「禁煙はたやすいことだ。私はすでに何千回もやった・・・」という名言?というかジョークがあるほど、禁煙は始めるのは容易ですが、続けるのは非常に難しいとされています。
タバコを吸ったことのない身には、喫煙者の心理など分かるはずもありませんが、私の友人(男性)の、タバコにまつわる経験談を紹介したいと思います。時代は、かなり昔?の話になりますが・・・。以下、その友人の回想になります。
■タバコは、大人へのパスポート?
「20歳になって、初めて吸ったタバコはハイライトでした。率直なところ、ほとんど上手いとは思えなかった印象が記憶に残っています。
やっと大人になったという、証みたいなものだったでしょうか。
もっとも、ハイライト、ピース、ホープなどの美味しさが分かるのは、かなりの喫煙「通」だということでした。
やがて、いつの間にか喫煙が日常的になって、ハイライト、ロングホープ、ショートホープ、ピース、セブンスター(今の若い人たちにはあまり馴染みがないでしょうね)などの国産タバコを始め、ダンヒル、ラーク、ケント、マールボロ、オールドスプレンダー、といった外国タバコなど幅広くいろいろな銘柄を吸って、自分の好みに合うものを探していました。
そうした中で、ピースはちょっとキツイし、ホープは確かに「タバコを吸っている」という味わいを感じられるほど美味しいのですが、たくさん吸うには少々ヘビーな気もしました。
当時はまだ円が安かったので、洋モクは高級タバコとして、国産の2倍くらいの高値だったので、そう度々は買えません。
結局、毎日1箱程度吸うのに手頃なタバコとしては、「セブンスター」に落ち着きました。
やがて、セブンスターのマイルド版として、国民的ベストセラーになった「マイルドセブン」が登場します。
適度な軽さと癖のない風味が、飽きが来ない最大の魅力かも知れません。その後長らくマイルドセブンを愛用することになりました。
ここまで書くと、年齢が分かってしまいそうですが、確かに昔に比べ、姿を消してしまった銘柄もあるのが惜しまれます。
■好みのタバコにも、こだわりがあった
まあ、人の趣味嗜好は様々とは言え、現在販売されているタバコの種類は多数ありますが、風味の差が明確にあるようには思えません。
昔は、ライトタバコやメンソール系のタバコは、皆同じように思えたものですが・・・。
また、その頃から健康志向の風潮から、低タール・低ニコチンのいわゆるライトタバコが人気を集めるようになります。
しかし、それらは、個人的にはまったく口に合いませんでした。
何しろタバコの葉がよく詰まっておらずスカスカで、おまけに独特の癖のある風味で、なんとも不味い代物でしたから。
現在では、むしろライトタバコの方が全盛で、「~ライト」「~スーパーライト」etc…などと、皆見かけの健康志向に安心しているように思われますね。
ライトタバコだからと言って、健康に有害であることに変わりはないのに、です。
元来趣味嗜好にはこだわりのある私としては、せっかくタバコを吸うからには、それなりの吸い甲斐のある銘柄でないと満足感を味わえませんでした。
ライトタバコを口にすると、気持ちが悪くなり、1本吸い切れないほどです。
また、女性に人気のメンソール系も全くダメでした。禁煙するためのハッカパイプを咥えているのと同じだからです。
たまに、自分のタバコを切らして、友人に1本恵んでもらおうとする時、そのタバコが自分の嫌いな「チェリー」(独特の酸っぱ味があり、癖が強すぎて、好みが別れていたと思います)で、ひどくがっかりして遠慮せざるを得なかったこともしばしばありました。
どんなにタバコを吸いたい気分でも、好みでない銘柄のタバコは全く吸う気にはなれなかったのです。
「タバコなら何でもいい」という訳ではありませんでした。
次第に年齢を経るにつれ、より味わい深い銘柄を欲するようになり、いつの頃からかショートホープ党になり、そして、今からかなり以前に喫煙習慣が終わりました。
■経済的負担が禁煙につながる
タバコを止めたのは、「節約」のためというのが、直接的に大きなきっかけだったと思います。
決して高給取りではない我が身にとって、結婚して、子供が出来ると、何かと家計も大変になって、お小遣いも年々先細りになります。
節約するとすれば、飲み代、昼食代、缶コーヒー代、そしてタバコ代などを切り詰めるしかありません。
その頃のタバコ代は、セブンスターが1箱280円に、ショートホープが2箱300円(ショートホープは1箱10本入り)に値上がった時でした。
タバコの値段は、昔から幾度となく値上がりしてきましたから、結構な出費額です。1日300円としても、1ヵ月では9,000円になります。
1ヵ月の小遣いがわずか△万円というしがないサラリーマンにとっては、少しでも出費を抑える努力を強いられます。
もちろん家庭内では、喫煙は厳禁です。世の中には。部屋の外のベランダで吸う「ホタ族」なる哀しいお父さん連中もいましたが、私は、そこまでして吸う気にはなれませんでした。
結局、タバコ代を節約せざるを得なくなり、1日2箱だったのを2日で3箱へ、さらに2日で2箱、そして3日で2箱、というように徐々に吸う本数を削減していき、いつの間にか全然吸わなくなっても平気になっていました。
■いきなり禁煙ではなく、減煙から断煙へ
おそらく、私の場合、ニコチンの依存度があまり大したものではなかったのでしょう。
アルコールの場合、体質によって強い、弱いの個人差があるのと同様に、タバコの場合も強い、弱いの差が影響するのかも知れません。
実際、タバコを全然受け付けない人もいれば、1日60~80本吸うヘビースモーカーもいるわけですから。
アルコール依存症の強い人は「アルコールなら何でもいい」と、酒がないときはエチルアルコールまで飲み干すというほどなので、タバコの場合も、銘柄にはこだわらず「吸えれば何でもいい」とまでになると、ニコチン依存の程度が相当進んでいると判断して良いでしょう。
結局、私の場合、いきなり断煙したのではなく、少しずつ喫煙本数を減らしていったのが功を奏して、結果的にいつの間にかゼロになっていました。
その間、吸いたい時はいつでも吸える環境にあったので、よけいなストレスやプレッシャーとは無縁でした。
だからこそ、逆に我慢しようと思えば我慢できたのでしょうね。
禁煙して何年経ったか、記憶も忘れがちになった今、紙巻きタバコや電子タバコを見ても、全く興味は感じませんね。」
以上。
いかがでしょうか。
そろそろ禁煙を考えている人達に、少しでも参考になれば、幸いです。