冷え症に効く、お灸のツボと効果とは?

お灸というと、お年寄りが腰痛や神経痛の改善などのために行うというイメージが強いかも知れませんが、実は、若い女性にも嬉しい効果がたくさんあります。

体を芯から温めて、血行を良くする働きのある「お灸」は、冷え症を始め、体の様々な不調を改善するのに極めて効果的です。

また、今では、鍼灸などに行かなくても、自宅で簡単にお灸をすることもできます。

そこで、今回は、冷え症に効くお灸の正しいやり方場所ツボ)などについて、お伝えします。

東洋医学で発展してきた「お灸」とは?

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お灸は、中国が発祥で、紀元前から東洋医学の一つとして発展してきました。単なる健康法ではなく、立派な医療の一つなのです。

お灸が日本に入ってきたのは飛鳥時代、仏教伝来の頃と伝えられています。

江戸時代には、東洋医学全盛となり、お灸も日本から世界に広まっていきました。

明治時代になって、西洋医学が主流になるまで、お灸は日本の「医療」として、日本人の健康を支えてきたのです。

海外では、お灸は「Moxa(もぐさ)」として知られています。

もぐさとは、「燃え草」という意味があり、点火しやすく火が消えにくいという特徴があるので、お灸には最適な原料です。

お灸で使うもぐさの原料はよもぎです。日本では、お茶にしたり、お餅に入れたりと、なじみのある植物です。

よもぎは、ヨーロッパでは「ハーブの女王」と呼ばれるほど、効果の高い薬草です。

また、シネオールという成分の精油が含まれています。ユーカリローズマリーなどにも含まれている成分で、燃やすことで、アロマ効果が表れ、リラックス効果が期待できます。

■お灸の冷え症改善効果とは?

・血流改善で、「冷え症」体質を改善する

冷え症の改善には、血流が悪くなった原因を改善させることが必要です。

お灸には、体の表面だけではなく、体の中を温め、体質まで改善する働きがあります。

お灸は、もぐさによる温熱刺激によって、血液中の赤血球を増やす造血作用があるほか、血液やリンパの流れを改善することで、血行が良くなり、冷え症の改善につながるのです。

お灸を使った治療法(東洋医学)では、「気」「血」「水」のバランスの崩れが血流を悪くして、冷え症を招くとしています。

体のツボにお灸をすることで、「気・血・水」のバランスが取れて、血流が改善して、体の中からじんわりと温かくなります。

体のツボを温めることにより、白血球が増加し、免疫力を高める働きがあります。

リンパ節や細胞の働きも活性化されて、自然治癒力が高まり、風邪も引きにくくなるのです。

・「気」の流れを整えて、様々な不調を改善する

血行とともに「気」の流れを整えることにより、自然治癒力を高め、様々な体の不調を整える効果があります。

「気」は目には見えませんが、流れが滞ると病気になりやすくなると考えられています。

体のツボにお灸をすることで、「」の通り道である経絡の流れが良くなり、自律神経のバランスを整えることで、様々な健康効果が得られます。

■冷え症に効くお灸の種類とは?

・お灸にも、いろいろなやり方がある

もぐさに火を点けるのが、いわゆるお灸のイメージだと思いますが、お灸のやり方には、もぐさの大きさや置き方によって、いくつか種類があります。それらを紹介しましょう。

・点灸(てんきゅう)

米粒半分くらいの大きさのもぐさを直接肌の上に乗せて、火を点けます。

燃え尽きるまで乗せているので、ちょっと熱いかも知れません。

・知熱灸(ちねつきゅう)

もぐさを小指の先ほどの大きさにして肌の上に乗せ、火を点けますが、熱さを感じたらすぐに取りましょう。

・あぶり灸

火をつけたもぐさをピンセットなどでつまみ、ツボを温めます。

直接乗せないので、じっくりと温めることができる方法です。

・竹の輪灸

竹の輪っかの中にもぐさを詰めて燃やし、その温めた竹を体に当ててコロコロと転がします。

広い面積を温めたい時に向いています。マッサージをしているかのような温かさです。

・棒灸

太いタバコのように、もぐさを和紙で棒状にくるんだものの先端に火を点けて、ツボに近づけて温めます。じっくり温めたいときにおすすめです。

・台座灸

市販のお灸がほとんどこのタイプです。台座の上にもぐさが乗っていて、シールでツボに貼り付けて使います。

熱さもソフトなので、お灸初心者におすすめです。

・隔物灸(かくぶつきゅう)

スライスした生姜などの上にもぐさを置いて、火を点ける方法です。

直接もぐさが肌に当たらないので、じんわりと温まります。

■自分でもできるお灸のやり方とは?

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お灸は、古くから民間療法として普及しているので、鍼灸などに行かなくても自宅でできます。

最近は、非常に便利になってきていて、ドラッグストアやインターネットで「お灸」のセット(「せんねん灸」など)が購入できます。

慣れてくれば、自分自身で手軽にお灸ができるでしょう。

・お灸の手順(「せんねん灸」を例にした場合)

①お灸を用意する

紙に巻いたもぐさに台座がついた「台座灸」なら、もぐさに火を点けて乗せる「直接灸」より熱くならず、やけどする心配もないので、初心者でも安心です。

②お灸のシールを剥がして、ライターで火を点ける

③ツボに貼る

至って簡単でしょう。中には火を使わないタイプもあり、それなら煙も気になりません。初めて使う時は、そういったものでも良いでしょう。

 

 

 

 

長寿者に学ぶ健康長寿とは?

■世界一の長寿国になった日本

厚生労働省の発表によると、2020年の日本人の平均寿命は男性81.64歳、女性87.74歳で、共に過去最高を更新しました。

男女合わせた平均寿命は84.3歳となり、世界一の長寿国です。

さらに、100 歳以上の長寿者を百寿者と言いますが、1963 年にはわずか 153 人に過ぎなかったのが、1981 年には1,000 人を超え、1998 年には1 万人を超えました。

その後も毎年増加を続け、2021年9月には実に8万6,510人に上っています。

ちなみに、その内訳は圧倒的に女性が多く、全体の88.4%を占めています。

厚労省は、「医療技術の進歩や健康志向の高まりに伴って、今後も平均寿命は延びる余地がある」とコメントしています。

長寿社会の到来に向けて、今回は、長寿者の方々がどのようなライフスタイルを送っているのかを調査した結果を基に、健康長寿についての秘訣を紹介します。

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■長寿者の健康の秘訣とは?

