冷え症と貧血・低血圧との関係は?

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冷え症の人には、貧血や低血圧の人が多いとも言われています。

そして、貧血や低血圧の人にも冷え症の人が多いと言われています。

冷え症と、貧血、低血圧の間には相関関係があるのでしょうか?

いずれも、抜本的な改善をはかるには、体質改善に努めることが重要です。

そこで、今回は、冷え症と貧血、低血圧についてお伝えします。

冷え症の原因は、自律神経の乱れによる血行不良!

 血液には、酸素や栄養分を運んで体温を一定に保つ働きがあるため、血行が悪くなると手足の先まで血液が届かずに、冷え症になってしまいます。

 この血行不良は、主に自律神経の乱れによって引き起こされると考えられています。

ストレスや、ホルモンバランスなどが崩れて自律神経のバランスが乱れると、基本的に交感神経が過剰に働き、全身の筋肉が無意識の内に緊張します。

必要以上に「全身に力が入っている」状態で、緊張感が続くと、筋肉の近辺を通る血管や筋内部の毛細血管の血流が悪くなり、内臓への栄養&酸素供給がおろそかになってしまいます。

このような状態が長く続くと、結果として体は血行不良の状態が続くことになり、各種ホルモンの分泌や体温調整などにも支障をきたすことになるのです。

つまり、自律神経が乱れることが、冷え症の最も大きな原因と言えるのです。

 また、冷え症の人には、同時に貧血や低血圧になっている人も多いと言われています。

そこで、冷え症と貧血、低血圧との関係について、見てみましょう。

貧血の症状とは?

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貧血とは、血液中の赤血球や赤血球に含まれるヘモグロビンの量が正常値よりも少ない状態を言います。

具体的には、ヘモグロビンの数値が女性は12g/dl以下、男性は13g/dl以下の場合に貧血と診断されます。

体の細胞は、血液中の栄養素や酸素を利用して熱エネルギーを産生します。

ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割があり、不足すると、酸素や栄養素を運ぶ働きに支障が出て、細胞のエネルギーの産生にも悪影響を及ぼします。

その結果、脳や体が酸素不足になって、動悸や息切れ、体のだるさ、食欲不振、めまいや立ちくらみ、肩こり、腰痛、手足の冷え、不眠、皮膚やツメの異常、イライラなどの症状が現れます。

赤血球やヘモグロビンの減少を放っておくと、必要な酸素が全身に行き渡らずに、心臓に大きな負担をかけることになります。

結果として体力不足を招き、疲れやすく、手足が冷える状態を招いてしまうのです。

そのため、貧血の人には冷え症が多いとも言えますが、逆に冷え症の人には貧血が多いとも言えるので、両者は相関関係にあると言って良いでしょう。

■貧血の原因は・・・、鉄分の不足!

 貧血には、様々な原因があります。

赤血球を作るのに必要な鉄分ビタミンB12、ビタミンB群の一種である葉酸などの栄養素が不足したり、出血性胃炎、痔、白血病やガンなど重い病気が原因となっている場合もあります。

一般的には、鉄分が不足する事で起こる鉄欠乏性貧血が多いようです。

鉄分は、体の中で貯蔵鉄として蓄えられ、毎日そこから消費されるので、食事でしっかりと鉄分を補わなければなりません。

しかし、鉄分はとても吸収しにくい栄養素なので、徐々に鉄分が不足していく傾向にあります。

また、女性は、生理や.妊娠・出産、ダイエット志向による食事の制限などによって、鉄分が不足しがちです

さらに、激しい運動、睡眠不足、ストレスがなどが貧血を招いたり、悪化させる原因になります。

貧血と低血圧の違いは?

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低血圧は、朝起きてすぐに測定した基礎血圧の最大値が100mm Hg未満と定義されています。

特に女性に多いのが、通勤電車などで長時間立っていて気分が悪くなる起立性低血圧で、下半身に溜った血液を心臓に押し上げる力が弱く、脳に血液が十分回らないことで起こります。

貧血は、血液中のヘモグロビンの量が減少していて、血液が薄い状態です

 一方、低血圧は、心臓から押し出された血液が血管の壁を内側から押すポンプ作用が弱くなり、血液を送る力が低下して血液の流れが遅くなっている状態です。

低血圧で血液を送り出す力が不足していると、血液がドロドロになりがちで、血行不良になって、冷え症の原因にもなります。

低血圧は、遺伝的な体質による原因が大きいとも考えられますが、冷え症や貧血、高血圧、糖尿病などと同様に、生活習慣の乱れによる影響の方が大きいと考えられます。

冷え症を改善するには?

冷え症の抜本的な改善をはかるには、まず全身の血行を良くすることが第一です。

血行障害のメカニズムについて考えなければならないのが、冒頭にも触れた自律神経との関係です。

なぜなら、自律神経は体温調節に関わる部分だからです。

私たちの体は、発汗や毛穴の開閉、エネルギーの代謝、筋肉の震えなどによって寒い時には熱を産生し、暑い時には熱を放出しています。

こうした一連の働きにより、体温を一定に保つことができるわけですが、この調節を行っているのが交感神経と副交感神経からなる自律神経です。

従って、何らかの理由で自律神経が乱れ、体温調節がうまく行われなくなると、冷え症の症状が表れてきます。

・生活習慣の改善が基本に

冷え症を改善するためには、自律神経を乱すような生活を見直し、そのうえで体を冷やさないように工夫すること、エネルギーの産生につながるように栄養バランスの取れた食事を摂ることなどが大切になります。

さらに、ストレスを溜めないように、リラックスすることも冷え症改善に必要になります。

結局のところ、冷え症も貧血も低血圧も、その改善のためには、食生活・運動・睡眠等々の基本的な生活習慣の改善やストレス対策も含めて、「心身の健康」に向けて幅広くアプローチしていくことがより必要になるのです。

■冷え症・貧血を改善するには、食生活から。

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冷え症と共に、特に貧血を改善するには、まず栄養バランスのよい食事を規則正しく摂ることが基本になります。

特に、体を温める食材をとり、冷たいものを摂り過ぎない、そして、 鉄分、ビタミンB12葉酸といった赤血球を作るのに必要な栄養素を豊富に含んだ食材を摂るのが重要です。

鉄分、特にヘム鉄という吸収の良い鉄分が多く含まれた食品を積極的に摂りましょう。

例えば、レバー、牛肉、レバー、大豆、カツオなど赤身の魚に鉄分が多く含まれています。

また、鉄の吸収を高めるビタミンCが多く含まれている緑黄色野菜も併せて摂るようにしましょう。

ビタミン12はレバー、魚介類、チーズ、卵に、葉酸はホウレンソウ、アスパラガス、ブロッコリー、納豆などに多く含まれます。

貧血を治すには時間がかかるので、最低でも3ヵ月は摂り続けることをおすすめします。

同時に、海藻類、ビタミンの多いタンパク質、野菜、生姜など体が温まる食材を摂取することが大切です。

また、調味料は、なるべく精製されたものより、天然塩や黒砂糖といった天然物の方が、ミネラル分が豊富で栄養価が高いので、おすすめです。

日常生活の工夫が大事!

