、実に様々な症状があります。

冷え症の大元の原因ともいえる血行障害を改善することで、冷え症だけでなく、同じ血行障害から引き起こされる心筋梗塞脳梗塞などの恐ろしい病気の予防・対策にもなります。

ですから、「たかが冷え」と軽く見るのではなく、冷え症の症状が重くなっていないか、冷え以外の症状を併発していないか、普段から注意深くチェックしておくことが重要です。

もし、しびれの症状が表れたら、ぜひ一度医師に相談されることをおすすめします。