長寿者の人の心と身体についていろいろ観察した結果、個々の病気の発現は、必ずしも一般的注意を怠ったことによるものとは限らない、ということが言えそうです。

また、 病気の原因と痛みの原因とは、同じであることも分かってきました。

病気と痛みは、いずれも「不安」のような悪い心の状態によって発現すると言ってもよいでしょう。

言い換えれば、「不安」を解消することにより、病気や痛みの予防や治療ができるということになります。

さらに長年、百寿者について、その長寿を達成できた健康法などについて調べた結果、健康長寿の秘訣として、次の 3つが最も重要であることが分かってきました。

1.生きがいを持つ

2.くよくよしない

3.腹八分

この3つのことは、よく耳にすることですが、 一般的な健康法としては、あまり強調されていることではありません。

かつて、大隈重信 (1838~1922)は、「人間は本来、125 歳まで の寿命を有している。適当 なる摂生をもってすれば、 この天寿をまっとうできる」と語り、83歳で天寿を全うしましたが、長らく現役の政界人として活躍し、最後の総理退任時の年齢は満78歳6ヵ月で、これは歴代総理大臣中最高齢の記録でした。

一般的健康法は、主として肉体的健康のためのものです。

一方、長寿者の人達の健康法は、主として精神的に健全な状態を目指したものであると言えます。

長寿者の人は、比較的若い時期に、精神的健康を維持する重要性を痛感し、実践を重ねて体得して、高齢になってからも、常に精神的健康の維持ができるようになった人達なのです。

すなわち、長寿者の方は、ストレス解消の達人が多いと言って良いでしょう。

逆に、ほとんどの人は、精神的健康の維持の重要性について理解不足で、ストレス解消に対する実践が下手で不十分なために、弱いストレスでも各種の病気を招きやすく、結果的に病気になりやすくなってしまうのです。

ということは、心の持ち方、生き方への心構え(Attitudes)が長寿に大きく影響を与えると言えるでしょう。

5つの 100 歳長寿アドバイス

この 50 年間で、日本の百寿者は 約500 倍に増加しています。その百寿者の特徴について調べた研究によると、共通しているのは、大体次のような性質です。

・明るく親しみやすい

・仕事熱心

・几帳面

・外交的

楽天

ある研究者によると、人間の一生には成長、成熟、老化‐死亡の三つの過程があって、老化は喪失の時期と言われており、老化を早める因子として、次の 5 つが挙げられます。

1.仕事を失う(定年退職)

2.家族・近親者、友人を失う

3.社会とのつながりを失う

4.病気になりやすい

5.経済的余裕を失う

従って、老化を防ぐには、病気の予防や事故防止とともに、日頃の心身の活動が大事になるというのです。

すなわち、次の5つです。

1.生きがいを持つ

2.心身に合った生活リズム ~食事、睡眠、便通、昼間の活動

3.家族、世のため、人のために生きる

4.親しい友人を持つ

5.家に閉じこもらない

健康寿命 100 歳を超えよう

2015年に発行された「100 歳まで働く時代 がやってきた」(ぱるす出版)や「百年以上続い ている会社はどこが違うのか?」(致知出版社) の著者・田中真澄氏は、日本映画界の巨匠で 文化勲章受章者の映画監督・脚本家だった新藤兼人氏について、次のように語っています。

 「(新藤)氏は、100 歳の誕生日の 1 ヵ月後に 亡くなりましたが、最後まで現役を貫かれた方でした。90 歳の時、日本経済新聞紙上でこう語 っていました。

『最後まで仕事をして、まだ死ねないと未練たっぷりのうちに死ぬ人は、その瞬間まで生きたということです。

私は、仕事こそが人生だと思います。 この考え方はいくつになっても変わらない。人 は仕事をして生き、仕事をしながら死ぬのだと考えます。

私も、もし撮影中に倒れれば、他の人には迷惑かも知らないが、私の生涯は幸福だったと思うに違いありません』。

この新藤氏の 90 歳の時の言葉を、私も10 年後の自分の90 歳の誕生日に言えるようでありたいと考え、そういう自分になるためには、私自身が死ぬまで働く具体的な目標を抱き、日々真剣に仕事に生きる気概を持ち続ける必要があります。」

まさに、仕事を志事( しごと) にしていたのではないかと思います。

田中氏は、43歳で日本経済新聞社を退職後、「人生100 年」の到来を予測し、それに対応した新しい生き方を情熱的に説く日本初のモチ ベーショナルスピーカー(人々にやる氣を喚起する専門の講演家)として、85歳の現在も、100 歳に向かって働くことの大切さを啓蒙する講演活動を精力的に続けています。

健康づくりは、日々の継続が大事!

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また、福岡県後期高齢者医療広域連合では、高齢者が自立して健康に日常生活を過ごせるように、健康づくりに取り組んでいます。

その一環として、 健康長寿マイスターで 107 歳まで現役で「御長寿」であった曻地( しょうち) 三郎博士が提唱する十大『習慣健康法』を、家庭でも楽しく実践、自己採点で きるダイアリー(日記)形式の冊子を作成してい ます。

曻地氏は、1906 年(明治 39 年)北海道に生 まれ、旧制広島文理大学(現広島大学)卒業後、 九州大学医学部で精神医学を学んだ後、1954 年福岡市に社会福祉法人しいのみ学園を創立 し、障がい児教育に尽くしました。

日本国内はもちろん、世界中で講演活動を 行い、2005 年(99 歳)~2008 年(102 歳)の 4 年間及び2010年(104歳)~2012年(106歳) の 3 年間、通算 7 回の世界一周講演旅行を行 い、2012 年には、公共交通機関を利用して世界一周をした最高齢者として、ギネス世界記録に認定されました。

2013 年に107 歳で天寿を全うされましたが、「わが人生は楽しかりけり・・・ 悔いることなし」という辞世の句を幾度も噛み締 めながら、「108 歳になれば、パスポートが切れる。 今度は地球を飛び出して宇宙に行くよ。パスポ ートがいらないからね!」と笑顔で言い残したとのことです。

「健康づくり」は、毎日継続することが大切です。無理をせず、できることからコツコ ツと、楽しみながら継続することが健康長寿へつながります。

そのため、福岡県後期高齢者医療広域連合では、「健康長寿ダイアリ ー」を使って、日々の健康づくりにチャレンジすることを勧めています。

健康になることは手段であって、健康になって何を成すのか、何を志(こころざ)すかが大切なことを、医者も「生きがい」や「働きがい」を長寿の条件のトップに挙げて、提言しているのです。

 

 

 

漢方で、体の不調を改善しよう

自然治癒力を高める「漢方」とは?

