ダイエット成功に欠かせない「空腹軽減法」とは?

■肥満は、食べ過ぎよりも運動不足が大きな原因だった!

前回の「ダイエットは、なぜ難しいのか?」で、「ダイエットには、克服しなければならない3つの難問がある」と述べましたが、今回は、その中の第3「ダイエットを実施するためには、人間として最大の楽しみである食欲を抑制する必要がある。」について、紹介します。

一般に、医師からメタボリックシンドロームの警告を受けてダイエットを実施しなければならない人は、耐え難い厳しい食欲と戦わなければなりません。

そのために、ついついダイエットの継続が困難となってしまいがちです。

従って、食欲との戦いに耐えやすくする必要があり、その対策として、次の 3つが挙げられます。

1.運動することにより、大きなエネルギー貯蔵庫を持ち、空腹感を著しく小さくする。

2.食物摂取による空腹特性を理解して、利用する。

3.空腹状態の効用を熟知し、空腹感を健康のバロメーターとして利用する。

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肥満は、一般には食べ過ぎが原因であると言われています。

しかし、実際にはそうではなく、運動不足が大きな原因なのです。

なぜなら、肥満の人と普通の体格の人を比べ、食事量と運動量について調べると、食事量はほぼ同じでも、肥満の人は運動量のみ著しく少ないということが」分かったのです。

すなわち、肥満の人は、自分が肥満であることを自覚しているせいか、日頃からあまり食べ過ぎないように食事量のセーブを心掛けているケースが多いようなのです。

しかし、食事量は必ずしも多くはないにもかかわらず、それ以上に運動量が著しく少ないために、結果的に必要以上の食物を摂取していることになってしまい、肥満になるのです。このことは、ネズミの実験でも証明されています。

従って、肥満にならないようにするためには、食物を控えめに摂取するように気を付けるよ りも、運動を多くするように心掛ける方が効果的だということになるのです。

運動を積極的に行うことは、単に肥満の予防になるだけでなく、あらゆる内臓機能を向上させ、免疫力を高めるので、生活習慣病の予防になることはご存じの通りです。

運動習慣ができていないと、エネルギー貯蔵庫が形成されないので、空腹感が強く、食事の際、自ずと早食いになる傾向が強くなります。

これらを防ぐ手段として、通常の食事時間の約1時間前に、少しの飲食物を摂取しておくと、空腹感が弱まり、食事の際にも早食いや過食になりません。

約100kcalのジュースでも、激しい空腹感が抑えられます。

■空腹感こそ、健康のバロメーター!

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空腹感の効用を熟知することも重要です。

もし、「強い空腹感」が「体に悪い」と考えている人にとっては、空腹感は耐え難いものとなり、その反動として過食に陥りやすくなってしまいます。

逆に、空腹感は体にとって最高に良い状態であると理解できれば、空腹感が心地良いものに感じられます。

いわゆる「腹八分目」が体にとって最高に良い状態の継続であると自覚できれば、自ずとダイエットを実施しやすくなるはずです。

しかし、一般には、空腹感の素晴らしさについて、あまり理解されていないように思えます。

100歳以上の方の健康長寿の秘訣について、昔から示されている「3つの秘訣」があります。

すなわち、1.生き甲斐を持つ 、2.くよくよしない、 3.腹八分 です。

最後の3つ目の「腹八分」から、空腹感の大切さを理解して欲しいと思います。

私たちは、普段体調が悪ければ食欲がなく、空腹感がありません。

風邪気味のような場合、空腹感を感じたならば、もう風邪から回復しつつあると認識して良いでしょう。

つまり、空腹感は健康状態のバロメータと理解できるのです。

歯が痛い、喉が痛 い、頭が痛いなど、体の各所の不調も、心地良い空腹感が訪れれば、これらの痛みから解放されていることを表します。

そのために、これらの痛みに直面したら、薬を飲む前に、まずダイエット(減食)を始め、空腹感が発現するのを待つのが賢明です。

東洋医学と自然療法を探求し、ニンジン・リンゴジュースによる断食療法を指導している石原結實(いしはら ゆうみ博士の「食べない健康法」(2008年、東洋経済新報社刊)には、食べないことの効用として、 次のような効能が挙げられ、空腹が「万能薬」として理解されています。

1.老化防止になり、寿命が長くなる

2.がんの予防

3.免疫力の向上

4.加齢関連疾患の予防

5.心臓病に良い

6.炎症性疾患に良い

7.大・小便の排泄が良くなる

8.身体のだるさがとれる

9.頭脳が明晰になる

10.性欲が強くなる

11.ストレスに強くなる 

■ダイエットを無理なく成功させるには、少食の習慣を身に付けよう。

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また、生涯現役を貫き105歳で天寿を全うされた日野原重明聖路加国際病院名誉院長は、晩年、1日の平均摂取カロリーは1,300kcalで、朝食はジュース程度、昼は牛乳と数枚のビスケット、夕食のみ通常食とされていました。

高齢者の1日に必要なカロリーは、通常1,500kcal と言われているので、その値よりも少ないので驚かされます。

さらに、睡眠は1日6時間弱で、本の執筆のために土曜日は時々徹夜をすると語っておられたので、驚嘆します。

石原結實および日野原重明の両氏の著書から、 少食健康法の素晴らしさが理解され、ダイエットの実施は、健康維持に大変良いと理解すれば、ダイエットの空腹感が苦痛でなく、心地よい刺激となり、空腹の苦しさを軽減できます。

イスラム教の行事である「ラマダン」は、約1ヵ月間、日の出から日没までの時間絶食するものです。

イスラム教徒に「なぜ断食をするのか」と尋ねる と、「断食をすることで豊かな人々も空腹感を知り、貧しい人々の辛い思いを共有するため」とか、「空腹や喉の渇きを味わうことで、 死すべき人間の運命を実感し、信仰を新たにする」というような説明を受けることが多いようです。

宗教行事として、空腹の大切さ、ダイエットの大切さを教えるものと理解できますね。

宗派に関係なく、「ダイエット=腹八分」と理解すれば、健康のためのベストコンディションとして、常に軽い空腹を感じる状態を保つことが習慣化できるでしょう。

ダイエットは、なぜ難しいのか?

