冷え症は、様々な症状を伴います。
代表的な症状である手足の冷えだけでなく、時には、頭痛、肩こり、吐き気を伴うこともあります。
原因がよくわからない頭痛、肩こり、吐き気といった症状には、実は意外にも冷え症が原因の場合もあるので、注意が必要です。
そこで、今回は、冷え症の症状として表れる頭痛・肩こり・吐き気とその対策などについて、お伝えします。
■冷え症には、いろいろな症状がある。
冷え症とは、実際の暑さ寒さに関わらず、手、足、腰、背中、ひざなどが特に冷たく感じる状態の事を言います。
検査などで体温を測ってみても正常で、異常が認めらないことがほとんどです。
冷え症に伴って、頭痛やめまい、立ちくらみ、低血圧、貧血、肩こり、腰痛、腹痛、食欲不振、肥満、膀胱炎、むくみ、便秘、下痢、生理不順、慢性疲労感、不眠などを引き起こす場合もあり、免疫力の低下、なんとなく体調がすぐれない、風邪をひきやすいといった状態にもなりがちです。
・冷え症のメカニズムとは?
そもそも冷え症は、どうして起こるのでしょうか?
私たちの体は、脳にある体温調整中枢によって、体温が管理されています。
体温は、筋肉や内臓を動かすことで作られています。
運動すると汗をかくほど暑くなるのは、筋肉が活発に動いて熱を発しているからです。
また、寒い時にガタガタ震えるのは、筋肉が必死に動いて熱を生み出しているのです。
このように、様々な要因で体温は上昇・下降を繰り返していて、ずっと一定というわけではありません。
この体温調整のバランスが崩れてしまうと、体や顔は火照っているのに、手足は氷水に浸けた後のように冷たい状態になることがあります。
では、なぜ体温調整が上手くできなくなってしまうのでしょうか?
冷え症は、たとえそれほど深刻な症状が表われている自覚がなくても、もしかすると「なんとなく体調がすぐれない」といったことの原因になっているかも知れません。
特に、肩こりや腰痛、頭痛などは、冷え症対策を施すことで劇的に改善されることがあります。
■冷え症が原因で、頭痛や肩こりになることも?
頭痛、肩こりや腰痛に悩みながらも、その原因についてあまり深く考えてこなかった方も少なくないでしょうが、その“肩こり”や“腰痛”は冷え症と大きく関係していることがあります。
冷えることで血流が悪くなり、肩こりや腰痛の原因になっているのです。
例えば、「寝違えたわけでもないのに、何だか朝から肩がこる」 「朝、ベッドから起き上がったものの、肩や首回りにズンと重い感触が・・・」などといった、特に寒い冬場に見られる症状は、実は冷え症がもたらす「朝型肩こり」なのです。
これは、睡眠中、部屋の温度が下がっているのに肩や首の周辺に布団をかけず、何時間も露出したままでいた場合に、冷えて血行が悪くなり、肩こりが生じてしまうのです。
冷え症による血行不良は肩こりだけでなく、頭痛、めまい、腰痛、下痢、倦怠感といった自律神経失調症状を伴い、その原因がいつまでも「不明」とされてきたケースが少なくありません。
■冷え症と吐き気の意外な関係
さらに、寒くなると、吐き気を感じることが多くなる人もいます。
冷え症は、ただ体や手足を冷やすだけではなく、体の随所に不調を来します。
原因不明の吐き気が起きたら、冷え症が原因かも知れません。
・吐き気は冷え症の危険サインかも!