「漢方」と聞くと、皆さんは何をイメージしますか?古来より薬草を煎じてこしらえた漢方薬とか、鍼、灸、指圧などを含めた伝統的な東洋医学をイメージされると思います。

今回は、いわゆる「漢方薬」とその効能などについて、紹介したいと思います。

漢方は、体の表面に表れている症状だけでなく、その奥にある原因まで探り、人に本来備わっている自然治癒力を高めることで、不調を改善します。

冷え症に対しても、漢方を利用して体質改善をすることで、体の中から温めることができるようになれば、抜本的な改善につながります。

そして、単に冷え症や貧血を改善するだけでなく、冷え症や貧血によって起こる様々な体の不調を改善する効果も期待できます。

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■冷え症・貧血に効く漢方薬とは?

漢方では、体質やその時々の状況を「気・血(けつ)・水(すい)」という「体を構成する要素」でとらえます。

貧血は、「血」が不足した「血虚(けっきょ)」と呼ぶ状態と考え、貧血に伴う動悸、息切れ、倦怠感、肩凝り、イライラなどの症状や体質などを考慮して、その人に合った薬が処方されます。

冷え症・貧血改善に効果がある主な薬を紹介します。

 ・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

体を温めて、血行を良くする働きがあります。

体力が標準より弱く、貧血、冷え症、低血圧、月経異常、下腹部痛、めまい、立ちくらみ、肩凝り、耳鳴り、動悸、更年期障害、頭重感、腰痛、足腰の冷え、むくみ、疲労倦怠がある場合に向いています。

六君子湯(りっくんしとう)

体力が標準より弱く、貧血ぎみで手足が冷えやすい、胃腸の働きが弱く食欲がない、消化不良、みぞおちがつかえる、嘔吐などがある、疲れやすいなどの場合に向いています。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

体力が標準より弱く、貧血、疲労倦怠、食欲不振、手足の冷え、寝汗、病後・術後の体力低下などがある場合に向いています。

・人参養栄湯(にんじんえいようとう)

胃腸に直接働きかけて、体を元気にする漢方薬です。

体力が虚弱で手足が冷えやすい、貧血、疲労倦怠、食欲不振、胃腸の消化力の低下、寝汗、病後・術後の体力低下などがある場合に向いています。

・加味帰脾湯(かみきひとう)

血の巡りを良くすることで、冷え症を改善します。

体力が虚弱で、疲れやすい、顔の血色が悪い人の貧血、動悸、不眠、倦怠感、イライラする、感情の起伏が激しい、気持ちが不安定で精神不安などがある場合に向いています。

専門の漢方薬局や漢方医に相談しよう

漢方薬の効果を最大限に発揮するには、自分の体質や症状に合ったものを選ぶ必要があります。

自分の体質や症状に応じて、専門の漢方薬漢方医に相談しながら、冷え症や貧血のタイプや重症度に合わせて、自分に合った漢方を処方してもらいましょう。

 漢方薬で、冷え症・頭痛を改善する

私たちの体調不良の中には、症状のみで病名が付けられない病気の一歩手前の状態が存在します。

それを「未病」と呼び、西洋医学では対応しにくい事が多々ありますが、冷え症もこの未病の一つで、そんな未病にも効果的なのが漢方医学です。

漢方にとって、冷えの症状はとても重要な項目なので、冷え症対策として、漢方医学の力を借りることも大変有効です。

市販の漢方薬の中から、冷え症に良いとされるものを選んで、規定通りに服用したり、漢方薬を処方してもらえる病院を受診し、自分に合ったものを処方してもらうと良いでしょう。

 症状別で見る冷え症と漢方

 冷え症は、冷えだけではなく、頭痛・めまい・肩凝り・月経困難・便秘症などの様々な症状を伴います。

いずれの場合も、まず冷え症を改善するために、血行を改善して、血液を増やすことが大事になります。

今回は、冷え症に効果的な漢方薬を症状や体質別に分けて紹介します。

漢方から見た頭痛のメカニズム

頭痛は、何らかの原因によって、体の中の巡りが邪魔され、上部()への「」や「血(けつ)」の流れが乱れてしまった状態です。

その原因が「冷え症」である場合は、頭痛が生じるだけでなく、胃腸の働きも弱り、吐き気や嘔吐なども生じます。

「冷え」は「気」や「血(けつ)」の通路へ入ってきますが、冷えが入りやすい道筋が、足の内側や、体の側面、側頭部などにあるため、手足や指先の冷えが生じ、またこめかみなどが痛む頭痛が起こるのです。

■冷え症・頭痛や吐き気に効く漢方薬

漢方では、「」を補い、胃腸を温め、働きを高めることで、滞った「気」を巡らせ、頭痛を改善し、同時に吐き気、肩凝り、こわばりも治していきます。

そのための代表的な漢方薬を紹介します。

・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

一般的に、冷え症とともに偏頭痛や緊張型頭痛も併発している人に処方され、肩やうなじ周りの凝り解消にも使われている漢方薬です。

体の中心であるお腹を温め、「気」や「血(けつ)」の流れを乱していた「冷え」を取り除くことで、吐き気を伴うほど激しい頭痛を鎮めます。

胃腸の働きを整え、吐き気を鎮める働きもあるため、胃腸が弱い方の頭痛薬としても適しています。

そのため、嘔吐・悪心などの消化器症状がある場合でも服用しやすくなっています。

ズキズキする頭痛、頭痛からくる吐き気で悩む方におすすめの漢方薬です。

 ・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)

四逆」の「」とは四肢、「」とは「逆冷」のことで、体の末端から冷えが上がっていくことを意味し、冬場の外出時の足先の冷えなどから始まり、次第に慢性的な手足の冷えに発展し、頭痛、吐き気、めまい、腰痛、坐骨神経痛なども引き起こします。