■今や肥満は、世界中の問題となって いる。

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米国の環境団体「ワールドウォッチ研究所」が、 国連や各国の研究機関の資料をもとに発表したレポート「Vital Signs Online(地球環境データブック・オンライン)」では、「世界の肥満成人数(BMI=体格指数が、25以上)は、2002年の14億5,000万人から2010年には25%増加して、19億3,400万人に跳ね上がった」と報告しています。

さらに、世界肥満連合(WOF)によると、2016年の時点で、BMIが25以上30未満の過体重の成人の数は世界で13億700万人、BMIが30以上の肥満の成人の数は6億7,100万人に上るそうです。

世界中が否応なく肥満蔓延への道を突き進むことが、ますます懸念されます。

以前は、欧米社会のものと思われていた肥満の問題が、今日ではグローバルに広がっており、その傾向はさらに強まるだろうということが明らかになったのです。

とりわけ目立つのは、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)だそうです。

有効な対策をしないでいると、2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満になる可能性があり、内3分の1はBMIが35以上で、医学的な介入が必要な高度な肥満ということです。

肥満や過体重の原因は、食べ過ぎや運動不足、睡眠不足や睡眠の質の低下、生活リズムの乱れ、過剰なストレスなど、不健康な生活スタイルが続くことです。

食事で摂取したカロリーが、消費するカロリーを上回ると、体重が増えるわけで、摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスは、日本を含む世界中で問題になっています。

世界で共通して見られる、肥満になりやすい生活スタイルは以下の通りです。

・脂肪や糖質の多い、エネルギー密度の高い食品を摂り過ぎている。

・運動不足が増えている。座ったまま過ごす時間の多い形態の仕事が増え、また乗用車などの交通手段が発達し、都市化も進んでおり、体を動かす機会が減っている。

■ダイエットの難しい点とは?

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1980 年にワシントン・ポストが実施した調査では、米国では過去70 年間で2万6,000 件のダイエットの方法が発表され、それらの方法で成功したのは200人中10人に過ぎませんでした。

そのわずかな成功者も、減量体重を維持できた人は 1人だけで、最終的成功者は0.5%に過ぎません。

ダイエットは国際的に重大な問題ですが、ダイエットの本質には不明な部分が多いため、最終的な成功への道も明らかになっていません。

一般的に、ダイエットには、次のように、克服しなければならない3つの難問があると言われます。

1.リバウンドを含めた、3種類の体重の大きな変化。

2.減量を達成しても、ほとんどの人は元の体重に戻ってしまう。

3.ダイエットを実施するためには、人間として最大の楽しみである「食欲」を抑制する必要がある。

上記第 1 の 、3種類の体重の大きな変化」とは、以下の通りです。

①減食を開始すると、体重が直ちに極端に減量する。

②減食を終了すると、体重が逆に極端に増量する。

③食事の摂取量および運動量が同じ、すなわち エネルギーの摂取量と消費量が一定なのに、体重が変化する。

スポーツ科学では理解できない 「体重の不思議」とは、この時の極端に大きな 変化のことなのです。

ダイエットは、「食欲抑制」という困難に挑戦することですが、3種類の大きな変動のために混乱して、多くの人はダイエットの途中で諦めてしまいます。

その上、この混乱を乗り越えて減量を達成しても、体重が元に戻ってしまうために、減量した体重を維持するという最終的な成功が非常に困難になります。

■体重の大きな変化とは何か?

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ダイエットを開始すると、①のダイエット開始時の大きな変化が現れます。

これは主として、食物の摂取量の減少に伴い、体内で必要な水分や消化液量が減少することによるものです。

前述した 3 種の大きな変化のうち、一般に知られているのは、② の「リバウンド」と呼ばれている、ダイエット終了時に現れる大きな変化です。

さらに、多くの人は、ダイエットを開始し、食欲と戦いながら減量に挑戦しますが、理解できない ③ の変化に混乱すると、知らない間に再び食物摂取量が増加してしまいます。

その結果、大きな増量となって、ショックを受け、減量の挑戦を断念してしまうことになるのです。

食事の量、運動量が同じ、すなわち、エネルギ ーの摂取量と消費量が一定なのに、体重が 2kg 以上も変化する「体重の不思議」とは、心の状態や体の状態の特別大きな変化に関連しているだろうと推測できます。

例えば、体重が軽ければ、心身共に軽快に感じ、運動や仕事も活発に行えるでしょう。

逆に、体重がいつもより重い状態では、調子も今一つで、仕事を始め何をするにも注意が必要になります。

また、 体重が 1.0~1.5kg 重い場合には、体に何らかの不調を自覚しやすくなり、食欲も低下し、食べる量が少なくなるでしょう。

■減量達成後、なぜ元の体重に戻ってしまうのか?

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第2についてですが、減量達成後、体重はなぜダイエット前の状態に 戻ってしまうのでしょうか?

その理由は、食物を摂取する際のエネルギー貯蔵庫の大きさと関係しています。

エネルギー貯蔵庫とは、グリコーゲン貯蔵庫である筋グリコーゲンと肝グリコーゲンの貯蔵庫のことです。

日頃、運動を心がけている人は、体に大きな運動エネルギー貯蔵庫が形成されているのです。

この貯蔵庫が大きい人は、食物を摂取しても、そのエネルギーを直ちに脂肪として貯蔵する前に、運動エネルギー貯蔵庫に保管します。

つまり、日頃運動を心がけている人は、エネルギー貯蔵庫の筋グリコーゲンと肝グリコーゲンの貯蔵量が多いのです。

しかし、日頃運動しない人は、この貯蔵庫の必要性があまりないので、運動エネルギー貯蔵庫が小さいのです。

このために、摂取した食物の大部分のエネルギーは運動エネルギー貯蔵庫ではなく、脂肪組織へ貯蔵されることになります。

ダイエットの必要な人は、 スポーツマンと比べ、特に筋グリコーゲン貯蔵庫 が著しく小さいのです。

食後短時間で、これらの 小さい貯蔵庫は一杯になり、余分なエネルギーは脂肪組織へ貯蔵されることになります。

一方、ス ポーツマンは、これら筋グリコーゲンと肝グリコーゲンの貯蔵庫が大きいので、食後それぞれに供給され、脂肪組織へは貯蔵されま せん。

すなわち、肥満になる心配はないのです。

ダイエットの必要な人が、ダイエットを実施し、 減量達成後、なぜ元の体重に戻ってしまうのか、それは、ダイエットの必要な人は、通常、運動習慣がなく、大きな運動エネルギー貯蔵庫を形成していないからです。