・適度な運動をしよう

現代人は、とかく運動不足になりがちです。

せめて、日常生活の中でも取り入れられる「20分以上」のウォーキングや有酸素運動を始めましょう。

ウォーキングの時のポイント

・背筋を伸ばし、肩の力を抜く。

・股関節の前側をしっかり伸ばして、後ろ脚でしっかり蹴り出す。

・進行方向に対して、おへそがぶれないように歩く。

入浴をする

シャワーですませるのではなく、湯船に浸かってゆっくりと落ちついた時間を過ごすと、全身の血行が非常に良くなります。

・衣服の工夫

ポイントは3つです。すなわち、

・締めつける下着は着ない。

・腰から下を冷やさないように、靴下や腹巻きをする。

・寒さに我慢せず、薄着をせずに重ね着をする。

 

いかがですか。

冷え症や貧血・低血圧を改善するために気を付けるべきことに、難しいことは何一つありません。

普段から、規則正しい生活、すなわち栄養バランスの取れた食生活と適度の運動などを心掛けるだけで、健康は維持・増進できるのです。

とは言うものの、「言うは易し、するは難し」で、それを実行し続けるのが難しいのですけれどもね・・・。

 

温泉の効能発揮には、温泉を飲む=「飲泉」もある!

めっきり冬らしい陽気になってきましたね。寒さが身に染みる季節には、ゆっくり温泉にでも浸かってほっこりしたいものです。

新型コロナ禍も、第6波が来る前に、ひっそりと温泉にでも行って、英気を養いたいですね。

温泉の効用については、すでに広く知られていますが、今回は、温泉の知られざる効用などについて、改めて紹介したいと思います。

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■温泉は、古来より「湯浴(あみ)」から始まった。

そもそも日本での入浴の習慣は「湯浴(ゆあみ)」から始まっています。 

6世紀に伝来した仏教の影響で、寺院などで沐浴(もくよく)が広く行われるようになりました。

体の汚れだけでなく、心の汚れも取り去って清めるという「みそぎ」から発展したのが「湯浴み」だと言われています。

やがて、江戸時代になって「湯治(とうじ)」が一般的に行われるようになります。

すなわち、 農村地帯を中心に、農閑期に皆が温泉地に集まって裸の付き合いをして、明日への活力を充電する、一大レクリエーションの場となったのです。

温泉というのは、本来、病人を治すのではなく、もちろんそういう効用もありますが、どちらかというと、げん氣な人が一層げん氣になる生活の場と言えるでしょう。

温泉には、免疫機能を高め、ストレスを解消し、体内の全てのバランスをうまく調整するという大きな働きがあります。

・日本の温泉は、泉質が豊富で、いろいろな効能を味わえる。

温泉には、いろいろな成分が溶け込んでいて、それぞれに効能があるのです。

日本の温泉は泉質が豊富ですが、大別して酸性の湯は水素イオンに殺菌効果があるので、特に皮膚病に効きます。

一方、アルカリ性の湯は、炭酸イオンが皮膚の脂肪分を分解してツルツルにするので、美肌効果があります。

珪素は、美容のほかに神経痛にも効果があると言われています。

湯に浸かるだけでなく、珪素を含んだ泥(鉱泥)でパックすることも、美容法の一つとして行われています。

炭酸ガスは、血液中に吸収されると血管を拡張する働きがありますので、血行が良く なり、心臓などの循環器系に良い影響を与えます。

また、 化石海水はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが豊富に含まれているので、保温効果があります。

さらに、肌の湿り気を保つ保湿効果(モイスチャー効果)があります。

・温泉成分による効果だけではない、温熱効果と遠隔効果。

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もっとも、最近の温泉医学では、成分云々よりも、温熱効果や遠隔効果を重視する傾向にあります。

最も重要なのが温熱効果で、41~42 度の湯に10分間程度浸かると、ストレス解消になります。

これは、温泉でなくても、一般家庭で入浴しても得られますが、できるだけ大きなお風呂に入って、ゆったりくつろぐと、より大きな効果が得られます。

遠隔効果というのは、ふだん生活している土地を離れて、非日常的な体験をするというものです。

それによって、体や心の乱れたものを元に戻す、 いわゆる調整効果が得られるのです

例えば、九州の黒川温泉は多くの人々から愛され、高く評価されています。

その魅力は、もちろん弱酸性の温泉成分も良いのですが、むしろ環境にあると言われています。

雄大阿蘇の風景の中を通って箱庭のような町に入ってきた時の変化が、どれだけ人にインパクトを与えるか、また、憩いを感じさせる佇まい、自然の風景と町並みが一体となった温泉地全体の環境が素晴らしいのです。

■温泉の持つ総合力で、飲泉効果を最大限に高める

朝倉一善さんという作家は「“奇跡”の温泉―医者も驚く飲泉力」(2007年、朝日文庫)という著書の中で、次のように述べています。

「私たちの体の中で作られ、私たちが生きていくためのすべての化学反応を行っているのが数千種類もの酵素であるが、この酵素バクテリアのようにミネラルを取り込んで、水のあるところでしか活性化しない。

(中略)体にいい水の条件のひとつはミネラルに富んだ水であること。ヒ素・水銀・鉛・カドミウムといった、量が多すぎると有害な重金属の問題もなく、 農薬などの有害な化学物質が混入している心配もない、水道水のように残留塩素(遊離塩素)もな い飲用できる温泉源泉水は、ミネラルバランスにすぐれた水の典型といっていい。」

また、温泉療法専門医も「温泉から分析表どおりの効果を得ようとするなら、飲泉しかないですよ、入るよりもです。飲泉がいちばん確かですね」と語っています。

日本では、ヨーロッパほど飲泉の習慣は盛んではありません。

自然環境や土壌の違いもありますが、ヨーロッパの温泉は成分が多く含まれていて、濃いので、飲みにくい反面、薬効が大きいのです。

便秘解消や肥満症、慢性消化器病などの治療に効果があるようです。

温泉を飲む習慣は古く、ギリシア・ローマ時代からあったと言われています。

・日本の温泉は飲みやすいが、効果も穏やか。

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一方、日本の温泉は、全般的に含有成分が少なく、薄いので、 口当たりがよく飲みやすいのですが、飲むだけで病気が治るほどの効果を望むには、少し無理があると言われています。

昔、薬がない時代には、代替療法として飲泉が取り入れられたことがありましたが、現在は、飲泉だけを療養に用いているところはほとんどありません。

病気に効くところまでは発展していないので、飲泉だけで治るとは言い切れないのです。

体を治すには、まず近代医学(西洋・漢方)、それでうまくいかない場合に、いろいろ補完的な意味で、いわゆる代替療法と言っていますが、その一つとして飲泉が考えられているわけで、この点を錯覚しないようにすることが重要です。