当帰」が血行を改善し、「茱萸」「生姜」が体を中から温めます。

 「呉茱萸」には胃腸を丈夫にする効果が、「生姜」には体の中の水の巡りを良くし、吐き気などを止める作用もあります。

冷え症改善の代表的な漢方薬で、慢性化してしまった冷えにも効果があります。

末端から冷えてくる末端冷え症の人に特におすすめで、ひどくなった冷え症でも効果を発揮してくれます。

■漢方から見た、肩凝りのメカニズム

漢方では、肩凝りを「気」と「血(けつ)」の巡りが滞っている状態と考えます。

ところが、この状態が何度も繰り返されると、「血(けつ)」の巡りも滞ってしまい、そうなると、動かすだけでは改善されなくなり、慢性的に痛むようになります。

また、巡りが悪くなると、徐々に「気」と「血(けつ)」が不足し、湿気や冷えが入りやすくなって肩を冷やします。

肩が冷えると、ますます「気」「血(けつ)」の巡りが滞り、痛むようになる、悪循環をもたらすようになってしまうのです。

■冷え症・肩凝りに効く漢方薬

西洋医学では、「血行不良」を改善させるためのビタミン類や、痛みを止める鎮痛薬などが使われます。

一方、漢方では、「気」と「血(けつ)」の巡りを良くすることで、凝りをほぐしていきます。

また、湿気を取り除いたり、冷えた部分を温めたりして肩凝りを改善します。

独活葛根湯(どっかつかっこんとう)

「独活葛根湯(どっかつかっこんとう)」は、「葛根湯」をベースに「独活(どくかつ)」と「地黄(じおう)」を加えた処方です。

熱を作る力を助けて体を温め、風邪や肩凝りを治していく「葛根湯」に、痛みを止める生薬や、「気」「血(けつ)」の不足を補う生薬をプラスしたことで、より肩凝りへの効果を強めた処方にしています。

慢性的な肩凝りに向いています。

 

 

いかがですか。

冷え症や貧血、低血圧も、改善するには、共通して基本的な生活習慣の改善がまず大切です。

もし、様々な冷え症対策をしても、なかなか改善されない場合は、一度、冷え症や貧血の専門医を受診して、徹底的に原因を究明されることをおすすめします。

単に冷え症や貧血だと思っていたのが、実はその背景に大変な病気が潜んでいたということもあり得るからです。

冷え症を改善する、体を温める飲み物とは?

冷え症改善に役立つ、体を温める飲み物には、どのようなものがあるでしょうか?

今回は、具体的な飲み物やサプリメントなどにについて、紹介していきます。

初めに注意したいのは、温かい飲み物を摂っているからといって、必ずしも体の中が温まるとは限らない、ということです。

例えば、暑い国で育つコーヒーや、製造工程で発酵していない緑茶や抹茶は、体を冷やす飲み物とされています。

そこで、本当に、体の芯から温める飲み物を紹介します。

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<白湯>

白湯(さゆ)は、冷え対策に良い飲み物と言われています。お湯を沸かして、体温よりも少し温度が高いくらいまで冷まして飲みます。

白湯を飲むと、胃腸の動きが活発になり、代謝が上がると言われています。そして、代謝が上がることでダイエット効果が得られるほか、体温が上がることで免疫力もアップすると言われています。

<紅茶、ほうじ茶、プーアール茶、ウーロン茶>

これらは、製造過程で発酵しているお茶です。

中でも、紅茶は、カフェインを含むため体温を下げるのでは?と思われがちですが、製造過程で発酵しているので、体温を上げる効果があると言われています。

また、朝に飲むことで、さらに効果が高まります。代謝が上がり、集中力もアップ。糖質を分解してくれる働きもあるので、朝にはピッタリの飲み物と言えるでしょう。

紅茶と同様に、お茶の葉を発酵させたほうじ茶は、含まれている「ピラジン」という成分が、血液のめぐりを促進して、体を温めてくれると言われています。

ほうじ茶には、生姜や黒砂糖を入れてアレンジして飲むのもおすすめです。

<黒糖シナモン茶>

シナモンは、体を温める効果が強く、血行を良くして冷えの症状を緩和すると言われています。

黒糖も体を温めてくれる上に、シナモンとの相性が抜群!相乗効果が期待できます。

紅茶にシナモンスティックや黒糖等を入れるだけで、簡単に作ることができます。

梅醤番茶

梅醤番茶うめしょうばんちゃ)とは、番茶に梅干しを入れた飲み物です。

梅干しには、体を温める効果があると言われているため、冷え症の人にはおすすめの飲み物です。

タンポポ茶、タンポポコーヒー、ゴボウ茶>

タンポポ茶やタンポポコーヒーは、タンポポの根を使用したものです。

利尿作用が高く、血行促進や新陳代謝を促進します。これにより、老廃物を排出し、冷え・むくみの改善やデトックス効果も期待できます。

ゴボウ茶を含め、地中で育った物から作られた飲み物です。

東洋医学でも、ゴボウは身体を温める効果があるとされ、気のめぐりを促す食材とされています。

ゴボウ茶に含まれるサポニンは、血流を良くする効果があり、肩こりや冷え症の改善が期待できます。

<ショウガ湯、ショウガ紅茶>

体を温めると言えば、ショウガです。ショウガに含まれるショウガオールが体を温めます。

そのままでは飲みにくいという人は、ハチミツをプラスすることで飲みやすくなります。

すりおろしたショウガを紅茶に入れたり、葛湯に入れたりするのもおすすめです。紅茶や葛湯の温め力で、よりポカポカに温まります。

<ココア、黒豆茶、ホット(赤)ワイン>

いずれも、ポリフェノールの血管拡張作用により、血流を良くしてくれます。

ココアに含まれる「テオブロミン」は、末梢の血管を拡張する効果があると言われており、血流を良くします。

体温を上げて、血圧を下げるほか、ポリフェノールが豊富なため、美肌やダイエットにも効果が高いと言われています。

自律神経を整え、リラックス作用もあるため、寝る前に飲むと良質な睡眠が期待できます。

黒豆茶は、貧血予防や、血行促進が期待できるお茶なので、冷え症の女性などには特におすすめのお茶です。

また、ノンカフェインで、お腹を温める効果があり、女性ホルモンのバランスも整えてくれると言われています。

ホットワインも、体を温める効果があると言われる飲み物です。

ホットワインは、赤ワインにシナモン、クローブ、カルダモン、オレンジ、黒糖またはハチミツを加えて作ります。

ちょっと体が冷えたなと思った時に飲むと、リラックスできて、体も温まるのでおすすめです。

<日本酒、紹興酒

製造過程で発酵しているため、体を温めます。

麹の甘酒>

米麹から作られた甘酒は、「飲む点滴」と言われるほど栄養価が高く、代謝を促進させて、体全体を温めてくれる飲み物です。

とろみがあって、胃に滞留する時間が長いので、温かさが持続します。

■冷え症を改善するサプリメントとは?