運動習慣が形成できれば、筋グリコーゲン量と肝グリコーゲン量が多くなり、飢餓のような空腹感はなくなります。

すると、肥満の人のように早食いすることがなくなり、食べ過ぎることがなく、ま た、多く食べても脂肪にならず、グリコーゲンとして貯蔵されます。

運動しなくなると、食べる量はやや少なめになりますが、グリコーゲン貯蔵庫が著しく小さくなるので、余ったエネルギーは脂肪として貯蔵されることになって、肥満になるのです。

スポーツマンが運動を止めると肥満になるのは、そのためです。

 

(続く)

 

行動分析学の理論で、喫煙行動を消去するには?

■禁煙を成功させるのは、とっても難しい!

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わが国で、現在法律で認められているものの、けっして望ましくない行動の最たるものとして、「喫煙」が挙げられるでしょう。

この、医学的にも社会的にも極めて望ましくない「喫煙」行動を消去するにはどうしたらよいでしょうか?

ニコチン依存症の治療や禁煙を成功させるために、世界中の医学・生理学・心理学などの専門家たちが、様々に試行錯誤しながら効果的な対策に取り組んでいます。

けれども、残念ながら未だ、決定的な禁煙方法は確立していません。

もし、確立に成功したら、それこそ「ノーベル賞」ものでしょう。

それほどまでに、タバコの魔力は一筋縄ではいかないほど恐ろしいのです。

現在行われている禁煙アプローチの主流となっている行動療法の基礎理論となっているのが行動主義の心理学、すなわち「行動分析学」です。

今回は、その行動分析学の立場から取り組まれている禁煙への方法論について、少し紹介しようと思います。

行動分析学とは、環境を操作することで行動がどの程度変容したかを記録することによって、行動の「原理」や「法則」を導き出すもので、これにより、行動の「予測」と「制御」が可能になるという考え方です。

その成果は、人間や動物の様々な問題行動の解決に応用されています。

禁煙への方法論として、行動分析学の観点からは、やや専門的になりますが、次の3点が考えられています。

①「喫煙」を強化している要因を取り除く。
②「喫煙」に対して、嫌悪刺激または罰を与え、強制的に止めさせる。
③「喫煙」を我慢すること(すなわち禁煙もしくは減煙)に対して、それを大いに助長させるような効果的な要因を積極的に与える。

まず、1番目についてですが、一般的に喫煙常習者は、喫煙の「メリット?」として、「嫌なことやイライラが募った時に、一服するとホットした気分になり、ストレス解消になる・・・」とか「肥満予防になる」などといったことを挙げます。

実は、これらは全て錯覚(*参照)なのですが、喫煙常習者はそもそも喫煙が日常の生活習慣となってしまっており、その大きな要因となっているのが「ニコチン依存症」(医学的には「病気」と見なされています)です。

このニコチンを取り除くのは、タバコときっぱり縁を切るしかないわけで、また生活習慣を改めることも「言うは易く、するは難し」で、なかなか容易ではありません。

従って、①の方法は、現実的にはかなり実現困難でしょう。

*一服して、すーっと気分が安らぐような感じがするのは、軽度の一酸化炭素中毒症状の表れです。また、「タバコを止めたら太った」のは、そもそも喫煙によって阻害されていた食欲が正常に戻ったためで、むしろ食欲が出て、健康な状態になったと喜ぶべきです。太るのは、タバコを止めたからではなく、運動不足など別の原因によるものであることをお忘れなく!

■喫煙に対して、嫌悪刺激または罰を与える

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喫煙行動を消去する2番目の考え方は、喫煙に対して嫌悪刺激または罰を与える方法です。

やや昔になりますが、アメリカの研究実験では、タバコを吸う度に軽い電気ショックを与えたり、本人の嫌いなタバコの銘柄を強制的に吸わせたり、タバコを長時間連続的に吸わせて気持ち悪くさせたりして、喫煙そのものに嫌悪感を植え付けることを狙いとした処方が行われてきました。

いかにもアメリカ的と言えば言えなくもないですが、これくらいの荒治療でないと、タバコ(ニコチン)の魔力からは逃れなれないということでしょうか。

我が国では、「タバコは身体に悪い」と、もっぱら喫煙のデメリットを啓蒙していますが、それを承知しながら吸い続けるスモーカーが一向に減らないのはなぜでしょうか?

それは、タバコを吸っても、必ずしも直ちに健康を害するわけではないからです。

つまり、「いつか肺ガンになるかも知れないが、それはまだずっと先のことだし、それに皆が皆ガンになるわけではない」とお気楽に考えているからです。もっとも、これはごく自然な考えと言えるかも知れません。

行動分析学の基本理念は、「行動を規制しうるのは、その行動直後の結果次第である」ということに要約できます。

すなわち、タバコを吸ったとたんに、気分が悪くなったり、健康を害するようであれば、よほど重症のニコチン依存症患者でない限り、誰でもタバコを吸うのを止めるでしょう。

例えば、風邪をひいて、喉がイガイガして痛みを感じるような時は、喫煙者と言えどもさすがにタバコを吸う気にはならないでしょう。

無理してタバコを吸っても、すぐにゴホゴホと咳き込んだり、不快感に襲われるからです(ただし、風邪が治れば、すぐ元通りに吸い始めてしまうのが困りものですが)。

しかし、タバコを吸った20年後に肺ガンになるかも知れないという警告程度では、喫煙を止める大きな要因にはなり得ないのです。

嫌悪刺激や罰は、あくまで喫煙の直後に生じないと効果がないのです。

それに、こうした嫌悪刺激や罰を与える方法は、人道的な見地からも決して好ましい方法とは言えません。

結局、実験ならいざ知らず、日常生活ではほとんど現実的ではありません。

■最も効果的なのは、禁煙に「褒美」を与えること!?