飲泉の効用については、いろいろな見解が出されていますが、まだ研究途上で、果たして飲泉だけでどこまで効くかということについて、はっきりと結論づけるのは早計のようです。

ある程度の効果はあるでしょうが、より高い効果を出すためには、入浴と一緒に行うことが必要です。

なぜなら、温泉の効用というのは、本質的には飲むだけでなく、入浴して、楽しく語り合いコミュニ ケーションを取りながら、食事をしたり、レクリエーションをするといった生活の中の一部として 存在するからです。

一般に、温泉水に含まれている塩分が、炭酸ガスなどいろいろなガスを吸着する性質があると言われています。

現在、日本には約 3 万の源泉、約 3 千の温泉地があると言われていますが、その中で飲泉が認められている源泉は、わずか100~200 に過ぎません。

伝統的に飲泉の習慣が根付いている所ならば良いのですが、新たな所は許可されにくい傾向にあります。

飲泉については、例えば砒素の摂取は 0.1mg/日以下というように、同様に銅、鉛、亜鉛、フッ素、硫化水素などについても国の基準が定められている上、また、きちんとした飲泉施設を作らなければなりません。

現在では、温泉水は温泉場に泊まって、そこで飲むのが望ましいですね。

前に述べた遠隔効果のとおり、 そこへ訪れる行為も非常に重要だからです。

森林の中でハイキングをしたり、魚釣りをしたり、食事や名所旧跡めぐり、等々いろいろ総合的に行って、その人を今までとは違った方向へ持っていくのを「温泉地療養」と言います。

その中で、飲泉もその一部として位置付けることで、飲泉自体の 効果を最大限に発揮できるわけです。

湯治を行っている温泉旅館には、入浴や飲泉だけでなく、温泉水を食事に利用するところもあります。

温泉水でご飯を炊いたり、おかゆを作ったり、味噌汁を作ったり、野菜を煮たり、豆腐を作ったり、玉子をゆでたり、そのように温泉を生活の中に取り入れている所が何ヵ所かあります。

長野県の小谷温泉、野沢温泉和歌山県湯の峰温泉兵庫県日本海側に位置する湯村温泉などです。

・多種多様な温泉の恵みを総合的な方法で享受しよう!

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温泉の効用を十分に享受しようと思ったら、温泉の持つ総合力を重視しなければならないのです。

例えば、アルカリイオン水だけを飲んで健康になるということは、本来あり得ません。

それだけを取り入れるのではなく、生活の中で、きちんと他の物も取り入れて、初めて効果が現れるものなのです。

そもそも、一つの物だけで、それだけやっていれば良いという医学的なものは世の中にはありません。

人間は、いろいろなことをやって生きてきました。いろいろなものを食べ、いろいろなことができるので、生活範囲も広く、そのお陰で動物の中で一番栄えてきたのです。

まさに、多種多様な生活をしてきたわけですね。

日本の温泉も多種多様です。泉質、成分、温度、旅館、等々いろいろなものがあるから、面白いのです。

しかも、いろいろなものがあって、一つの形を成しているのです。

温泉はナチ ュラルなものですから、人と温泉との関わりには、どうしても“曖昧な部分”が出てきます。

自然療法は、その曖昧さを尊重します。

お互い裸になって野天風呂に入ってコミュニケーションする、また生命力を持った同じ温泉水を飲むことで、「生きる力」が蘇るのです。

ここでいう“曖昧さ“とは、どっちつかずという意味ではなく、一歩高い所に立って物事を見ることです。

ガチガチに型にはまった堅苦しさではなく、良い意味での「ルーズさ」、気持ちの余裕みたいなものです。

新型コロナ禍で、冷え切った私たちの心身や経済を勇気づけるためにも、天然温泉に入って、温泉水を飲むのも大いに有効だと思います。

 

 

健康ダイエットには、ランニング・ウォーキングがおすすめ!

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運動をしないでメタボになるのは、人間だけではなくペットや動物園のサルでも同じです。

ただ、自らの意思でダイエットに取り組めるのは、人間だけです。

とは言うものの、「言うは易し、するは難し」なのが、ダイエットです。

そこで、今回は、ダイエットに有効な運動療法について紹介します。

一般に、成功するダイエット法の特徴には、基本的に次の3点が挙げられます。

1.運動の習慣をつけてエネルギー貯蔵庫を形成し、ダイエットを楽に実行できるようにする。 また、エネルギー貯蔵庫の形成により、脂肪が形成されない体質にする。

2.体重測定および一定速度の歩行または走行距離を測定し、これらをグラフ化することにより、前日の食物摂取量と体重の増減の正しい理解ができ、毎日のダイエットに反映できる。

3.誰にでも比較的実行しやすい「一日1食」ダイエットを実施する。

ダイエットの最終的成功のポイントは、エネルギー貯蔵庫の確保にあります。

エネルギー貯蔵庫の形成ができれば、 貯蔵グリコーゲンが分解して血液中にエネルギ  ーが供給されるので、グリコーゲンが枯渇することなく空腹物質の遊離脂肪酸が放出されて、飢餓状態になることはありません。

また、多くの食べ物を摂取しても、 貯蔵庫が大きければ、脂肪に取り込まれる前にグリ コーゲン貯蔵庫に保存されます。

そして、エネルギー貯蔵庫の形成ができれば、貯蔵庫からグリコーゲンが分解されて、満腹物質であるブドウ糖が供給されるので、空腹感が抑制され、ダイエットが容易になるのです。

ダイエット成功の最重点は、毎日の運動習慣形成によるエネルギー貯蔵庫の確保です。

1日の運動量としては、平日1日最低10,000歩で、土曜・日曜日には平日よりも多く 15,000 歩以上とし、1週間で1日平均 12,000 歩以上とすることです。

この 1 日平均 12,000 歩の運動量は最低ラインです。

これ以上でないと、体重がダイエット前に戻る可能性が高くなります。

健診で、メタボと疑われたら、 保健師や管理栄養士らに摂取カロリーや運動の指導をしてもらいましょう。

最長半年間は指導を受けて、目標達成度合いを評価しましょう。

メタボの問題は、日本では2006(平成18)年か ら急に問題化されました。

そのためか、街中でもランニング・ウォーキングの実施者が急増しています。

■ランニング・ウォーキングの素晴らしい効用とは?

