健康力~幸せになる遺伝子(gene・創因子)のスイッチを「ON」にする秘訣とは?

私たちは、他人の欠点や短所、問題点などは容易に目につきますが、自分自身のことや心の持ち方、さらに健康のこととなると、意外に分かりにくいものです。

今回は、自分自身の体の健康と心の持ち方の関係について、考えてみましょう。

■積極的な心構えがガンをも克服する

f:id:has1029th:20220321123647j:plain

科学の進歩は、月まで人間を送り、火星までロケットを打ち上げ、原子力を開発しましたが、人間の体の中にあるガン細胞の発生と、その原因を突きとめること、そして、まだ完全な治療方法を開発するまでには至っていないと言わざるを得ません。

この人類の強敵とも言えるガン治療に取り組んだ数多くの医学者の一人、米国のテキサス州でガンカウンセリング研究センターを開設し、ガン患者の治療に当たっていた腫瘍学の専門医カール・サイモントン博士は、オレゴン医科大学附属病院の放射線科に勤務していた時、意外な事実を発見しました。

自分が治療に当たっていた重症のガン患者のある一部に、期待以上の治療効果が現われたというのです。

その原因を突き詰めてみると、何と、効果の現われた全ての患者に共通した特徴が浮かび上がってきました。

それは、これらの患者は、自分の病気や人生に対して積極的な態度、すなわち前向きで楽観的な心構えを持っていたのです。

その後、カリフォルニア州のトラビス空軍基地附属病院に転勤したサイモントン博士は、この事実を医学的に裏付けようと、同病院の152 名ものガン患者に対して、患者の性格・生き方の心構えと治療効果の相関関係を調べてみました。

1 年 6 ヵ月の治療期間の後、できるだけ医学的、客観的な判断を下すため、5人の治療担当者に判定してもらった結果は、全くサイモントン博士の推論通りだったのです。

また、サイモントン博士は、「残念ながら、あなたは乳がんが他の臓器に転移してしまいました」と告知された患者 100 人を追跡調査したところ、約半数の 50 名は失望して、気力も失せ、通常の社会生活を営むことさえ諦めてしまいました。

し かし、残りの半数の人は、「よし、それなら」と、高ビタミン療法、人参ジュース療法、精神療法、運動療法などの「代替療法」(自然医学、漢方など西洋医学に代わる療法)を実践し、ありとあらゆる可能性を求めて、積極的に病気に立ち向かったそうです。

その結果、5 年後には、前者の90%が他界し、逆に後者の90%は生存していました。 この研究は、どの療法に効果があったからということではなく、心の持ち方に焦点を当てていたのです。

すなわち、治療に対して積極的な心構えを持っている患者は、治療に対して良い反応を示し、逆に消極的な心構えを持っている患者は、良い反応を示さなかったのです。

■心の中の潜在意識を目覚めさせよう!

f:id:has1029th:20220321123619j:plain

さて、このエピソードは、一体どんなことを意味しているのでしょうか。

人間は、その心の奥深くに眠っている遺伝子(gene・創因子)スイッチが ON になると、その人の心に隠されて いる潜在意識が躍動し始めるのです。

そして、人々は、より良く生きるために、積極的に持てる能力を発揮するようになります。

自分で、心の中にある潜在意識に、自分の願望や考え、人生の目的や目標、志を繰り返し訴え続けて行くと、その効果が行動として現われるのです。

この「自己暗示」は、マイナスに働かせると、自分の能力を規制してしまい、積極的な心構えでプラスに使えば、無限の可能性が引き出せるのです。

つまり、サイモントン博士の調査結果の例でも分かるように、積極的に“治る”、“治ってみせる”という自己暗示を潜在意識に働きかけていると、不思議とその自然治癒力が湧き起こってきて、放射線治療に相乗効果をもたらしたのです。

逆に、“治りっこない”という暗示を持ち続けていると、快方に向かってもよさそうな治療を施しても、一向に改善せず、かえって悪化の傾向をたどることがあるのです。

当時は、医学の専門家などから、クレームが来るのではないかと思われていましたが、その後、身体の神経系と免疫系の相互関係のメカニズムや生体フィードバッグの研究、精神腫瘍学 (Psycho-oncology)、遺伝子のスイッチON/OFF に関する実験や研究が進むにつれて、心の在り方や気力、人生観が健康や病気に大きな影響を与えていることがより分かって来ました。

現在では、「サイモントン療法」と言って、ガン患者とその家族(または支援者) のための心理療法として広く理解されています。

近年では、ガンのみならず、ストレスに起因する様々な病気に対して、サイモントン療法のプログラムが提供されています。

この心の働きと体の関係は、まだ多くの謎に包まれているとはいえ、その謎を解く試みは、実は人間の歴史が始まってから今日まで、ずっと繰り返されてきたとも言えるのです。