 

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喫煙行動を消去する3番目の考え方は、減煙および禁煙行動に対してそれを強化する要因を与えることです。

分かりやすく言うと、何らかの「褒美」を与えることです。

例えば、喫煙を1本我慢する度に10円貯金するとか、です。

10円では金額が小さ過ぎると思えば、もっと多くしても良いでしょうが、その報酬は他から貰うのではなく、自分のお小遣いの中から捻出するということをお忘れなく。

つまり、毎日タバコ1箱吸う人は1日につき600円、1ヶ月で18,000円、1年では20万円以上の出費になるところを、禁煙によってタバコ代の出費を抑えて、その分自由に使えるお小遣いに回していこうという方法です。

仮に1箱20本入りで600円として、毎日20本吸えば600円の出費ですが、もし19本で納まれば、1本あたり30円を自分への褒美として積み立て貯金していくのです。

最初は、ごくごく小さな節約の成果と思うでしょうが、1ヵ月続ければ、900円になります。

節約の本数を毎日1本から2本、3本と増やしていけば、結構な金額になります。

一般の喫煙者にとって、いきなり「1本も吸わない」という禁煙は厳し過ぎて無理に思えても、「1、2本我慢するだけ」なら、続けやすいのではないでしょうか。

これを、「ちりも積もれば山となる」方式で地道に続けるのです。

そして、ある程度まとまって貯まったら、美味しいものを食べに行こうとか、旅行に行こうとか、その使い道を考える楽しみも味わえるでしょう。

人によっては、「喫煙したら1本につき100円の罰金を科す」といったペナルティーの手段を取る方が効果的かも知れませんが、絶えず誰かが監視するわけにもいかないでしょうから、あまり現実的とは言えません。

人間心理の面から考えても、目標達成に失敗したら「罰」が待っているというプレッシャーよりも、成功したら「褒美」が貰えるというポジティブ思考の方が、実際の成功率は高いですし、人道的にも好ましいと言えます。

もちろん、喫煙を我慢できたら、すなわち本当に減煙(節煙)したかどうかは、他人の監視によるものではなく、あくまで自分自身の自己申告に頼ることを前提とします。つまり、性善説に基づく自己管理です。

全然減煙していないにもかかわらず貯金するといったゴマカシは、良心に反する行為だということを自覚しなければなりません。

もっとも、その場合は自分のお小遣いが増えないだけですが。

こうすることで、上手くいけば、1日40~60本吸っていたタバコが、次第に本数が2割減から3割減、さらに5割減・・・と、漸次減っていくことが知られています。

そして、この減煙の過程を毎日グラフにして、見えるところに貼っておくと、さらに効果が高くなります。

このやり方は「減煙法」と言って、完全禁煙へのプロセスとして、かなり有力な方法として注目されています。

毎日40~60本吸っていたタバコを、明日からいきなりゼロにする「禁煙」に比べると、少しずつ減らしていく方が、ニコチンの禁断症状に伴うストレスやプレッシャーが少なく、誰にでも続けやすいという大きな利点があります。

こうした単純な方法でも、とりあえず試してみる価値はあると思いませんか?

どうやって、タバコを止められたか!

「禁煙はたやすいことだ。私はすでに何千回もやった・・・」という名言?というかジョークがあるほど、禁煙は始めるのは容易ですが、続けるのは非常に難しいとされています。

タバコを吸ったことのない身には、喫煙者の心理など分かるはずもありませんが、私の友人(男性)の、タバコにまつわる経験談を紹介したいと思います。時代は、かなり昔?の話になりますが・・・。以下、その友人の回想になります。

■タバコは、大人へのパスポート?

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「20歳になって、初めて吸ったタバコはハイライトでした。率直なところ、ほとんど上手いとは思えなかった印象が記憶に残っています。

やっと大人になったという、証みたいなものだったでしょうか。

もっとも、ハイライト、ピース、ホープなどの美味しさが分かるのは、かなりの喫煙「通」だということでした。

やがて、いつの間にか喫煙が日常的になって、ハイライト、ロングホープ、ショートホープ、ピース、セブンスター(今の若い人たちにはあまり馴染みがないでしょうね)などの国産タバコを始め、ダンヒル、ラーク、ケント、マールボロ、オールドスプレンダー、といった外国タバコなど幅広くいろいろな銘柄を吸って、自分の好みに合うものを探していました。

そうした中で、ピースはちょっとキツイし、ホープは確かに「タバコを吸っている」という味わいを感じられるほど美味しいのですが、たくさん吸うには少々ヘビーな気もしました。

当時はまだ円が安かったので、洋モクは高級タバコとして、国産の2倍くらいの高値だったので、そう度々は買えません。

結局、毎日1箱程度吸うのに手頃なタバコとしては、「セブンスター」に落ち着きました。

やがて、セブンスターのマイルド版として、国民的ベストセラーになった「マイルドセブン」が登場します。

適度な軽さと癖のない風味が、飽きが来ない最大の魅力かも知れません。その後長らくマイルドセブンを愛用することになりました。

ここまで書くと、年齢が分かってしまいそうですが、確かに昔に比べ、姿を消してしまった銘柄もあるのが惜しまれます。

■好みのタバコにも、こだわりがあった

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まあ、人の趣味嗜好は様々とは言え、現在販売されているタバコの種類は多数ありますが、風味の差が明確にあるようには思えません。