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ダイエットに成功するためには、どうしても運動習慣の形成が必要です。

しかし、ダイエットが必要なメタボの人は、概して運動が苦手で、運動が習慣になっていない人が多いのです。

メタボの人でも気軽に続けられる運動として、おすすめなのがランニング・ウォーキングです。

 ランニング・ウォーキングの驚くべき効用とし て、次の10項目が挙げられます。

1.頭の働きが著しく向上する。

2.ストレスの根本的解消に最も良い。

3.プラス思考やヒラメキが生まれる。

4.簡単に痩せられる。

5.長寿になる。

6.生活習慣病の予防や治療にもなる。

7.基礎体力が増強する。

8.腰痛や膝の痛みの予防となり、各種アレルギ ーの予防にもなる。

9.気分が爽快になる。

10.その他の効用

・各種のスポーツの準備運動となり、怪我の予 防になる。

・禁煙しやすい。

・各種の病気の予防と治療になる。

ランニングとウォーキングは、効用の内容は同じで、ただ効用の程度がやや異なるだけです。

ランニングが少しきつそうだと感じる人は、まずウォ ーキングから始めてみるのが良いでしょう。

ランニングの特に素晴 らしい上位3つの効用について、解説します。

1.頭の働きが著しく向上する

ランニングを継続して、最も有り 難いと実感するのがこの効用です。

ランニングを 続けていると、ランニング中に物事を良い方向に考えら れ、思考力が著しく向上します。

複雑で難しい問題であっても、ランニング中は高度な集中力で考えることができて、机の前で考えるよりも遥かに良い結果を得やすいのです。

この ことは、ランニングをすることにより、体全体の血流が多くなり、脳の血流も多くなって脳が働きやすくなるものと考えられています。

スポーツ科学が専門の藤原健固(けんご)氏(元中京大学体育学部教授)は、「歩きの科学」(1988)年、講談社刊) の中で、歩いたり走ったりすることによる7つの効用を、以下のように挙げています。

①気分が爽快になる

②やる氣が出る

③決断力が高くなる。

また、歩くことで脳に多量に酸素を供給し、 脳の働きに効果的に作用する結果として、

④記憶力の向上

⑤思考力の向上

⑥集中力の向上

⑦ヒラメキの向上

これらのことは、毎日のランニングで自覚できるでしょう。

とりわけ、7番目の「ヒラメキ」は、芸術家に とって大変有り難いことであり、作曲家などは、ベートーヴェンのように、森を散歩して名曲を生み出していることでも分かります。

ランニング中、これまで1度も考え たことの無い思いがけないアイデアが頭に浮かび、大きな成果に結びつくことが多くあります。

「ヒラメキ」のようなものは、ランニング中の5kmコースの1周目、2周 目、3周目を比較すると、走る距離が長いほど積極的な事や「ヒラメキ」が現れるケースが多く、3 周目に良い「ヒラメキ」が生じやすいようです。

2.ストレスの根本的解消に最も良い。

健康維持のために、ストレスは一刻も早く解決しなければならない問題です。

しかし、本人にと っては容易に解決できない難問がストレスなのです。

男性は、このストレスを主に楽しいスポーツ や酒を飲むことで処理し、女性は、主におしゃべ りや美味しい食事で処理している、と言われています。

しかし、 これらの方法では、完全には解決できません。

これらにより、ストレスの一時的な圧迫から解放されはしますが、ストレスの根本的問題が処理されていないので、再びストレスの圧迫を受けることになるからです。

ストレスは、考え考えても解決できない難題として残った問題ですから、改めて机の前で考えても処理できない問題です。

そして、単なるストレスの発散では、ストレスの問題そのものは変化していないので、解決になりません。

それでは、一体どうすれば良いのでしょうか?

それは、ランニングやウォーキングをすること です。

ランニングやウォーキングでは、机の前での思考力よりも1.2~2倍も高いと言われ、その上、 集中力、判断力や「ヒラメキ」が発現するために、 ストレスの難問を考える場として最適であると考えられるからです。

ランニングやウォーキング 中の思いがけないアイデアで、多くのストレス問題が解決されています。

そして、机の前での思考力に比べ、決断力が高まり、アイデアを実行し ようと決心しやすくなるのです。

■心構えの変革で、プラス思考を続けよう

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3.プラス思考やヒラメキが生まれる。

ランニングやウォーキングは、さらにプラス思考やヒラメキを活発にします。

プラス思考をすれ ば、体に良い脳内モルヒネ(ベータ・エンドル フィン)が出ます。

脳内モルヒネは、気分を良くするだけでなく、血管の収縮を抑えて血液をサラサラ流れるようにし、老化や生活習慣病に関連の深い活性酸素の害を少なくします。

そして、記憶力の向上、やる氣、忍耐力や創造力を発揮させるなど、健康維持に最も大切な物質です。

常に、 この脳内モルヒネを分泌すれば、健康が維持できるだけでなく、心の持ち方や 志(こころざし)をプラスにして遺伝子をONにできると、大脳生理学者遺伝子工学の専門家は語っています。

普段我々が口にする言葉の中には 「忙しくて、嫌になってしまう」「私は、どう してもタバコを止められない」「どうしても食べ 過ぎる」「私の目には輝きがない。疲れた表情で 嫌になる」などの消極的なものがあります。

こ れらの消極的な考えを取り除くには、消極的な心構えから積極的な心構えに転換することが最も大切です。

その一つのきっかけ作りに、ランニングやウォ ーキングが有効です。

■肥満にならない7つの注意点

最後に、食事や日常の生活で注意すべき、一般的な点について紹介します。

第一に、ゆっくり食べ、少しの量で済ませることが 大切です。運動不足の人は、食事前に血糖値が低下して、必要以上に空腹感に襲われやすく、食事 を始めても血糖値の上昇が遅く、食べ過ぎになりやすいのです。

第二は、夕食後の間食は体脂肪になりやすいの で、できる限り避けることです。その方法として、 食物を見えない場所に置くか、また余分に買わな いことが大切です。

第三は、「ながら食い」をしないことです。本を読 みながら食べる、テレビを見ながら食べる、音楽 を聴きながら食べる、等をしないことです。

第四は、空腹感の強い時に、スーパーに入って買い物をしないことです。ついつい食料品を買い過ぎてしまうからです。必要な食料品は、空腹でない時に準備しておきましょう。

第五は、日々の生活において、これまでよりも 運動の機会を増やすことです。買い物や通勤にお いて、電車・バスや自動車の利用をできるだけ減らして歩くようにしたり、エスカレーターやエレ ベーターを利用しないで階段を歩くことを心がけましょう。

第六は、食後に早くテーブルを離れるか、残った食物を早く片付けることです。手の届く所に食べ物があると、どうしても手が伸びてしまい がちになるからです。

第七として、食物のカロリーを知っておくこと です。カロリーオーバーにならないように気を付けることが容易になります。

 

以上、基本的な食生活などの生活習慣に気を付けて、運動習慣を維持できれば、自ずと健康的な体を保っていけるでしょう。

 

 

 

ダイエット成功に欠かせない「空腹軽減法」とは?

■肥満は、食べ過ぎよりも運動不足が大きな原因だった!