冷え症改善に、体を温める食べ物や飲み物をいろいろ紹介しましたが、中には好き嫌いの激しい人もいるでしょう。

体に良いのはわかるけれど、どうしても食べられない、飲めないという場合には、食べ物・飲み物に含まれる成分をサプリメントから摂ることで、ある程度補えます。

冷え症改善に効果的な成分とは?

サプリメントを選ぶ際に、ぜひ参考にして欲しいのが、冷え症改善に有効な成分が含まれているか、どうかです。その主な成分を以下に紹介します。

・ショウガオール

ショウガオールは、ショウガに含まれる精油成分で、ショウガにはこれ以外にジンケロールなどが含まれています。ジンケロールは、加熱によりショウガオールに変化します。

ショウガオールやジンケロールには、強い殺菌作用と活性酸素の消去作用があり、抗炎症・抗ガン・発ガン抑制に効果があると言われています。

ポリフェノール

ポリフェノールは、植物の苦み、渋味、色素の成分となっている化合物の総称で、血管拡張作用があります。

・ヘスペリジン

ヘスペリジンは、ポリフェノールの一種で、抗酸化作用や末梢血管を強化する作用があるため、血流を改善する効果、高血圧を予防する効果、コレステロール値を低下させる効果などが期待されています。

・ビタミンE

ビタミンEは、強い抗酸化作用を持つビタミンの一つで、体に様々な害を与える活性酸素から体を守る効果があります。

血管や肌・細胞などの老化を防止し、血行を促進するなど生活習慣病の予防に効果があります。

・ケイ素

 ケイ素は、骨、筋肉、皮膚、血管、内臓、髪、爪、脳など、人体のあらゆる場所に存在している必須ミネラルです。

様々な老化現象(エイジング)は、ケイ素の不足が大きく関わっているとされています。

このケイ素をしっかりと摂取することによって、血管の細胞の構成成分として働き、傷ついた血管壁や硬くなった血管を修復して、強くてしなやかな血管にしてくれます。

血管を改善することで、冷え症に効果があるだけでなく、生活習慣病の予防にも繋がります。

■冷え症を改善する料理を工夫しよう

体を温める食べ物を、いかに美味しく食べるか、それがとても重要なポイントです。

食材の組み合わせにより、体を温める効果をより高め、かつ美味しく食べられるよう、レシピを工夫しましょう。

また、調味料にも、体を温めるものと冷やすものがあります。

・体を温める調味料:みそ・醤油・塩・和風ドレッシング

・体を冷やす調味料:白砂糖・酢・マヨネーズ・バター・植物油・化学調味料

体を冷やす食べ物でも、体を温める調味料などを加えることによって、体を温める食べ物に変わることもあるので、食べ物の性質を知って、上手に利用しましょう。

例えば、野菜は生ではなく火を通し、塩味をつけて食べると良いでしょう。

また、「白米は体を冷やす」と言っても、玄米では、手がかかるし、時間もかかる・・・という場合は、五穀米や黒米を一緒に炊いたり、ごま塩をかけて食べるのも一案です。

いろいろ、試してみてはいかがでしょうか。

 

 

いかがですか。

冷え症を改善するには、体を温める食べ物と飲み物を日常的に摂ることで、抜本的に体質改善をはかっていくことがとても重要です。

ぜひ、これからの食生活の参考にしていただきたいと思います。

 

冷え症を改善する、体を温める食べ物とは?

冷え症改善に役立つ、体を温める食べ物には、どのようなものがあるでしょうか?

今回は、具体的に、野菜、魚介類、その他の食材について、紹介していきます。

■冷え症を改善する食べ物①~体を温める野菜

まずは、野菜です。

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生姜

漢方薬には7割に生姜が入っているほど、万病に効果があります。

血液の循環を良くして、体の芯から温めてくれる食材です。

特に、成分のショウガオールには、血流を良くして体温を上昇させて、脂肪や糖の燃焼を促進させる作用があります。

冷え症改善にとって、生姜はなくてはならない食べ物と言って良いでしょう。

にんじん

漢方では、にんじんは内臓を温め、血を補う効果があると言われています。体が冷えやすい方は積極的に食べるようにしましょう。

にんじんには、なんといってもβ-カロテンが豊富に含まれているのが特徴です。βーカロテンは、体内でビタミンAに変化し、万病の元といわれる活性酸素の働きを抑えます。

ごぼう

ごぼうは、根を食べる野菜ですので、体を温めてくれて、足や腰の痛み、残尿、頻尿、精力減退、足のむくみなどの下半身の不調を改善してくれます。

尚、にんじんとごぼうを一緒に調理して「きんぴらごぼう」にすれば、にんじんの栄養素を余すことなく効率的に摂ることができます。

にんにく

にんにくの体温アップ効果は絶大です。内臓を温め、代謝を上げて発汗・利尿を促すので、冷え症やむくみやすい方に特におすすめです。

玉ねぎ

玉ねぎは、野菜の中で最も糖質が多く、ほとんどがエネルギー源として使われます。

玉ねぎには特有の香りのもととなる硫化アリルが含まれていて、血液をサラサラにする働きがあり、さらに血管が若返って弾力を取り戻し、動脈硬化や高血圧を防ぎます。

この硫化アリルには、殺菌、防腐、発汗、利尿、解毒などの作用もあるので、余分な水分を出して、体を温める効果があります。

夏バテや疲労が溜まっている時は、ビタミンB1が豊富な豚肉と合わせて食べると、さらに効果的です。

冷え症体質の人は疲れがとれにくいので、ビタミンB1が多い豚肉や豆類と玉ねぎを使った料理を普段から食べるといいでしょう。

やまい

やまいもは、滋養強壮にすぐれた食材です。

やまいもは、胃腸の働きを良くしてくれるだけでなく、体もしっかりと温めてくれ、さらに、足腰の冷えや痛み、頻尿、骨粗しょう症などの老化現象にも効果的であると言われています。