昔は、ライトタバコやメンソール系のタバコは、皆同じように思えたものですが・・・。

また、その頃から健康志向の風潮から、低タール・低ニコチンのいわゆるライトタバコが人気を集めるようになります。

しかし、それらは、個人的にはまったく口に合いませんでした。

何しろタバコの葉がよく詰まっておらずスカスカで、おまけに独特の癖のある風味で、なんとも不味い代物でしたから。

現在では、むしろライトタバコの方が全盛で、「~ライト」「~スーパーライト」etc…などと、皆見かけの健康志向に安心しているように思われますね。

ライトタバコだからと言って、健康に有害であることに変わりはないのに、です。

元来趣味嗜好にはこだわりのある私としては、せっかくタバコを吸うからには、それなりの吸い甲斐のある銘柄でないと満足感を味わえませんでした。

ライトタバコを口にすると、気持ちが悪くなり、1本吸い切れないほどです。

また、女性に人気のメンソール系も全くダメでした。禁煙するためのハッカパイプを咥えているのと同じだからです。

たまに、自分のタバコを切らして、友人に1本恵んでもらおうとする時、そのタバコが自分の嫌いな「チェリー」(独特の酸っぱ味があり、癖が強すぎて、好みが別れていたと思います)で、ひどくがっかりして遠慮せざるを得なかったこともしばしばありました。

どんなにタバコを吸いたい気分でも、好みでない銘柄のタバコは全く吸う気にはなれなかったのです。

「タバコなら何でもいい」という訳ではありませんでした。

次第に年齢を経るにつれ、より味わい深い銘柄を欲するようになり、いつの頃からかショートホープ党になり、そして、今からかなり以前に喫煙習慣が終わりました。

■経済的負担が禁煙につながる

タバコを止めたのは、「節約」のためというのが、直接的に大きなきっかけだったと思います。

決して高給取りではない我が身にとって、結婚して、子供が出来ると、何かと家計も大変になって、お小遣いも年々先細りになります。

節約するとすれば、飲み代、昼食代、缶コーヒー代、そしてタバコ代などを切り詰めるしかありません。

その頃のタバコ代は、セブンスターが1箱280円に、ショートホープが2箱300円(ショートホープは1箱10本入り)に値上がった時でした。

タバコの値段は、昔から幾度となく値上がりしてきましたから、結構な出費額です。1日300円としても、1ヵ月では9,000円になります。

1ヵ月の小遣いがわずか△万円というしがないサラリーマンにとっては、少しでも出費を抑える努力を強いられます。

もちろん家庭内では、喫煙は厳禁です。世の中には。部屋の外のベランダで吸う「ホタ族」なる哀しいお父さん連中もいましたが、私は、そこまでして吸う気にはなれませんでした。

結局、タバコ代を節約せざるを得なくなり、1日2箱だったのを2日で3箱へ、さらに2日で2箱、そして3日で2箱、というように徐々に吸う本数を削減していき、いつの間にか全然吸わなくなっても平気になっていました。

■いきなり禁煙ではなく、減煙から断煙へ

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おそらく、私の場合、ニコチンの依存度があまり大したものではなかったのでしょう。

アルコールの場合、体質によって強い、弱いの個人差があるのと同様に、タバコの場合も強い、弱いの差が影響するのかも知れません。

実際、タバコを全然受け付けない人もいれば、1日60~80本吸うヘビースモーカーもいるわけですから。

アルコール依存症の強い人は「アルコールなら何でもいい」と、酒がないときはエチルアルコールまで飲み干すというほどなので、タバコの場合も、銘柄にはこだわらず「吸えれば何でもいい」とまでになると、ニコチン依存の程度が相当進んでいると判断して良いでしょう。

結局、私の場合、いきなり断煙したのではなく、少しずつ喫煙本数を減らしていったのが功を奏して、結果的にいつの間にかゼロになっていました。

その間、吸いたい時はいつでも吸える環境にあったので、よけいなストレスやプレッシャーとは無縁でした。

だからこそ、逆に我慢しようと思えば我慢できたのでしょうね。

禁煙して何年経ったか、記憶も忘れがちになった今、紙巻きタバコや電子タバコを見ても、全く興味は感じませんね。」

以上。

 

いかがでしょうか。

そろそろ禁煙を考えている人達に、少しでも参考になれば、幸いです。

 

 

 

冷え症には、足と手のマッサージが効く!②ー手のマッサージ 

冷え症を抜本的に改善するには、血液が体内の隅々まで順調に巡るように体質改善を図る必要がありますが、それには相応の時間がかかります。

そこで、すぐにでも辛い手や足の冷えを解消する即効性のある手段が、手足をマッサージして、血行を良くすることです。

そこで、今回は、冷え症に効く手のマッサージ、さらに便利なマッサージ機などについて、お伝えします。

■冷え症改善に効果がある手のマッサージ

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手が冷える原因は、自律神経の乱れなどにより、体に行き渡る血液の量が少なくなってしまい、手や足など末端にまで血液の流れが行き渡りにくくなったことで、結果として、冷え症になってしまうのです。

冷えてしまった手を温めるには、血行を良くすることが最善策です。

そのためには、手を動かすことです。効果的な手の動かし方はいくつかありますが、一番手軽に始められるのが、マッサージです。

まず、両手をよく揉み合わせる「手揉み」から始めましょう。

この時、ハンドクリームを使うとより滑りが良く、お気に入りの香りのものであればリラックス効果も期待できます。

・ 冷えを解消するハンドマッサージ

1:ハンドクリームを手にの伸ばす。

2:指の側面をさする。

3:指をらせんを描くように揉む。

4:手の甲をさする。

5:手の平をさする。

6:手のストレッチをする。

・ツボ押しが効果的な、手の冷え取りマッサージ

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ツボ押しは、体がポカポカ温まってきて、血行を良くする効果があります。、

・手の甲側のツボ:陽池(ようち)

手首の付け根、真ん中ほどにあるツボです。

手を反らせて、シワになる部分の真ん中あたりにちょっと凹んだところがあるので、片方の手で挟むように持ち、親指で体の中心へ引き寄せるように押し、グリグリと回すように2~3分揉みます。

 これを、左右両方行います。

・手の平側のツボ:命門(めいもん)