前回の「ダイエットは、なぜ難しいのか?」で、「ダイエットには、克服しなければならない3つの難問がある」と述べましたが、今回は、その中の第3「ダイエットを実施するためには、人間として最大の楽しみである食欲を抑制する必要がある。」について、紹介します。

一般に、医師からメタボリックシンドロームの警告を受けてダイエットを実施しなければならない人は、耐え難い厳しい食欲と戦わなければなりません。

そのために、ついついダイエットの継続が困難となってしまいがちです。

従って、食欲との戦いに耐えやすくする必要があり、その対策として、次の 3つが挙げられます。

1.運動することにより、大きなエネルギー貯蔵庫を持ち、空腹感を著しく小さくする。

2.食物摂取による空腹特性を理解して、利用する。

3.空腹状態の効用を熟知し、空腹感を健康のバロメーターとして利用する。

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肥満は、一般には食べ過ぎが原因であると言われています。

しかし、実際にはそうではなく、運動不足が大きな原因なのです。

なぜなら、肥満の人と普通の体格の人を比べ、食事量と運動量について調べると、食事量はほぼ同じでも、肥満の人は運動量のみ著しく少ないということが」分かったのです。

すなわち、肥満の人は、自分が肥満であることを自覚しているせいか、日頃からあまり食べ過ぎないように食事量のセーブを心掛けているケースが多いようなのです。

しかし、食事量は必ずしも多くはないにもかかわらず、それ以上に運動量が著しく少ないために、結果的に必要以上の食物を摂取していることになってしまい、肥満になるのです。このことは、ネズミの実験でも証明されています。

従って、肥満にならないようにするためには、食物を控えめに摂取するように気を付けるよ りも、運動を多くするように心掛ける方が効果的だということになるのです。

運動を積極的に行うことは、単に肥満の予防になるだけでなく、あらゆる内臓機能を向上させ、免疫力を高めるので、生活習慣病の予防になることはご存じの通りです。

運動習慣ができていないと、エネルギー貯蔵庫が形成されないので、空腹感が強く、食事の際、自ずと早食いになる傾向が強くなります。

これらを防ぐ手段として、通常の食事時間の約1時間前に、少しの飲食物を摂取しておくと、空腹感が弱まり、食事の際にも早食いや過食になりません。

約100kcalのジュースでも、激しい空腹感が抑えられます。

■空腹感こそ、健康のバロメーター!

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空腹感の効用を熟知することも重要です。

もし、「強い空腹感」が「体に悪い」と考えている人にとっては、空腹感は耐え難いものとなり、その反動として過食に陥りやすくなってしまいます。

逆に、空腹感は体にとって最高に良い状態であると理解できれば、空腹感が心地良いものに感じられます。

いわゆる「腹八分目」が体にとって最高に良い状態の継続であると自覚できれば、自ずとダイエットを実施しやすくなるはずです。

しかし、一般には、空腹感の素晴らしさについて、あまり理解されていないように思えます。

100歳以上の方の健康長寿の秘訣について、昔から示されている「3つの秘訣」があります。

すなわち、1.生き甲斐を持つ 、2.くよくよしない、 3.腹八分 です。

最後の3つ目の「腹八分」から、空腹感の大切さを理解して欲しいと思います。

私たちは、普段体調が悪ければ食欲がなく、空腹感がありません。

風邪気味のような場合、空腹感を感じたならば、もう風邪から回復しつつあると認識して良いでしょう。

つまり、空腹感は健康状態のバロメータと理解できるのです。

歯が痛い、喉が痛 い、頭が痛いなど、体の各所の不調も、心地良い空腹感が訪れれば、これらの痛みから解放されていることを表します。

そのために、これらの痛みに直面したら、薬を飲む前に、まずダイエット(減食)を始め、空腹感が発現するのを待つのが賢明です。

東洋医学と自然療法を探求し、ニンジン・リンゴジュースによる断食療法を指導している石原結實(いしはら ゆうみ博士の「食べない健康法」(2008年、東洋経済新報社刊)には、食べないことの効用として、 次のような効能が挙げられ、空腹が「万能薬」として理解されています。

1.老化防止になり、寿命が長くなる

2.がんの予防

3.免疫力の向上

4.加齢関連疾患の予防

5.心臓病に良い

6.炎症性疾患に良い

7.大・小便の排泄が良くなる

8.身体のだるさがとれる

9.頭脳が明晰になる

10.性欲が強くなる

11.ストレスに強くなる 

■ダイエットを無理なく成功させるには、少食の習慣を身に付けよう。

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また、生涯現役を貫き105歳で天寿を全うされた日野原重明聖路加国際病院名誉院長は、晩年、1日の平均摂取カロリーは1,300kcalで、朝食はジュース程度、昼は牛乳と数枚のビスケット、夕食のみ通常食とされていました。

高齢者の1日に必要なカロリーは、通常1,500kcal と言われているので、その値よりも少ないので驚かされます。

さらに、睡眠は1日6時間弱で、本の執筆のために土曜日は時々徹夜をすると語っておられたので、驚嘆します。

石原結實および日野原重明の両氏の著書から、 少食健康法の素晴らしさが理解され、ダイエットの実施は、健康維持に大変良いと理解すれば、ダイエットの空腹感が苦痛でなく、心地よい刺激となり、空腹の苦しさを軽減できます。

イスラム教の行事である「ラマダン」は、約1ヵ月間、日の出から日没までの時間絶食するものです。

イスラム教徒に「なぜ断食をするのか」と尋ねる と、「断食をすることで豊かな人々も空腹感を知り、貧しい人々の辛い思いを共有するため」とか、「空腹や喉の渇きを味わうことで、 死すべき人間の運命を実感し、信仰を新たにする」というような説明を受けることが多いようです。

宗教行事として、空腹の大切さ、ダイエットの大切さを教えるものと理解できますね。

宗派に関係なく、「ダイエット=腹八分」と理解すれば、健康のためのベストコンディションとして、常に軽い空腹を感じる状態を保つことが習慣化できるでしょう。

ダイエットは、なぜ難しいのか?

■今や肥満は、世界中の問題となって いる。

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米国の環境団体「ワールドウォッチ研究所」が、 国連や各国の研究機関の資料をもとに発表したレポート「Vital Signs Online(地球環境データブック・オンライン)」では、「世界の肥満成人数(BMI=体格指数が、25以上)は、2002年の14億5,000万人から2010年には25%増加して、19億3,400万人に跳ね上がった」と報告しています。

さらに、世界肥満連合(WOF)によると、2016年の時点で、BMIが25以上30未満の過体重の成人の数は世界で13億700万人、BMIが30以上の肥満の成人の数は6億7,100万人に上るそうです。

世界中が否応なく肥満蔓延への道を突き進むことが、ますます懸念されます。

以前は、欧米社会のものと思われていた肥満の問題が、今日ではグローバルに広がっており、その傾向はさらに強まるだろうということが明らかになったのです。

とりわけ目立つのは、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)だそうです。

有効な対策をしないでいると、2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満になる可能性があり、内3分の1はBMIが35以上で、医学的な介入が必要な高度な肥満ということです。

肥満や過体重の原因は、食べ過ぎや運動不足、睡眠不足や睡眠の質の低下、生活リズムの乱れ、過剰なストレスなど、不健康な生活スタイルが続くことです。

食事で摂取したカロリーが、消費するカロリーを上回ると、体重が増えるわけで、摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスは、日本を含む世界中で問題になっています。

世界で共通して見られる、肥満になりやすい生活スタイルは以下の通りです。

・脂肪や糖質の多い、エネルギー密度の高い食品を摂り過ぎている。

・運動不足が増えている。座ったまま過ごす時間の多い形態の仕事が増え、また乗用車などの交通手段が発達し、都市化も進んでおり、体を動かす機会が減っている。

■ダイエットの難しい点とは?