長ネギ

冬の鍋に欠かせない長ネギは、風邪の予防に効果があります。漢方では、頭痛や鼻づまりなどの風邪の初期症状の治療に用い、体を温め、発汗を促す作用があります。

体が冷えやすい冬や冷え症の方は、鍋や煮物、汁物などに長ネギを入れて食べましょう。

体の内側からポカポカと温まり、免疫力がアップし、風邪予防になります。生姜と一緒に入れると、さらに効果が上がります。

ニラ

ニラは、ネギと同様、硫化アリルが含まれています。硫化アリルが血行を促進し、内臓を活発にして、体の内側からポカポカに温めてくれます。

ビタミンB1が豊富に含まれている豚肉と一緒にとれば、滋養強壮作用があるので、ぜひ豚肉炒めでスタミナアップをはかりましょう。

しそ

同じしそでも、赤じそと青じそでは違いがあります。赤じそは体を温めますが、青じそはそれほどでもありません。

漢方では、しそは心身の冷えを取り除くと言われるほど、あらゆる薬効を持ちます。

その効果の基となるのが、独特の香りの成分であるペリルアルデビドです。

栄養素の面でも、βーカロテン、ビタミンE・B2・Cなどが豊富に含まれていて、美容効果、動脈硬化の予防などにも効果があります。

また、余ったしそは、お風呂に入れると体が温まります。冷え症や神経痛、腰痛、生理不順などにも効果があります。

パセリ

ヨーロッパでは、薬用とされているほど栄養効果が高い食材です。

パセリには、βーカロテン、ビタミンE・B2・Cなどのビタミンが大変多く含まれていて、体の不調の原因となる冷えを改善して、美肌効果、眼病予防、胃腸・肝臓の強化があります。