冷え症がなぜ吐き気につながってしまうのか、その原因として、次のことが考えられます。
冷え症の人は全身の血液の循環が悪いため、手先や足先などの末端部分まで血液が十分に行き渡りません。
すると、細胞が栄養不足や低酸素状態になり、頭痛や肩こり、首筋がこる、などあらゆる体調不良が生じてきます。
その時、吐き気も表れることもあるのです。
つまり、血液循環の悪化や自律神経失調症が原因と言ってよいでしょう。
自律神経失調症とは、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こる様々な不調のことを言います。
自律神経失調症の原因は、精神的なストレスや気温の変化などがあると言われており、冷えと吐き気が同時に起こっている場合は、自律神経失調症が疑われます。
・吐き気には、重大な病気が隠れている可能性も
ただ、吐き気は、決して冷え症や自律神経失調症だけで起こるものとは限りません。
食生活の乱れによる、食べ過ぎや飲み過ぎ、乗り物酔いなどのほか、ストレスからくるもの、女性の場合は月経中の症状として起こることもあります。
また、胃炎や脳内出血などの重大な病気が原因となり、吐き気が起こる可能性もあるので、それらの可能性も考えて、一概に原因を決めつけず、吐き気がひどい場合は、すぐに病院を受診して、しかるべく適切な治療を受けましょう。
・ 本当は怖い冷え症!?
冷え症は、確かに体の一部が冷える症状ですが、放っておくと様々な病気を引き起こしてしまいます。
女性の場合は、月経不順や無月経、月経前症候群、不妊症、更年期障害、さらに不眠症や頻尿、腰痛、肩こり、膀胱炎、下痢なども起こりやすくなる、とても恐ろしい症状なのです。
冷え症は病気でもないし、放っておこうなどと軽く考えていると、取り返しのつかないことになりかねません。
■冷え症の主な原因となる血行不良はなぜ起きる?
冷え症の主な原因は、血行不良にあり、血液の循環が悪いから冷えるのです。
では、どうして血液の循環が悪くなるのでしょうか?
いろいろな原因が考えられますが、まずホルモンバランスが崩れて自律神経が乱れてしまっていることが大きいと思われます。
では、なぜホルモンバランスが崩れるのかと言えば、日頃の生活習慣の乱れ、睡眠不足、ストレスなど、これまた様々な理由が考えられます。
また、更年期障害の症状の一つとして冷え症が表われることもあり、また、女性だけでなく、最近は男性でも冷え症を自覚している人が少なくありません。
例えば、立ち仕事やデスクワークを長時間行っていると、血液の流れが悪くなってしまい、むくみの原因となることは知られていますが、この時、むくみだけでなく冷え症も併発してしまうことがあるのです。
さらに夏場でも、冷房の効き過ぎる場所に長時間いたり、体を圧迫するような衣服を着用していると血流が滞ってしまいます。
また、現代人には避けられないストレスによる自律神経の乱れも血行不良を招き、冷え症を起こすと言われています。
■冷え症による頭痛・肩こりや吐き気が疑われたときの対処は?
もし頭痛や肩こり、吐き気が軽度であり、冷え症によるものだと思われる場合は、日頃から冷え症対策を実施して、冷え症を改善させることが肝心です。
では、冷え症はどうすれば改善できるのか、効果的と言われている方法には、次のようなものがあります
・血行を良くするための生活習慣とは?
血行を良くするには、体を冷やさないようにすることはもちろん、良質な睡眠と栄養バランスのとれた食事を摂るなど、生活習慣を改善することが大切です。
・規則正しい生活をする
最も基本となるのが、規則正しい生活です。
ホルモンバランスと自律神経を正常に保つ基礎となるのが正しい生活のリズムで、具体的には、睡眠時間を十分にとり、三食きちんと栄養バランスのとれた食生活を送る、喫煙や飲酒は控え、リラックスできる時間も多くとる、などを心がけることです。
・とにかくしっかり防寒すること
寒がりの人がまずしっかり行いたい対策は、寒い冬場に、厚手の靴下や靴下の重ね履き、腹巻きなどを身に着けるなど、日常生活の中でしっかりと防寒して、熱を逃がさないように体温調整をすることです。
防寒するときは、上半身ほど体温が高くない下半身を意識して防寒すると、体全体がポカポカ温まってきます。