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1980 年にワシントン・ポストが実施した調査では、米国では過去70 年間で2万6,000 件のダイエットの方法が発表され、それらの方法で成功したのは200人中10人に過ぎませんでした。

そのわずかな成功者も、減量体重を維持できた人は 1人だけで、最終的成功者は0.5%に過ぎません。

ダイエットは国際的に重大な問題ですが、ダイエットの本質には不明な部分が多いため、最終的な成功への道も明らかになっていません。

一般的に、ダイエットには、次のように、克服しなければならない3つの難問があると言われます。

1.リバウンドを含めた、3種類の体重の大きな変化。

2.減量を達成しても、ほとんどの人は元の体重に戻ってしまう。

3.ダイエットを実施するためには、人間として最大の楽しみである「食欲」を抑制する必要がある。

上記第 1 の 、3種類の体重の大きな変化」とは、以下の通りです。

①減食を開始すると、体重が直ちに極端に減量する。

②減食を終了すると、体重が逆に極端に増量する。

③食事の摂取量および運動量が同じ、すなわち エネルギーの摂取量と消費量が一定なのに、体重が変化する。

スポーツ科学では理解できない 「体重の不思議」とは、この時の極端に大きな 変化のことなのです。

ダイエットは、「食欲抑制」という困難に挑戦することですが、3種類の大きな変動のために混乱して、多くの人はダイエットの途中で諦めてしまいます。

その上、この混乱を乗り越えて減量を達成しても、体重が元に戻ってしまうために、減量した体重を維持するという最終的な成功が非常に困難になります。

■体重の大きな変化とは何か?

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ダイエットを開始すると、①のダイエット開始時の大きな変化が現れます。

これは主として、食物の摂取量の減少に伴い、体内で必要な水分や消化液量が減少することによるものです。

前述した 3 種の大きな変化のうち、一般に知られているのは、② の「リバウンド」と呼ばれている、ダイエット終了時に現れる大きな変化です。

さらに、多くの人は、ダイエットを開始し、食欲と戦いながら減量に挑戦しますが、理解できない ③ の変化に混乱すると、知らない間に再び食物摂取量が増加してしまいます。

その結果、大きな増量となって、ショックを受け、減量の挑戦を断念してしまうことになるのです。

食事の量、運動量が同じ、すなわち、エネルギ ーの摂取量と消費量が一定なのに、体重が 2kg 以上も変化する「体重の不思議」とは、心の状態や体の状態の特別大きな変化に関連しているだろうと推測できます。

例えば、体重が軽ければ、心身共に軽快に感じ、運動や仕事も活発に行えるでしょう。

逆に、体重がいつもより重い状態では、調子も今一つで、仕事を始め何をするにも注意が必要になります。

また、 体重が 1.0~1.5kg 重い場合には、体に何らかの不調を自覚しやすくなり、食欲も低下し、食べる量が少なくなるでしょう。

■減量達成後、なぜ元の体重に戻ってしまうのか?

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第2についてですが、減量達成後、体重はなぜダイエット前の状態に 戻ってしまうのでしょうか?

その理由は、食物を摂取する際のエネルギー貯蔵庫の大きさと関係しています。

エネルギー貯蔵庫とは、グリコーゲン貯蔵庫である筋グリコーゲンと肝グリコーゲンの貯蔵庫のことです。

日頃、運動を心がけている人は、体に大きな運動エネルギー貯蔵庫が形成されているのです。

この貯蔵庫が大きい人は、食物を摂取しても、そのエネルギーを直ちに脂肪として貯蔵する前に、運動エネルギー貯蔵庫に保管します。

つまり、日頃運動を心がけている人は、エネルギー貯蔵庫の筋グリコーゲンと肝グリコーゲンの貯蔵量が多いのです。

しかし、日頃運動しない人は、この貯蔵庫の必要性があまりないので、運動エネルギー貯蔵庫が小さいのです。

このために、摂取した食物の大部分のエネルギーは運動エネルギー貯蔵庫ではなく、脂肪組織へ貯蔵されることになります。

ダイエットの必要な人は、 スポーツマンと比べ、特に筋グリコーゲン貯蔵庫 が著しく小さいのです。

食後短時間で、これらの 小さい貯蔵庫は一杯になり、余分なエネルギーは脂肪組織へ貯蔵されることになります。

一方、ス ポーツマンは、これら筋グリコーゲンと肝グリコーゲンの貯蔵庫が大きいので、食後それぞれに供給され、脂肪組織へは貯蔵されま せん。

すなわち、肥満になる心配はないのです。

ダイエットの必要な人が、ダイエットを実施し、 減量達成後、なぜ元の体重に戻ってしまうのか、それは、ダイエットの必要な人は、通常、運動習慣がなく、大きな運動エネルギー貯蔵庫を形成していないからです。

運動習慣が形成できれば、筋グリコーゲン量と肝グリコーゲン量が多くなり、飢餓のような空腹感はなくなります。

すると、肥満の人のように早食いすることがなくなり、食べ過ぎることがなく、ま た、多く食べても脂肪にならず、グリコーゲンとして貯蔵されます。

運動しなくなると、食べる量はやや少なめになりますが、グリコーゲン貯蔵庫が著しく小さくなるので、余ったエネルギーは脂肪として貯蔵されることになって、肥満になるのです。

スポーツマンが運動を止めると肥満になるのは、そのためです。

 

(続く)

 

行動分析学の理論で、喫煙行動を消去するには?

■禁煙を成功させるのは、とっても難しい!

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わが国で、現在法律で認められているものの、けっして望ましくない行動の最たるものとして、「喫煙」が挙げられるでしょう。

この、医学的にも社会的にも極めて望ましくない「喫煙」行動を消去するにはどうしたらよいでしょうか?