小指の第二関節の真ん中にあるツボで、まずは強めに押し揉みしましょう。

何度も揉んでいるうちに、手足の末端がじんわりと温まってくることが実感できます。

このツボを刺激することで、血行促進効果が期待できます。

・手の平側のツボ:労宮(ろうきゅう)

手を軽く握った時に中指の先が当たる部分、親指の付け根と同じ高さにあります。

もう片方の手で挟むように手を持ち、親指の腹で押しましょう。

・指間穴(しかんけつ)・虎口(ここう)

親指の付け根の内側に虎口、そして人差し指から小指までのそれぞれの指の間の付け根に指間穴というツボがあります。

ツボの刺激の仕方は、単に指で押し込むよりも、親指と人差し指を使い、ツボをつまんで挟み込みます。

そして、少し力を入れて外側に向けて、引っ張って指を離します。

これを10回1セットで行い、そして反対側の手も同じようにツボを刺激しましょう。

・ツボ押しのポイント

ツボ押しは、冷たい手で行っても効果半減なので、まずは手を擦り合わせたり、マッサージして温めることから始めましょう。

手が温まってきたら、「ちょっと痛いけど気持ちいい」くらいの力加減でツボを刺激します。

力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸います。

大体1ヵ所につき10回ほど刺激すると、指先がじんわりと温かくなってきます。

温まり方がまだ物足りないという時は、もう少し回数をプラスしてみましょう。

刺激に対する最初の反応は個人差がありますが、刺激を繰り返していくうちに、刺激に対して反応しやすくなっていきます。

冷え症改善に、便利なマッサージ機の使い方

自分の手が届きにくいところでも楽にマッサージしたい時に、便利なのがマッサージ機です。

マッサージ機は、肩凝り・腰痛・ふくらはぎのむくみ・足裏の疲れなどを和らげるために、血流やリンパの流れを促すマッサージができる、忙しい現代人の強い味方です。

マッサージ機は、ツボやリンパを刺激してピンポイントで疲れを解消するものや、お風呂でも使用できるもの、全身をマッサージできるものと種類が様々あって、しかも日々進化しています。

・マッサージ機選びのポイント

マッサージ機は種類が豊富で、商品によって搭載されている機能も様々です。

自宅のみでの使用に適している大型のものもあれば、持ち運びできるほどの大きさのものもあります。

マッサージしたい場所や症状、価格によって選ぶべき機器の種類は異なるので、それぞれの特徴をあらかじめ十分把握しておくことが望まれます。

マッサージ機は、法律上「医療機器」に分類されているので、製造・販売は許可制となっています。

購入前に、許可取得済み製品かどうかを確認しましょう。

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・マッサージ機のタイプ

 ●フットマッサージャー:つま先やふくらはぎを覆う形状のマッサージ器で、足をほぐすことに特化しています。

フットマッサージャーには、大きく分けて2種類あります。

・エアーバッグに足を入れて、空気が入ったり抜けたりすることで、ふくらはぎに圧をかけるタイプ

ふくらはぎに圧がかかり、滞った水分を上へと押し上げていきます。

血流が良くなることで、足の凝りも改善され、質の良い睡眠をとることができます。

痛みもなく、心地良く行えるマッサージです。

・凸凹のローラーが回転することで、ふくらはぎをマッサージするタイプ

凸凹のローラーが回って、足の凝りをほぐしていきます。

また、足裏専用のタイプもあり、足の裏を刺激し、疲れやむくみを取ってくれます

●ネックマッサージャー:首を挟み込むタイプのマッサージ器で、肩や首、腰など、疲れを取りたい場所に当ててマッサージできるタイプです。

以前は、振動により筋肉をほぐすものが主流でしたが、最近ではもみ玉によるマッサージが受けられるタイプも登場しています。

●ハンディマッサージャー:手に持って使える小型のマッサージ器で、肩、背中、腰、足など、ほぐしたい部位にあてて使用します

●シートマッサージャー:座椅子の形状をしたマッサージ器で、首、肩、背中、腰など、広範囲をほぐすことができます。

●マッサージクッション クッション型のマッサージ器で、肩、背中、腰、足など、ほぐしたい部位にあてて使用します。大きさや形状は様々です。

その他、骨盤に巻きつける、頭にかぶる、目元を覆うなど、上記以外のタイプのマッサージ器もあります。

・マッサージ器とマッサージチェアの違いは?

マッサージチェアは、肩から腰、さらには脚や腕まで、ほぼ全身を座ったままでマッサージできる椅子型のマッサージ機です。

揉み玉やローラー、エアーバッグなどが搭載されており、本格的な全身のマッサージを求める方におすすめです。

ただし、全身を包み込んでくれる大きさと重量があり、設置するのに広いスペースが必要です、

大型で高価なマッサージチェアの方が性能面で勝りますが、マッサージ機は小型で安価なため、手軽に導入できます。

マッサージ機の正しい使い方

家庭用のマッサージ機は、あくまでその日の疲れを癒すためのものなので、プロが行うマッサージと違い、症状の根本的な解決にはなりません。

使用方法を間違えると、怪我につながる場合もあるので、正しい方法で使用しましょう。

マッサージ機には、15~20分を使用時間の目安にしているものがほとんどです。

これ以上同じ場所に使用し続けると揉み返しが起こったり、筋肉を傷つけてしまったりする恐れがあるので、長時間同じ場所に当てないように気を付けましょう。

無理に身体を押し付けようとすると、マッサージ機自体が壊れやすいのはもちろん、マッサージされている部分にもかえって負担がかかり、揉み返しや骨折などの原因となることもあります。

マッサージ機を使用する際は、自然に体を預ける程度の感覚で使用するようにしましょう。

疲労やストレスの多い現代社会で、次の日に疲れを持ち越さないためにも、お気に入りのマッサージ機を、一日の終わりのリラックスタイムに使用してみるのも良いでしょう。

 

いかがですか。

冷え症対策として、足や手のマッサージは即効性があるのが特徴です。

さらに、便利なマッサージ機を使えば、自らの手をあまり煩わせることなく、手軽にマッサージ効果を期待できます。

毎日、寝る前の習慣として、いろいろ試してみては、いかがでしょうか。

 