手先や足先が冷える“末端冷え症”に悩む人は、手足だけでなく、実は一番温める必要があるのは内臓です。
人間はまず内蔵を守る性質があり、体が冷えると内臓を最優先に温めようとするので、内臓が十分に温まらないと、手足を温めるところまで行きません。
腹巻やお腹が隠れるインナーパンツのほかに、使い捨てカイロを貼って、内臓を温めるのが効果的です。
内臓を温めたら、今度は首回りと足首を重点的に温めるように意識しましょう。
マフラーで首回りの冷え対策をしたり、タイツやレッグウォーマーなどで足首を冷やさないように気を配りましょう。
・ストレスの軽減
血流は自律神経が大きく影響すると言われているのは、ストレスや緊張を感じると交感神経系が優位になり、血管が収縮するからです。
スポーツ、旅行、家族や友人との談話、趣味など、自分が楽しい、リフレッシュできると感じる方法で、うまくストレスを軽減しましょう。
そして、自律神経に関係するホルモンバランスの乱れを改善することで、血行を良くするのです。
・体を温める食べ物を積極的に摂る&1日3食決まった時間に、栄養バランスの取れた食事をする
できるだけ食事時間を一定にして、栄養バランスの取れた適量をしっかり摂りましょう。
ダイエットのために極度に量を減らしたり、単一の食べ物だけを食べるなどするのは好ましくありません。
ナスやトマトなどの夏野菜、サラダなどの生野菜、果物など体を冷やす食べ物はできるだけ避け、肉類や根菜類、ニンニク、生姜など体を温める食材を普段から意識して食べましょう。
また、血液をきれいにすることも血流改善に欠かせないので、血液をサラサラにする効果が期待できる玉ねぎやアジ、サバ、サンマなどの青魚を積極的に摂るのも良いでしょう。
飲み物はコーヒー、清涼飲料水などの体を冷やすものではなく、ココアや生姜入りドリンクなど体を温めるものを選んで飲むようにしましょう。
・軽い運動を習慣づける
運動不足になると、血液を送る筋力が低下し、冷え症の原因となるので、積極的に運動して筋肉を鍛えましょう。
足の血行促進に最も簡単で効果的なのがウォーキングです。
まずは、いつもより少し多く歩くこと、それからふくらはぎの筋肉をいつもより使うことを意識して、坂道や階段などのある道を歩くなど工夫してみましょう。
第2の心臓とも呼ばれるふくらはぎをしっかり動かすことで、筋肉がポンプのような役割をして、そのポンプ作用で身体の血液の流れが良くなります。
また、筋肉を使うことで体温が上がります。
1日中座りっぱなしの仕事であっても、1時間に3分間ほど軽く歩くだけで改善されます。
・ストレッチをする
・お尻まわりのストレッチで、むくみを解消します。
・自律神経を整える首のストレッチや枕を使った首のストレッチで、リンパの流れを促進します。
・ふくらはぎのストレッチで、足の血行を促進します。全身の血行を良くするポイントは「足」です!
・足裏マッサージ
足の血行を良くし、足先の冷えを改善するには、足裏のツボを刺激するのも効果があります。
かかとは強めに指圧したり、足の指を1本ずつもみほぐすなど足全体をしっかりマッサージすることで、血流の悪くなりがちな末端部まで血の巡りを促します。
また、足裏には脂肪が少なく、熱さや冷たさがダイレクトに血管に伝わるため、足裏を温めるだけでも血行促進につながり、効率良く全身を温めることができます。
・足の角質ケア
足裏のマッサージのついでに、足の角質ケアも行いましょう。
角質ケアには様々な方法がありますが、冷えやすい足の末端まで刺激することでマッサージ効果も期待でき、足全体の血流が良くなります。
また、厚く硬くなってしまった角質を除去することで皮膚が薄くなり、足の温感もアップします。
冷え症、吐き気、頭痛などが起こっているなら、そのような状態を長く放っておくのは良いことではありません。今回ご紹介した冷え対策や生活習慣を見直して対処していきましょう。
大切なのは、生活リズムを整えて、規則正しい生活を送り、ストレスをうまく解消しながら過ごすことです。
そして、もし吐き気がひどい場合には、すぐに病院を受診しましょう。重大な病気が原因の場合もあるので、くれぐれも早期発見・早期治療が肝心です。