ニコチン依存症の治療や禁煙を成功させるために、世界中の医学・生理学・心理学などの専門家たちが、様々に試行錯誤しながら効果的な対策に取り組んでいます。

けれども、残念ながら未だ、決定的な禁煙方法は確立していません。

もし、確立に成功したら、それこそ「ノーベル賞」ものでしょう。

それほどまでに、タバコの魔力は一筋縄ではいかないほど恐ろしいのです。

現在行われている禁煙アプローチの主流となっている行動療法の基礎理論となっているのが行動主義の心理学、すなわち「行動分析学」です。

今回は、その行動分析学の立場から取り組まれている禁煙への方法論について、少し紹介しようと思います。

行動分析学とは、環境を操作することで行動がどの程度変容したかを記録することによって、行動の「原理」や「法則」を導き出すもので、これにより、行動の「予測」と「制御」が可能になるという考え方です。

その成果は、人間や動物の様々な問題行動の解決に応用されています。

禁煙への方法論として、行動分析学の観点からは、やや専門的になりますが、次の3点が考えられています。

①「喫煙」を強化している要因を取り除く。
②「喫煙」に対して、嫌悪刺激または罰を与え、強制的に止めさせる。
③「喫煙」を我慢すること(すなわち禁煙もしくは減煙)に対して、それを大いに助長させるような効果的な要因を積極的に与える。

まず、1番目についてですが、一般的に喫煙常習者は、喫煙の「メリット?」として、「嫌なことやイライラが募った時に、一服するとホットした気分になり、ストレス解消になる・・・」とか「肥満予防になる」などといったことを挙げます。

実は、これらは全て錯覚(*参照)なのですが、喫煙常習者はそもそも喫煙が日常の生活習慣となってしまっており、その大きな要因となっているのが「ニコチン依存症」(医学的には「病気」と見なされています)です。

このニコチンを取り除くのは、タバコときっぱり縁を切るしかないわけで、また生活習慣を改めることも「言うは易く、するは難し」で、なかなか容易ではありません。

従って、①の方法は、現実的にはかなり実現困難でしょう。

*一服して、すーっと気分が安らぐような感じがするのは、軽度の一酸化炭素中毒症状の表れです。また、「タバコを止めたら太った」のは、そもそも喫煙によって阻害されていた食欲が正常に戻ったためで、むしろ食欲が出て、健康な状態になったと喜ぶべきです。太るのは、タバコを止めたからではなく、運動不足など別の原因によるものであることをお忘れなく!

■喫煙に対して、嫌悪刺激または罰を与える

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喫煙行動を消去する2番目の考え方は、喫煙に対して嫌悪刺激または罰を与える方法です。

やや昔になりますが、アメリカの研究実験では、タバコを吸う度に軽い電気ショックを与えたり、本人の嫌いなタバコの銘柄を強制的に吸わせたり、タバコを長時間連続的に吸わせて気持ち悪くさせたりして、喫煙そのものに嫌悪感を植え付けることを狙いとした処方が行われてきました。

いかにもアメリカ的と言えば言えなくもないですが、これくらいの荒治療でないと、タバコ(ニコチン)の魔力からは逃れなれないということでしょうか。

我が国では、「タバコは身体に悪い」と、もっぱら喫煙のデメリットを啓蒙していますが、それを承知しながら吸い続けるスモーカーが一向に減らないのはなぜでしょうか?

それは、タバコを吸っても、必ずしも直ちに健康を害するわけではないからです。

つまり、「いつか肺ガンになるかも知れないが、それはまだずっと先のことだし、それに皆が皆ガンになるわけではない」とお気楽に考えているからです。もっとも、これはごく自然な考えと言えるかも知れません。

行動分析学の基本理念は、「行動を規制しうるのは、その行動直後の結果次第である」ということに要約できます。

すなわち、タバコを吸ったとたんに、気分が悪くなったり、健康を害するようであれば、よほど重症のニコチン依存症患者でない限り、誰でもタバコを吸うのを止めるでしょう。

例えば、風邪をひいて、喉がイガイガして痛みを感じるような時は、喫煙者と言えどもさすがにタバコを吸う気にはならないでしょう。

無理してタバコを吸っても、すぐにゴホゴホと咳き込んだり、不快感に襲われるからです(ただし、風邪が治れば、すぐ元通りに吸い始めてしまうのが困りものですが)。

しかし、タバコを吸った20年後に肺ガンになるかも知れないという警告程度では、喫煙を止める大きな要因にはなり得ないのです。

嫌悪刺激や罰は、あくまで喫煙の直後に生じないと効果がないのです。

それに、こうした嫌悪刺激や罰を与える方法は、人道的な見地からも決して好ましい方法とは言えません。

結局、実験ならいざ知らず、日常生活ではほとんど現実的ではありません。

■最も効果的なのは、禁煙に「褒美」を与えること!?

 

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喫煙行動を消去する3番目の考え方は、減煙および禁煙行動に対してそれを強化する要因を与えることです。

分かりやすく言うと、何らかの「褒美」を与えることです。

例えば、喫煙を1本我慢する度に10円貯金するとか、です。

10円では金額が小さ過ぎると思えば、もっと多くしても良いでしょうが、その報酬は他から貰うのではなく、自分のお小遣いの中から捻出するということをお忘れなく。

つまり、毎日タバコ1箱吸う人は1日につき600円、1ヶ月で18,000円、1年では20万円以上の出費になるところを、禁煙によってタバコ代の出費を抑えて、その分自由に使えるお小遣いに回していこうという方法です。

仮に1箱20本入りで600円として、毎日20本吸えば600円の出費ですが、もし19本で納まれば、1本あたり30円を自分への褒美として積み立て貯金していくのです。

最初は、ごくごく小さな節約の成果と思うでしょうが、1ヵ月続ければ、900円になります。

節約の本数を毎日1本から2本、3本と増やしていけば、結構な金額になります。

一般の喫煙者にとって、いきなり「1本も吸わない」という禁煙は厳し過ぎて無理に思えても、「1、2本我慢するだけ」なら、続けやすいのではないでしょうか。

これを、「ちりも積もれば山となる」方式で地道に続けるのです。

そして、ある程度まとまって貯まったら、美味しいものを食べに行こうとか、旅行に行こうとか、その使い道を考える楽しみも味わえるでしょう。

人によっては、「喫煙したら1本につき100円の罰金を科す」といったペナルティーの手段を取る方が効果的かも知れませんが、絶えず誰かが監視するわけにもいかないでしょうから、あまり現実的とは言えません。

人間心理の面から考えても、目標達成に失敗したら「罰」が待っているというプレッシャーよりも、成功したら「褒美」が貰えるというポジティブ思考の方が、実際の成功率は高いですし、人道的にも好ましいと言えます。

もちろん、喫煙を我慢できたら、すなわち本当に減煙(節煙)したかどうかは、他人の監視によるものではなく、あくまで自分自身の自己申告に頼ることを前提とします。つまり、性善説に基づく自己管理です。

全然減煙していないにもかかわらず貯金するといったゴマカシは、良心に反する行為だということを自覚しなければなりません。

もっとも、その場合は自分のお小遣いが増えないだけですが。

こうすることで、上手くいけば、1日40~60本吸っていたタバコが、次第に本数が2割減から3割減、さらに5割減・・・と、漸次減っていくことが知られています。

そして、この減煙の過程を毎日グラフにして、見えるところに貼っておくと、さらに効果が高くなります。

このやり方は「減煙法」と言って、完全禁煙へのプロセスとして、かなり有力な方法として注目されています。

毎日40~60本吸っていたタバコを、明日からいきなりゼロにする「禁煙」に比べると、少しずつ減らしていく方が、ニコチンの禁断症状に伴うストレスやプレッシャーが少なく、誰にでも続けやすいという大きな利点があります。

こうした単純な方法でも、とりあえず試してみる価値はあると思いませんか?