 

冷え症には、足と手のマッサージが効く!ー①足のマッサージ編 

冷え症を抜本的に改善するには、血行が順調に巡るように体質改善を図る必要がありますが、それには相応の時間がかかります。

そこで、すぐにでも辛い手や足の冷えを解消する即効性のある方法が、手足をマッサージして、血行を良くすることです。

そこで、今回は、冷え症に効く足のマッサージ、さらにマッサージオイルを使ったマッサージなどについて、お伝えします。

■冷え症改善に、足のマッサージで全身の血行を良くしよう。

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私たちの体が温かさを保てているのは、血液が熱を乗せて全身を巡っているからです。

けれども、様々な原因で血流が悪くなり血行不良になると、体の隅々の細胞まで必要な酸素や栄養素をしっかりと届けることができなかったり、老廃物を排出できずに体内に溜め込んでしまうこととなり、冷え症を始め、体の不調として様々な症状が表われてきます。

体の中でも特に冷えやすいのがで、血流が滞りやすいためです。

重力の関係で血液が溜まりやすい下半身は、重力に逆らって下から上に血液を送らなければならないため、他の場所よりも多くのエネルギーを必要とします。

けれども、足は心臓から最も離れているので、血行を促す心臓のポンプ作用の及ぶ力が弱く、血流の勢いが弱いため、第2の心臓といわれているふくらはぎの筋肉が心臓の代わりに血液を心臓へと戻す役割を担っています。

このため、運動不足などでふくらはぎの筋肉の機能が低下していたり、筋肉量が極端に少ないと、血液を心臓へ戻すことができず血行不良となり、足先が冷えたり、足がむくんでしまうようになるのです。

■全身の血行を良くするポイントは「足」にあり!

 太ももには全身の1/4の筋肉が集まっていることもあり、足は体内でも血流の多い部分です。

血流が多い上に滞りやすい足の血行を良くすることは、全身の血行促進にもつながり、冷え症改善に大きな効果を上げることになります。

足の血流を良くするために手軽にできるのが、マッサージです。

ここでは、足の血行促進に効果的で、簡単なマッサージ方法を紹介します。

・ふくらはぎのマッサージ

ふくらはぎ疲労していると、血流が悪くなり、水分が足に滞り、むくみから冷え症を引き起こしてしまいます。

ふくらはぎをマッサージするだけでも、血行はかなり良くなります。

血液を心臓に戻すのがポイントで、両手で足首を覆うように持ち、力を入れながらくるぶしからアキレス腱や膝に向かって、血液を上へ押し流すようにマッサージをします。

すると、滞っていた血液が循環し、冷えだけでなく、疲労解消、足の不快感やだるさ、むくみなどが改善されます。

ふくらはぎは疲労しやすい部分のため、できれば毎日、体が温まっているお風呂上がりに行うと効果的です。

・内もものマッサージ

 ふくらはぎに引き続き、膝上からももの付け根に向かって、マッサージをしていきましょう。

太ももを包むように、10分ほどさすって温めていきます。

次に、付け根に向かって、10分ほど掴み揉みしながら、マッサージしていきます。

足指のマッサージ

 足の裏を包み込むように両手で持ち、指先から付け根にかけて押しながら揉みほぐします。

次に、足指を1本ずつ根本から大きく回し、指と指を離すように前後に開いて揉みほぐします。

足指のマッサージが終わったら、手を添えて足首をぐるぐると回し、最後に足指をすべて持ち、外側と内側に曲げ伸ばします。

・足裏のマッサージ

 足の血行を良くし、足先の冷えを改善するには、足裏のツボを刺激するのも効果があります。

足裏には脂肪が少なく、熱さや冷たさがダイレクトに血管に伝わるため、足裏を温めるだけでも血行促進につながり、効率よく全身を温めることができます。

まず、座った状態で、左右どちらかの足をもう一方の足の太ももの上に置きます。

そして握り拳を作り、土踏まずの真ん中から拳の第二関節を使って円を描くようにこする感覚でマッサージしていきます。

この時、足裏の「湧泉(ゆうせん)」というツボをゆっくり押し上げるように3回程度押します。

位置は、土踏まずの前の方の中央にあって、足の指を曲げたときに最も凹む所です

このツボは、足の裏の「万能ツボ」とも言われ、代謝や血行の改善にも効果があります。

寝る前の足マッサージは、むくみ防止になる

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夜寝ている間に、足に水分が溜まると、自分の力では水分を押し上げることができないので、むくみやすく、ひいては冷え症につながります。

