冷え症を始め、体に数々の不調をもたらす血行不良は、血管年齢、すなわち血管の老化と密接に関係しています。
そこで、今回は、血管の老化とは、具体的にどういうことなのか、その原因なども含めて、お伝えします。
■最近よく耳にする「血管年齢」とは?
最近、血管年齢という言葉をよく耳にすることがあります。
血管年齢とは、「血管の老化の度合いを表す目安となる指標」と言えます。
そもそも血管は、年齢とともに老化が進むものです。
若いうちの血管は、弾力があってしなやかですが、年齢とともに徐々に硬く、もろくなっていきます。
いわゆる動脈硬化と呼ばれる症状になってしまうのです。
言い換えれば、血管年齢は、「動脈硬化の進行の度合いを表している 」ということにもなります。
血管年齢が実際の年齢よりも高ければ、それだけ動脈硬化が進行していることになるのです。
動脈硬化が進むと、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を発症し、また、肩凝りや冷え症の原因となり、さらに皮膚や髪など、見た目の若々しさにも影響します。
この血管年齢は、医療機関で特別な検査をすることで、簡単に調べることができます。
血管年齢には個人差があり、生活習慣と密接に関わっています。
「人は血管とともに老いる」と言われるとおり、加齢とともに血管は老化します。
しかし、近年では、生活習慣によって、血管の老化スピードは速くなり、個人差がありますが、実年齢より10歳も20歳も高い血管年齢の人も増えているのです。
■血管年齢が高くなる原因は?
では、加齢以外に血管年齢が高くなる、血管の老化が進む原因は何でしょうか?
主要な原因としては、不健康な生活習慣、すなわち、運動不足、高糖分・高脂肪・高塩分の食生活、喫煙、ストレスなどが挙げられます。
そして、それらの要因が、高血圧、脂質異常症(中性脂肪の増加、善玉コレステロールの減少、悪玉コレステロールの増加)、糖尿病、肥満などの成人病を引き起こして、さらに血管を痛め、血管の老化を加速度的に進めてしまうことになるのです。
■冷え症の原因=血管の老化!?
例えば、冷え症の大きな原因は、体の血液循環が悪くなる、血行不良にあります。
また、冷え症の人は普通の人より血管が硬くなっている、つまり老化しているということが分かってきました。
どうやら、その血液の循環の悪さが血管を硬く、老化させてしまっているようなのです。
つまり、冷え症は、体が冷えて辛いだけでなく、血管を老化させる原因にもなっている可能性が高いと言えるのです。
そして、血管の老化がますます冷え症を悪化させてしまうという悪循環に陥っているのです。
従って、冷え症を改善するには、手や足などの末梢の血管までしっかり血を巡らせることが大切で、そのことが同時に血管の老化を防ぐことにもなるのです。
■血管が細いと、冷え症になりやすい!?
また、血管が細いと、血管内も狭くなるため、血管年齢が高くなって、動脈硬化を招きやすく、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高くなる可能性があります。
そして、血流も少なくなるので、冷え症や貧血になりやすく、低体温・低血圧になりがちで、免疫力が低下して風邪を引きやすい、など様々な体の不調が表れるようになります。
・血管が細くなってしまう理由は?
体質的に、生まれつき血管が細い人もいますが、筋肉量が少ないことと、運動不足が血管を細くしてしまう大きな原因と言われています。
心臓から送られた血液を心臓へと戻すのに、筋肉の動きが関係しているのです。
筋肉の伸縮により、筋肉内にある血管も同時に収縮と拡張を繰り返して、血液が送られます。
このため、筋肉量が少ないと、この働きが弱まり、血管内の血液の送られる量が減り、血行不良になってしまうのですす。
そして、運動が不足すると、筋肉が衰えてしまいます。
筋肉が衰えることにより血管が細くなり、血液循環が悪くなるといった悪循環になってしまいます。
デスクワークなどで、日頃運動不足の人は血管が細くなり、血行不良になりやすいと言われています。
また、塩分の摂り過ぎも血管が細くなる原因の一つです。
塩分を摂り過ぎることで細胞内のナトリウム量が増加し、細胞内に必要以上の水分が取り込まれることになり、そうして膨張した細胞によって血管が細くなるからです。
・末端冷え症を起こしやすくなる
冷え症の中でも、手先や足先といった末端部分だけが冷え症になることを「末端冷え症」と言います。
体の末端部分を支えている毛細血管は、もともと細いので、血液の流れが他の部分よりも悪くなりやすい傾向があります。
さらに、重力に逆らって心臓まで戻らなくてはならないので、足先などは血流の力がとても弱いのです。
末端冷え症の人は、毛細血管で血行不良を起こしてしまっているのです。
■血管がない、ってどういうこと!?
冷え症の人の手先や足先のMRI検査で、画像に血管が映らない場合が時々あります。
血管が細いどころか、「血管がない」という状態になっているのです。
実は、毛細血管など細部に渡る血管は、血行不良などにより血液が送られない状態が続くと、不要なものとして消滅してしまうのです。
毛細血管が衰えて血流がなくなる症状を、血管の「ゴースト化」とも言います。
毛細血管がダメージを受けて「ゴースト化」すると、その部分には血液が通わなくなるので、当然冷えます。
すると、周辺の血流も滞り、それが長く続くと、さらなる「ゴースト血管」を招き、そことつながる主要な血管の血行も悪くなり、全身が冷える・・・という深刻な冷えのスパイラルになってしまいます。
「ゴースト血管」は、血管の老化現象の一つですが、最近は生活習慣などにより、若くても血管の「ゴースト化」が進行している人が増えているので、要注意なのです。