運動をしないでメタボになるのは、人間だけではなくペットや動物園のサルでも同じです。
ただ、自らの意思でダイエットに取り組めるのは、人間だけです。
とは言うものの、「言うは易し、するは難し」なのが、ダイエットです。
そこで、今回は、ダイエットに有効な運動療法について紹介します。
一般に、成功するダイエット法の特徴には、基本的に次の3点が挙げられます。
1.運動の習慣をつけてエネルギー貯蔵庫を形成し、ダイエットを楽に実行できるようにする。 また、エネルギー貯蔵庫の形成により、脂肪が形成されない体質にする。
2.体重測定および一定速度の歩行または走行距離を測定し、これらをグラフ化することにより、前日の食物摂取量と体重の増減の正しい理解ができ、毎日のダイエットに反映できる。
3.誰にでも比較的実行しやすい「一日1食」ダイエットを実施する。
ダイエットの最終的成功のポイントは、エネルギー貯蔵庫の確保にあります。
エネルギー貯蔵庫の形成ができれば、 貯蔵グリコーゲンが分解して血液中にエネルギ ーが供給されるので、グリコーゲンが枯渇することなく空腹物質の遊離脂肪酸が放出されて、飢餓状態になることはありません。
また、多くの食べ物を摂取しても、 貯蔵庫が大きければ、脂肪に取り込まれる前にグリ コーゲン貯蔵庫に保存されます。
そして、エネルギー貯蔵庫の形成ができれば、貯蔵庫からグリコーゲンが分解されて、満腹物質であるブドウ糖が供給されるので、空腹感が抑制され、ダイエットが容易になるのです。
ダイエット成功の最重点は、毎日の運動習慣形成によるエネルギー貯蔵庫の確保です。
1日の運動量としては、平日1日最低10,000歩で、土曜・日曜日には平日よりも多く 15,000 歩以上とし、1週間で1日平均 12,000 歩以上とすることです。
この 1 日平均 12,000 歩の運動量は最低ラインです。
これ以上でないと、体重がダイエット前に戻る可能性が高くなります。
健診で、メタボと疑われたら、 保健師や管理栄養士らに摂取カロリーや運動の指導をしてもらいましょう。
最長半年間は指導を受けて、目標達成度合いを評価しましょう。
メタボの問題は、日本では2006(平成18)年か ら急に問題化されました。
そのためか、街中でもランニング・ウォーキングの実施者が急増しています。
■ランニング・ウォーキングの素晴らしい効用とは?
ダイエットに成功するためには、どうしても運動習慣の形成が必要です。
しかし、ダイエットが必要なメタボの人は、概して運動が苦手で、運動が習慣になっていない人が多いのです。
メタボの人でも気軽に続けられる運動として、おすすめなのがランニング・ウォーキングです。
ランニング・ウォーキングの驚くべき効用とし て、次の10項目が挙げられます。
1.頭の働きが著しく向上する。
2.ストレスの根本的解消に最も良い。
3.プラス思考やヒラメキが生まれる。
4.簡単に痩せられる。
5.長寿になる。
6.生活習慣病の予防や治療にもなる。
7.基礎体力が増強する。
8.腰痛や膝の痛みの予防となり、各種アレルギ ーの予防にもなる。
9.気分が爽快になる。
10.その他の効用
・各種のスポーツの準備運動となり、怪我の予 防になる。
・禁煙しやすい。
・各種の病気の予防と治療になる。
ランニングとウォーキングは、効用の内容は同じで、ただ効用の程度がやや異なるだけです。
ランニングが少しきつそうだと感じる人は、まずウォ ーキングから始めてみるのが良いでしょう。
ランニングの特に素晴 らしい上位3つの効用について、解説します。
1.頭の働きが著しく向上する
ランニングを継続して、最も有り 難いと実感するのがこの効用です。
ランニングを 続けていると、ランニング中に物事を良い方向に考えら れ、思考力が著しく向上します。
複雑で難しい問題であっても、ランニング中は高度な集中力で考えることができて、机の前で考えるよりも遥かに良い結果を得やすいのです。
この ことは、ランニングをすることにより、体全体の血流が多くなり、脳の血流も多くなって脳が働きやすくなるものと考えられています。
スポーツ科学が専門の藤原健固(けんご)氏(元中京大学体育学部教授)は、「歩きの科学」(1988)年、講談社刊) の中で、歩いたり走ったりすることによる7つの効用を、以下のように挙げています。
①気分が爽快になる
②やる氣が出る
③決断力が高くなる。
また、歩くことで脳に多量に酸素を供給し、 脳の働きに効果的に作用する結果として、
④記憶力の向上
⑤思考力の向上
⑥集中力の向上
⑦ヒラメキの向上
これらのことは、毎日のランニングで自覚できるでしょう。
とりわけ、7番目の「ヒラメキ」は、芸術家に とって大変有り難いことであり、作曲家などは、ベートーヴェンのように、森を散歩して名曲を生み出していることでも分かります。
ランニング中、これまで1度も考え たことの無い思いがけないアイデアが頭に浮かび、大きな成果に結びつくことが多くあります。
「ヒラメキ」のようなものは、ランニング中の5kmコースの1周目、2周 目、3周目を比較すると、走る距離が長いほど積極的な事や「ヒラメキ」が現れるケースが多く、3 周目に良い「ヒラメキ」が生じやすいようです。
2.ストレスの根本的解消に最も良い。
健康維持のために、ストレスは一刻も早く解決しなければならない問題です。
しかし、本人にと っては容易に解決できない難問がストレスなのです。
男性は、このストレスを主に楽しいスポーツ や酒を飲むことで処理し、女性は、主におしゃべ りや美味しい食事で処理している、と言われています。
しかし、 これらの方法では、完全には解決できません。
これらにより、ストレスの一時的な圧迫から解放されはしますが、ストレスの根本的問題が処理されていないので、再びストレスの圧迫を受けることになるからです。
ストレスは、考え考えても解決できない難題として残った問題ですから、改めて机の前で考えても処理できない問題です。
そして、単なるストレスの発散では、ストレスの問題そのものは変化していないので、解決になりません。
それでは、一体どうすれば良いのでしょうか?