どうやって、タバコを止められたか!

「禁煙はたやすいことだ。私はすでに何千回もやった・・・」という名言?というかジョークがあるほど、禁煙は始めるのは容易ですが、続けるのは非常に難しいとされています。

タバコを吸ったことのない身には、喫煙者の心理など分かるはずもありませんが、私の友人(男性)の、タバコにまつわる経験談を紹介したいと思います。時代は、かなり昔?の話になりますが・・・。以下、その友人の回想になります。

■タバコは、大人へのパスポート?

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「20歳になって、初めて吸ったタバコはハイライトでした。率直なところ、ほとんど上手いとは思えなかった印象が記憶に残っています。

やっと大人になったという、証みたいなものだったでしょうか。

もっとも、ハイライト、ピース、ホープなどの美味しさが分かるのは、かなりの喫煙「通」だということでした。

やがて、いつの間にか喫煙が日常的になって、ハイライト、ロングホープ、ショートホープ、ピース、セブンスター(今の若い人たちにはあまり馴染みがないでしょうね)などの国産タバコを始め、ダンヒル、ラーク、ケント、マールボロ、オールドスプレンダー、といった外国タバコなど幅広くいろいろな銘柄を吸って、自分の好みに合うものを探していました。

そうした中で、ピースはちょっとキツイし、ホープは確かに「タバコを吸っている」という味わいを感じられるほど美味しいのですが、たくさん吸うには少々ヘビーな気もしました。

当時はまだ円が安かったので、洋モクは高級タバコとして、国産の2倍くらいの高値だったので、そう度々は買えません。

結局、毎日1箱程度吸うのに手頃なタバコとしては、「セブンスター」に落ち着きました。

やがて、セブンスターのマイルド版として、国民的ベストセラーになった「マイルドセブン」が登場します。

適度な軽さと癖のない風味が、飽きが来ない最大の魅力かも知れません。その後長らくマイルドセブンを愛用することになりました。

ここまで書くと、年齢が分かってしまいそうですが、確かに昔に比べ、姿を消してしまった銘柄もあるのが惜しまれます。

■好みのタバコにも、こだわりがあった

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まあ、人の趣味嗜好は様々とは言え、現在販売されているタバコの種類は多数ありますが、風味の差が明確にあるようには思えません。

昔は、ライトタバコやメンソール系のタバコは、皆同じように思えたものですが・・・。

また、その頃から健康志向の風潮から、低タール・低ニコチンのいわゆるライトタバコが人気を集めるようになります。

しかし、それらは、個人的にはまったく口に合いませんでした。

何しろタバコの葉がよく詰まっておらずスカスカで、おまけに独特の癖のある風味で、なんとも不味い代物でしたから。

現在では、むしろライトタバコの方が全盛で、「~ライト」「~スーパーライト」etc…などと、皆見かけの健康志向に安心しているように思われますね。

ライトタバコだからと言って、健康に有害であることに変わりはないのに、です。

元来趣味嗜好にはこだわりのある私としては、せっかくタバコを吸うからには、それなりの吸い甲斐のある銘柄でないと満足感を味わえませんでした。

ライトタバコを口にすると、気持ちが悪くなり、1本吸い切れないほどです。

また、女性に人気のメンソール系も全くダメでした。禁煙するためのハッカパイプを咥えているのと同じだからです。

たまに、自分のタバコを切らして、友人に1本恵んでもらおうとする時、そのタバコが自分の嫌いな「チェリー」(独特の酸っぱ味があり、癖が強すぎて、好みが別れていたと思います)で、ひどくがっかりして遠慮せざるを得なかったこともしばしばありました。

どんなにタバコを吸いたい気分でも、好みでない銘柄のタバコは全く吸う気にはなれなかったのです。

「タバコなら何でもいい」という訳ではありませんでした。

次第に年齢を経るにつれ、より味わい深い銘柄を欲するようになり、いつの頃からかショートホープ党になり、そして、今からかなり以前に喫煙習慣が終わりました。

■経済的負担が禁煙につながる

タバコを止めたのは、「節約」のためというのが、直接的に大きなきっかけだったと思います。

決して高給取りではない我が身にとって、結婚して、子供が出来ると、何かと家計も大変になって、お小遣いも年々先細りになります。

節約するとすれば、飲み代、昼食代、缶コーヒー代、そしてタバコ代などを切り詰めるしかありません。

その頃のタバコ代は、セブンスターが1箱280円に、ショートホープが2箱300円(ショートホープは1箱10本入り)に値上がった時でした。

タバコの値段は、昔から幾度となく値上がりしてきましたから、結構な出費額です。1日300円としても、1ヵ月では9,000円になります。

1ヵ月の小遣いがわずか△万円というしがないサラリーマンにとっては、少しでも出費を抑える努力を強いられます。

もちろん家庭内では、喫煙は厳禁です。世の中には。部屋の外のベランダで吸う「ホタ族」なる哀しいお父さん連中もいましたが、私は、そこまでして吸う気にはなれませんでした。

結局、タバコ代を節約せざるを得なくなり、1日2箱だったのを2日で3箱へ、さらに2日で2箱、そして3日で2箱、というように徐々に吸う本数を削減していき、いつの間にか全然吸わなくなっても平気になっていました。

■いきなり禁煙ではなく、減煙から断煙へ

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おそらく、私の場合、ニコチンの依存度があまり大したものではなかったのでしょう。

アルコールの場合、体質によって強い、弱いの個人差があるのと同様に、タバコの場合も強い、弱いの差が影響するのかも知れません。

実際、タバコを全然受け付けない人もいれば、1日60~80本吸うヘビースモーカーもいるわけですから。

アルコール依存症の強い人は「アルコールなら何でもいい」と、酒がないときはエチルアルコールまで飲み干すというほどなので、タバコの場合も、銘柄にはこだわらず「吸えれば何でもいい」とまでになると、ニコチン依存の程度が相当進んでいると判断して良いでしょう。

結局、私の場合、いきなり断煙したのではなく、少しずつ喫煙本数を減らしていったのが功を奏して、結果的にいつの間にかゼロになっていました。

その間、吸いたい時はいつでも吸える環境にあったので、よけいなストレスやプレッシャーとは無縁でした。

だからこそ、逆に我慢しようと思えば我慢できたのでしょうね。

禁煙して何年経ったか、記憶も忘れがちになった今、紙巻きタバコや電子タバコを見ても、全く興味は感じませんね。」

以上。

 

いかがでしょうか。

そろそろ禁煙を考えている人達に、少しでも参考になれば、幸いです。