ダイエット成功に欠かせない「空腹軽減法」とは?

■肥満は、食べ過ぎよりも運動不足が大きな原因だった!

前回の「ダイエットは、なぜ難しいのか?」で、「ダイエットには、克服しなければならない3つの難問がある」と述べましたが、今回は、その中の第3「ダイエットを実施するためには、人間として最大の楽しみである食欲を抑制する必要がある。」について、紹介します。

一般に、医師からメタボリックシンドロームの警告を受けてダイエットを実施しなければならない人は、耐え難い厳しい食欲と戦わなければなりません。

そのために、ついついダイエットの継続が困難となってしまいがちです。

従って、食欲との戦いに耐えやすくする必要があり、その対策として、次の 3つが挙げられます。

1.運動することにより、大きなエネルギー貯蔵庫を持ち、空腹感を著しく小さくする。

2.食物摂取による空腹特性を理解して、利用する。

3.空腹状態の効用を熟知し、空腹感を健康のバロメーターとして利用する。

f:id:has1029th:20211217100619j:plain

肥満は、一般には食べ過ぎが原因であると言われています。

しかし、実際にはそうではなく、運動不足が大きな原因なのです。

なぜなら、肥満の人と普通の体格の人を比べ、食事量と運動量について調べると、食事量はほぼ同じでも、肥満の人は運動量のみ著しく少ないということが」分かったのです。

すなわち、肥満の人は、自分が肥満であることを自覚しているせいか、日頃からあまり食べ過ぎないように食事量のセーブを心掛けているケースが多いようなのです。

しかし、食事量は必ずしも多くはないにもかかわらず、それ以上に運動量が著しく少ないために、結果的に必要以上の食物を摂取していることになってしまい、肥満になるのです。このことは、ネズミの実験でも証明されています。

従って、肥満にならないようにするためには、食物を控えめに摂取するように気を付けるよ りも、運動を多くするように心掛ける方が効果的だということになるのです。

運動を積極的に行うことは、単に肥満の予防になるだけでなく、あらゆる内臓機能を向上させ、免疫力を高めるので、生活習慣病の予防になることはご存じの通りです。

運動習慣ができていないと、エネルギー貯蔵庫が形成されないので、空腹感が強く、食事の際、自ずと早食いになる傾向が強くなります。

これらを防ぐ手段として、通常の食事時間の約1時間前に、少しの飲食物を摂取しておくと、空腹感が弱まり、食事の際にも早食いや過食になりません。

約100kcalのジュースでも、激しい空腹感が抑えられます。

■空腹感こそ、健康のバロメーター!

f:id:has1029th:20211216123438j:plain

空腹感の効用を熟知することも重要です。

もし、「強い空腹感」が「体に悪い」と考えている人にとっては、空腹感は耐え難いものとなり、その反動として過食に陥りやすくなってしまいます。

逆に、空腹感は体にとって最高に良い状態であると理解できれば、空腹感が心地良いものに感じられます。

いわゆる「腹八分目」が体にとって最高に良い状態の継続であると自覚できれば、自ずとダイエットを実施しやすくなるはずです。

しかし、一般には、空腹感の素晴らしさについて、あまり理解されていないように思えます。

100歳以上の方の健康長寿の秘訣について、昔から示されている「3つの秘訣」があります。

すなわち、1.生き甲斐を持つ 、2.くよくよしない、 3.腹八分 です。

最後の3つ目の「腹八分」から、空腹感の大切さを理解して欲しいと思います。

私たちは、普段体調が悪ければ食欲がなく、空腹感がありません。

風邪気味のような場合、空腹感を感じたならば、もう風邪から回復しつつあると認識して良いでしょう。

つまり、空腹感は健康状態のバロメータと理解できるのです。

歯が痛い、喉が痛 い、頭が痛いなど、体の各所の不調も、心地良い空腹感が訪れれば、これらの痛みから解放されていることを表します。

そのために、これらの痛みに直面したら、薬を飲む前に、まずダイエット(減食)を始め、空腹感が発現するのを待つのが賢明です。

東洋医学と自然療法を探求し、ニンジン・リンゴジュースによる断食療法を指導している石原結實(いしはら ゆうみ博士の「食べない健康法」(2008年、東洋経済新報社刊)には、食べないことの効用として、 次のような効能が挙げられ、空腹が「万能薬」として理解されています。

1.老化防止になり、寿命が長くなる

2.がんの予防

3.免疫力の向上

4.加齢関連疾患の予防

5.心臓病に良い

6.炎症性疾患に良い

7.大・小便の排泄が良くなる

8.身体のだるさがとれる

9.頭脳が明晰になる

10.性欲が強くなる

11.ストレスに強くなる 

■ダイエットを無理なく成功させるには、少食の習慣を身に付けよう。

f:id:has1029th:20211216123516j:plain

また、生涯現役を貫き105歳で天寿を全うされた日野原重明聖路加国際病院名誉院長は、晩年、1日の平均摂取カロリーは1,300kcalで、朝食はジュース程度、昼は牛乳と数枚のビスケット、夕食のみ通常食とされていました。

高齢者の1日に必要なカロリーは、通常1,500kcal と言われているので、その値よりも少ないので驚かされます。

さらに、睡眠は1日6時間弱で、本の執筆のために土曜日は時々徹夜をすると語っておられたので、驚嘆します。

石原結實および日野原重明の両氏の著書から、 少食健康法の素晴らしさが理解され、ダイエットの実施は、健康維持に大変良いと理解すれば、ダイエットの空腹感が苦痛でなく、心地よい刺激となり、空腹の苦しさを軽減できます。

イスラム教の行事である「ラマダン」は、約1ヵ月間、日の出から日没までの時間絶食するものです。

イスラム教徒に「なぜ断食をするのか」と尋ねる と、「断食をすることで豊かな人々も空腹感を知り、貧しい人々の辛い思いを共有するため」とか、「空腹や喉の渇きを味わうことで、 死すべき人間の運命を実感し、信仰を新たにする」というような説明を受けることが多いようです。

宗教行事として、空腹の大切さ、ダイエットの大切さを教えるものと理解できますね。

宗派に関係なく、「ダイエット=腹八分」と理解すれば、健康のためのベストコンディションとして、常に軽い空腹を感じる状態を保つことが習慣化できるでしょう。