その他、カリウムやカルシウム、鉄などのミネラルも豊富に含み、高血圧予防や骨の強化、貧血予防などにも効果を発揮すると言われています。

とうがらし

とうがらしの辛み成分であるカプサイシンは、血行促進、体温上昇の作用があります。

漢方では、この辛さが消化器系を温め、食欲を増進するとして、冷えによる消化不良や食欲不振の解消に使用されます。

この温め効果は、体の外側からでも有効です。

とうがらしを刻んでガーゼで包み、湯船に入れて入浴すると、体温が上昇し、リウマチ、神経痛、筋肉痛などの様々な痛みが改善されます。冷え症の方におすすめです。

その他、朝鮮人参、自然薯、ふき、かぼちゃ、じゃがいも、玉ねぎ、レンコン、やまごぼうヨモギ、くず、オオバコなども体を温めます。

■冷え症を改善する食べ物②~体を温める魚介類

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さけ

ピンク色の身をしているサケは、体を引き締め、温める効果のある食べ物です。

漢方では、胃腸を温め、消化吸収を促進し、気力を補う魚として有名です。

さば

さばの脂には、血栓動脈硬化を防ぐEPSと脳を活性させるDHAが豊富に含まれ、生活習慣病を予防してくれます。

そのほか、自律神経を調整し、肝機能を強化するタウリンの含有量は、魚の中でトップクラスです。

さんま

さんまは、弱った体にエネルギーを補給し、胃腸を温め、気や血の巡りを良くする魚として有名です。

まぐろ

まぐろの赤身にはが多く、良質なたんぱく質を含みます。血合いにはコレステロール低下と肝機能を強化するタウリンが豊富に含まれています。

また、脂ののったトロは、血栓動脈硬化予防、若返り効果があり、血中の余分な脂肪を減少させ、脳細胞を活性化するDHAを豊富に含んでいます。

かつお

かつおは、効率的に血液を循環させて血行をよくする驚くべきチカラを持っています。

かつおを食べると、貧血予防、消化吸収力アップ、持続力アップ、疲労物質の除去などが期待できます。

かつおの特に血合い部分に含まれている鉄分の量は、レバーに匹敵するそうです。

冷えからくる頭痛、肩こりなどを改善し、血液循環を助けて肌も髪も艶やかにしてくれます。

イカ

漢方では、イカの効能を養血滋陰といい、血を作り、体を潤して冷えを取り除く食材です。

胃腸の働きを高めるため、体力の衰えや精力減退の対策にもなります。

また、女性の場合は生理不順や更年期障害などの改善にも効果的です。

エビ

エビは、殻や身に体を温めるアスタキサンチンという色素を持っています。

この色素は、強力な抗酸化作用を持っていて、動脈硬化などの原因となる活性酸素の働きを抑えるため、生活習慣病の予防に役立ちます。

カキ

カキは、体を温め緊張を和らげ、不眠を解消し、精力をつける薬効の高い食材です。世界中で愛される理由は、その薬効の高さからです。

カキフライにすると、更に体を温める効果が高まり、寝汗の予防や胃酸過多の解消に効果的です。

あさり

あさりは、体内の余分な熱やほてりを取り、イライラを鎮めて精神を安定させます。

また、糖分の代謝を促すコハク酸を多く含み、血糖値を正常にする効果も期待できます。

低脂肪で、良質なたんぱく質と鉄も多く含むため、冷え症の改善に効果的です。

しじみ

しじみは、日本では古くから肝臓を強くする食材として親しまれており、体を温める効果がある食べ物です。

また、しじみには血液の構成成分となる鉄や、ビタミンB12、カルシウムなども豊富に含まれています。

体が冷えやすい方は、朝から栄養たっぷりのしじみの味噌汁を飲みましょう。

明太子

ピリッとした辛みがおいしい明太子は、体を温める食べ物です。明太子は生殖器なので、食べれば滋養強壮に効きます。

わかめ・昆布・ひじき

これらの海藻類は、血行を良くし、余分な水分を排泄して、体を温める食べ物です。

ビタミン・ミネラルの含有量は、野菜よりもはるかに多く含まれています。

■冷え症を改善する食べ物③~体を温める肉類、その他

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牛肉・鶏肉・豚肉

漢方では、肉は胃腸の働きを良くし、筋肉を強くし、排尿を促し、むくみを取ると言われています。

中でも牛肉は、必須アミノ酸を豊富に含む良質なたんぱく質源で、胃腸を丈夫にして消化吸収を高める働きがあります。

また、体を温める作用が非常に強いので、冷え症体質の人は積極的に肉を食べるようにすると、虚弱体質が改善されます。

鶏肉は、低脂肪で、体を温め、牛肉と豚肉の10倍ものビタミンンAを含みます。

豚肉は、ビタミンB群が豊富で、特にビタミンB1が牛肉の約10倍も含んでいます。ビタミンBは炭水化物や糖質を分解し、効率的にエネルギーに変える働きがあります。

また、豚肉には血を作るビタミンとして有名なビタミンB12も豊富に含み、脳内を働きを活性させます。

そば

そばは体を温め、消化がよく、胃腸に負担がかかりません。

これにネギや七味唐辛子をたっぷりかけて食べると、ネギに含まれている硫化アリルや唐辛子のカプサイシンの効果で血行が良くなり、体を温めて血液をきれいにしてくれます。

梅干し

塩漬けされた梅干しは体、を温める食べ物です。老廃物や毒物を解毒し、血液を浄化する働きがあるので、下痢や腹痛のときに有効です。

漬け物

漬け物は、胃弱、アレルギー、貧血などの陰性体質を陽性へ改善してくれる食べ物です。

塩、みそ、酒かす、ぬかなどに漬けて発酵されている漬け物は、熱を加えていないので野菜のビタミンがそのまま摂れ、植物性の乳酸菌が豊富で、腸の働きを活性化させて免疫力を高めます。

納豆

発酵食品の代表格である納豆は、脳卒中、心疾患、がん、認知症骨粗しょう症、そして糖尿病などすべてを予防するパワフルな食べ物です。

さらに納豆は、発酵の過程で様々な酵素が生み出されています。その一つに、SODという活性酸素を除去する酵素があります。

チーズ

チーズは、乳を乳酸菌や酵素の働きで固めて水分を除いた食品です。牛乳は体を冷やしますが、チーズは体を温める食べ物です。

体の栄養バランスをコントロールしよう

大切なのは、食べ物の性質を活かして、体の栄養バランスをコントロールすることです。

冷え症だからといって、体を温めるものだけ食べれば良いというわけではありません。

体を冷やす食品は鎮静作用もあるため、 火を通したり、体を温める食品と組み合わせて、上手にバランスを取っていきたいものです。

 

 

冷え症を改善する食べ物とは?

冷え症を改善するには、体の中に摂り入れる日々の食ベ物や飲み物がとても重要です。

そして、健康的な食生活を続けることで、冷えに負けない体質に抜本的に改善していくのです。

そこで今回は、冷え症を改善する食べ物について、お伝えします。

■冷え症の改善は、食生活の見直しから

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昔から、医食同源といわれるように、健康と食事には密接な関係があります。

普段の食生活が乱れると、体の不調につながり、やがては病気を引き起こしかねません。

近頃、日本人の体温が低くなってきて、冷え症で悩む人が増えているのも、不規則で栄養のアンバランスな食事、食べ過ぎ、冷たい清涼飲料水の飲み過ぎ、などといった不健康な食生活にも原因があるように思われます。

例えば、若い人の間には、朝食を摂らない人が少なくないようですが、朝食は1日の活動に向けて代謝を高め、体温を上昇させるという意味からも重要です。

特に、冷え症の人にとっては、毎朝の食事は規則的に、温かく消化の良い飲食物を摂取することが大切なのです。

・冷え症改善には、体を温める食べ物を摂ろう

体を温める食べ物を摂ることで、血液循環が良くなって基礎代謝がアップし、脂肪の燃焼がスムーズに進み、免疫力もグングン上がります。

そして、自律神経が整って、病気になりにくい体に変わっていくのです。

体を温める食べ物を食べると、体が芯から温まるだけでなく、いったん冷えても、体温が回復しやすくなるのです。

■冷え症を改善する食べ物の見分け方は?

東洋医学の漢方では、体を温める食べ物と体を冷やす食べ物とに区別しています。

寒い時には温かいものを口に入れたくなりますが、物理的に温かい食べ物や飲み物だからと言って、必ずしも全てが体を温めるものとは限りません。

体を温めるものと冷やすものとを正しく見分けて、冷え症改善に役立てましょう。

体を温める食べ物と冷やす食べ物の見分け方には、幾つかの方法があります。

必ずしもこれが全てに当てはまるというわけではありませんが、一つの参考にはなるでしょう。

一般的に、どこで育ったものか、地面の下と上のどちらで育つのか、色は?成分は?と考えて選ぶことができます。

1.育つ環境で見分ける

寒い地方では、体に熱を吸収して蓄える必要があるため、体を温める果物や野菜が育ちます。

同様に、冬に採れる食べ物も体を温める作用があります。

反対に、温かい南国では、体内にこもった熱を下げるため、体を冷やす食べ物が育ちます。同様に、夏に採れる食べ物も体を冷やす作用があります。

2.地面の下で育つものか、上で育つものかで見分ける

地下(地中)で育つものは体を温め、地上で育つものは体を冷やします。

冬に地下で育つ根菜類が多いのは、動物も人間も体を温める必要があるからで、夏に地上で育つトマトやキュウリ、スイカなどが多いのは、体を冷やしてくれるからです。

3.発酵しているかどうかで見分ける

味噌や納豆、醤油、漬物、チーズやヨーグルトなどの発酵食品には、体の代謝を良くする酵素が入っているため、体を温めます。

お酒についても、日本酒や紹興酒のように発酵して造るお酒は、体を温めます。

4.色、形、成分、味で見分ける

オレンジ色や黄色の野菜や果物は体を温め、白・緑・紫の色の食べ物は体を冷やします。

概して、暖色系は体を温め、寒色系は体を冷やすと覚えておくと良いでしょう。ただし、暖色系でも、体を冷やすトマトのような例外もあります。

形でいうと、小さい物、丸い物は体を温め、大きい物、細長い物は体を冷やします。

成分では、水分の少ない物やナトリウム(塩)を含む物は体を温め、水分の多い物やカリウムを含む物は体を冷やします。

例えば、ジャガイモとナスを比べてみると、ジャガイモは茶色くて、丸く、水分量が少ないので体を温め、ナスは紫色で、細長く、水分が多いので体を冷やします。

味では、自然塩や醤油を使った塩辛さを感じる物が体を温め、酢を使った酸っぱさを感じる物や化学調味料を使った物が体を冷やすということが分かっています。

料理をする時は、素材だけではなく、調味料にも気を配ると良いでしょう。

また、砂糖は、原料の生育地域や精製方法によって、体への作用が異なります。

北海道で育つ甜菜(砂糖大根)から作られる甜菜糖は体を温めますが、沖縄など暑い地域で生育するサトウキビを原料とし、さらに精製された白砂糖は特に体を冷やします。

同じくサトウキビからできている黒砂糖は、未精製でビタミンやミネラルが残っているため、体を冷やす作用は緩やかと言われています。

 

次回は、冷え症を改善する具体的な食べ物について、紹介したいと思います。

 

 

冷え症におすすめの靴下とは?