それは、ランニングやウォーキングをすること です。
ランニングやウォーキングでは、机の前での思考力よりも1.2~2倍も高いと言われ、その上、 集中力、判断力や「ヒラメキ」が発現するために、 ストレスの難問を考える場として最適であると考えられるからです。
ランニングやウォーキング 中の思いがけないアイデアで、多くのストレス問題が解決されています。
そして、机の前での思考力に比べ、決断力が高まり、アイデアを実行し ようと決心しやすくなるのです。
■心構えの変革で、プラス思考を続けよう
3.プラス思考やヒラメキが生まれる。
ランニングやウォーキングは、さらにプラス思考やヒラメキを活発にします。
プラス思考をすれ ば、体に良い脳内モルヒネ(ベータ・エンドル フィン)が出ます。
脳内モルヒネは、気分を良くするだけでなく、血管の収縮を抑えて血液をサラサラ流れるようにし、老化や生活習慣病に関連の深い活性酸素の害を少なくします。
そして、記憶力の向上、やる氣、忍耐力や創造力を発揮させるなど、健康維持に最も大切な物質です。
常に、 この脳内モルヒネを分泌すれば、健康が維持できるだけでなく、心の持ち方や 志(こころざし)をプラスにして遺伝子をONにできると、大脳生理学者や遺伝子工学の専門家は語っています。
普段我々が口にする言葉の中には 「忙しくて、嫌になってしまう」「私は、どう してもタバコを止められない」「どうしても食べ 過ぎる」「私の目には輝きがない。疲れた表情で 嫌になる」などの消極的なものがあります。
こ れらの消極的な考えを取り除くには、消極的な心構えから積極的な心構えに転換することが最も大切です。
その一つのきっかけ作りに、ランニングやウォ ーキングが有効です。
■肥満にならない7つの注意点
最後に、食事や日常の生活で注意すべき、一般的な点について紹介します。
第一に、ゆっくり食べ、少しの量で済ませることが 大切です。運動不足の人は、食事前に血糖値が低下して、必要以上に空腹感に襲われやすく、食事 を始めても血糖値の上昇が遅く、食べ過ぎになりやすいのです。
第二は、夕食後の間食は体脂肪になりやすいの で、できる限り避けることです。その方法として、 食物を見えない場所に置くか、また余分に買わな いことが大切です。
第三は、「ながら食い」をしないことです。本を読 みながら食べる、テレビを見ながら食べる、音楽 を聴きながら食べる、等をしないことです。
第四は、空腹感の強い時に、スーパーに入って買い物をしないことです。ついつい食料品を買い過ぎてしまうからです。必要な食料品は、空腹でない時に準備しておきましょう。
第五は、日々の生活において、これまでよりも 運動の機会を増やすことです。買い物や通勤にお いて、電車・バスや自動車の利用をできるだけ減らして歩くようにしたり、エスカレーターやエレ ベーターを利用しないで階段を歩くことを心がけましょう。
第六は、食後に早くテーブルを離れるか、残った食物を早く片付けることです。手の届く所に食べ物があると、どうしても手が伸びてしまい がちになるからです。
第七として、食物のカロリーを知っておくこと です。カロリーオーバーにならないように気を付けることが容易になります。
以上、基本的な食生活などの生活習慣に気を付けて、運動習慣を維持できれば、自ずと健康的な体を保っていけるでしょう。