寝る時以外でも、冷え症対策の一つとして、最近「冷えとり靴下」という物が注目されています。

「冷えとり靴下」とは、「冷えとり」に使用する靴下のことですが、冷えとり用の特別な靴下があるわけではなく、簡単に言うと、靴下を重ね履きすることです。

最近では、4~5足の靴下が1セットになって、市販されています。

基本的には、シルクとコットン、もしくはウールなどの天然素材の靴下を交互に重ね履きするという方法で、異素材を組み合わせることにより保温性を高め、足元を冷えから効率的に守るしくみになっています。

■冷えとり靴下の特徴とは?

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冷えとり靴下には、普通、天然素材のシルク(絹)と、コットン(綿)またはウール素材のものを使用します。

なぜシルクとコットンかと言うと、シルクは温める性質と体内の毒素を吸い出すデトックス効果に優れており、コットンはシルクの耐久面での弱さを補い、デトックス効果をさらに強めるからです。

シルクは、デトックス効果の高い素材の一つで、シルクの靴下は、夏は涼しく、冬は暖かく、そして足から出る毒素をよく吸い取り、外に吐き出す働きがあります。

コットンの靴下は、シルクの靴下が吸い取った毒素を受け取る役割があります。

つまり、シルクで毒素を吸い取って、コットンで受け取るという、この2つの連携で、高いデトックス効果が期待できるのです。

また、冷えとり靴下には、基本的に5本指の靴下を使用します。

5本指靴下は、足の指と指が直接触れ合わないで、自然に足の指が広がる形になっているので、血流が良くなるとも言われています。

また、指の間から出てくる毒素を、しっかりと吸収し、デトックス効果を高めます。

■冷えとり靴下の効果的な履き方は?

冷えとり靴下は、ただ靴下を重ね履きすれば良いというものではありません。

冷えとり靴下は、シルクの靴下とコットンの靴下を交互に履くのが効果的なのです。

そして、履く順番も決まっています。

最初は、吸湿性・放湿性に優れていて、デトックス効果の高いシルクの靴下を履くのが基本です。

その上に、毒素の受け取り手であるコットンの靴下を履くのが一番良い組み合わせです。

さらに、その上から、シルク→コットンと重ね履きしていきます。基本は4~5枚ですが、冷え症の症状の程度や体調に合わせて、それ以上履いても構いません。

重ねれば重ねるほど、温まり方と排毒作用が強まります。

足先の動きが不自由にならない程度に、重ね履きしていけば良いでしょう。

尚、最後に履くのは、外見を考慮して、5本指の靴下の代わりに普通の先丸指タイプの靴下でも構いません。

 冷え症の強い人には、コットンの代わりに保温性に優れた、ウールの靴下を履いても良いでしょう。

靴下の重ね履きを実践すると、なんと足元から1日にコップ1杯分もの汗が出るそうです。

・冷え症の男性におすすめな、靴下の重ね履きは?

冷え症は、女性だけのものではありません。近年は、男性でも冷え症に悩む人が少なくないようです。

仕事中は靴下の重ねばきは難しい場合が多いので、男性におすすめなのは、ビジネス用の靴下の下に5本指のシルクの靴下を1足重ねて履くことです。

シルクの靴下は抗菌性にも優れていて、ビジネスシューズの中でも蒸れにくいので、夏場の足の匂いにも効果的です。

メンズ向けの商品もいろいろ市販されていますので、一度試してみてはいかがでしょう。

■冷え症だけど靴下嫌い!どうすればよいか?

タレントの石田純一さんのように、世の中には、決して靴下を履かない、靴下嫌いという人もいます。

もっとも、一般には、革靴でも素足のままという人は、滅多にいないと思いますが・・・。

しかし、外出中はともかく、自宅では靴下を脱いで、ほとんど素足のままで過ごすという人たちは珍しくありません。

もっとも、素足でいること自体は、とても健康に良いのです。足裏の筋肉が鍛えられて、土踏まずが形成され、人間本来の運動や歩行能力が維持・向上できるからです。

また、足裏の刺激や皮膚呼吸が盛んになり、新陳代謝が活発になって、老廃物が排出されやすくなります。

特に、蒸し暑い夏には、冷え症でない限り、室内では素足のままという人の方が多いでしょう。

問題なのは、冷え症なのに、靴下嫌いというケースです。

寒い冬に、室内とはいえ、素足のままでは、さすがに足先が冷えて、冷え症をさらに悪化させてしまいます。

足先を保温するためにも、やはり、靴下は履いた方が良いでしょう。

靴下嫌いな人は、「靴下を履いている感覚」が苦手という理由が多いようです。

そこで、おすすめなのが、肌触りがよく、できるだけ素足感覚で履けるシルク製の5本指靴下です。

または、靴下の代わりに、ふくらはぎを温めるレッグウォーマーでも良いかも知れません。

 

いかがですか。

夜、寝る時の冷え症対策としては、靴下を履いて寝ることがやはり有効だと思われます。

冷え症におすすめの靴下がシルクの靴下だったとは、意外に感じた人も多いのではないでしょうか。

また、寒い時に服を重ね着するのはごく普通ですから、足先の防寒対策に靴下を重ね履きするのも、考えてみれば、ごく当たり前のことですよね。

靴下の重ね履きは、一見足先がだぶついて「野暮ったい」イメージがありますが、決して恥ずかしいことではありません。

温かで快適な履き心地を一度体験すると、もう止められないという声を多く聞きます。

ぜひ、試してみては、いかがでしょう。