そのため、夜寝る前に足をマッサージするのは、血流を良くして、足に溜まった水分を押し上げるのに、とても効果的です

マッサージ後は、横になったままそのまま眠ることで、再度足に水分が滞るのを防ぎます。

また、お風呂に浸かりながら、足のマッサージをするのもよいでしょう。

足のトリートメント

お風呂上がりのボディケアのついでに、足のトリートメントも行いましょう。

トリートメントする際には、滑りの良いクリームや乳液などを使うと効果的です。

何も付けずに乾燥した肌の上からでは、指の滑りも悪く、肌に負担がかかりやすくなるからです。

・足のトリートメントの流れ

①手の平全体で優しく撫でるように、足先、足首から上に向かってクリームをなじませます。

②足の指の間に、手の指を入れ握手するようにして、ゆっくり足首を大きく左右に回します。

③そのまま、足を奥へ押してゆっくり5秒、手前に倒して5秒。

⑤片足ずつ、足首からやや圧をかけながら、ふくらはぎを通り、膝の裏の膝下リンパ節に流すようなイメージで動かします。

この時、足ツボも意識して押してみましょう。

冷え症に効くツボと言われる「三陰交(さんいんこう)」を息を吐きながら10秒間押した後、吸いながら10秒離します。

これを、3回程度繰り返します。

■マッサージオイルを使うと、さらにマッサージ効果が上がる。

クリームや乳液を使って足をトリートメントする他、マッサージオイルを使ったマッサージもおすすめです

マッサージオイルの選び方

 マッサージオイルは、植物性や動物性のもので自分の肌に合うものを選びましょう。

オリーブオイルであっても、純度の高いものであれば食用のものでもOKです。

アロマオイルは、香りによるリラックス効果もあるので、特におすすめです。

足のマッサージをする時、癒しの香りと保湿性のいいアロマオイルを使うと、リラックス&デトックス効果が増して、冷え症やむくみの改善に大きくプラスされます。

・アロマオイルの効果

アロマオイルには、抗酸化作用があり、保湿や肌のキメの改善、そして癒しの心理効果で気持ちを落ち着かせたり、スッキリさせたりと様々な効能があります。 

アロマオイルには、柑橘系・花のフローラル系・樹木系・ハーブ系・スパイス系などいろいな種類がありますが、組み合わせは何種類混ぜても大丈夫です。

また、アロマオイルによってそれぞれ効能も違うので、今必要な症状に合わせた効果のアロマオイルを混ぜるのがおすすめです。

冷え症におすすめのアロマオイルは?

  ・グレープフルーツ

 冷え・むくみ解消、血行促進、脂肪燃焼などに効果があります。

 ・レモン

 精神活性・気分高揚に効果があります。

レモングラス

 レモンより強めの香りを持っていて、代謝を上げて巡りの良い体を作り出すと同時に、精神的疲労を解消する効果もあります。

 ・スイートオレンジ

 冷え症改善、血行促進、リラックスなどに効果があります。

 ・ジンジャー

 冷え症改善、血流の活性化などに効果があります。

・マジョラム

 血行促進、肩こり、神経痛などに効果があります。

 ローズマリー

 心臓の拍動を強めるため、血行促進、冷え症改善、肩こりに効果があります。

 ・ジュニパーベリー

体を温め、冷えと余分な水分を取り除く効果があります。

・アロマオイルを使用する際の注意点

マッサージする時は、好みのアロマオイルを3種類くらい選び、水溶性ジェルなどに1滴ずつ混ぜて使います。

アロマオイルは、香りがキツかったり、皮膚への刺激が強いものもあるので、使う量はごく少量がおすすめです。

体質によってアロマオイルが合わない場合があるので、肌の弱い人は必ず使う前にパッチテストをするのがよ良いでしょう。

・皮膚刺激のあるアロマオイル

シナモン、ジンジャー、ブラックペッパー、ペパーミント、レモン

・敏感肌におすすめなアロマオイル

ラベンダー、ローズ

■冷え症や足のむくみを解消する、アロマオイルマッサージのやり方

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1.寝る前に行う

 体がリラックスしている入浴後が、オイルマッサージに適したタイミングです。

体が温まっているため、オイルの浸透性も良く、肌がスベスベになります。

2.手を清潔にする

 マッサージを行う時には、手を洗い、清潔な状態にします。

爪が伸びていると、肌を傷める原因になるので、きちんと切っておきましょう。

3.例:ふくらはぎのマッサージのやり方

①.片足ずつふくらはぎ全体にオイルを塗り、足の前面のつけ根から甲に向かってマッサージしていきます。

力を加えずに、やさしく両手を移動させるのがポイントです。

②.足の甲までマッサージしたら、今度は足の背面を両手で包み込むようにして、足首から膝に向かってふくらはぎの内側を、親指を滑らせながら軽く押したり揉みながらマッサージしていきます。

③.次に、足の指を1本ずつ指のつけ根から指先に向かって、らせんを描くように親指を回しながらマッサージします。

④.③と同様のマッサージの仕方で、今度は親指を交互に動かしながら足の裏をマッサージします。 

4.マッサージが終わった後のケア

 マッサージ後は、オイルを拭き取らずにそのまま床につきましょう。

眠っている間にオイルが浸透するので、朝目覚める頃にはスベスベ肌に。ただし、ベタつきが気になるようなら、ティッシュペーパーなどで軽く押さえて余分な油をふき取りましょう。

香りのあるオイルを使うことで、肉体的な緩和だけでなく、精神的なリラクゼーション効果も期待できます。

 

 

血液型で性格はわからない!?

日本の若者、特に女性は心理学がとてもお好きなようです。

大学で心理学を学ぶ学生の動機について調べると、「他人の性格や自分の性格を知りたい」とか、「悩みの解決の仕方や心の仕組みを知りたい」といった理由が多くあったそうです。

日常生活における対人関係や、身近な友人や家族とのコミュニケーションを上手くやっていくためにはどうしたらよいかを、臨床心理に求める学生も少なくないようです。

皆さんは、「心理学」というと、どんなことをイメージしますか?

多くの人は、心理テストとか、占いとか、メンタルヘルスなどを想像するかと思います。

中には、心理学を学んで、人の心を読めるようになりたい・・・とか思う人もいるでしょう。

ひと口に「心理学」と言っても、そのカバーする分野は非常に多岐にわたります。

まず、「基礎心理学」と言って、科学的経験主義の立場から観察・実験・調査等の方法によって、一般法則の探求を推し進めるものがあります。

そして、その各論には、一般心理学(標準心理学)、知覚心理学認知心理学学習心理学発達心理学 乳幼児心理学、児童心理学、青年心理学、老年心理学、人格心理学、社会心理学、比較心理学、深層心理学言語心理学、軽量心理学、数理心理学、などがあります。

そして、基礎心理学の知見を活かして、現実生活上の問題の解決や改善に寄与するのが「応用心理学」です。

各論には、臨床心理学教育心理学、学校心理学、産業心理学犯罪心理学家族心理学、スポーツ心理学、軍事心理学、環境心理学、災害心理学経済心理学、恋愛心理学、動物心理学、などがあります。

恋愛、スポーツ、犯罪、動物・・・といった、日常生活ではもちろん、小説やドラマで取り上げられるものも多くありますね。

■心理学を学んでも、人の心の中までは分からない?

しかしながら、心理学を勉強しても、人の心が理解できるようにはなりません。

心理学は、統計によって人の行動を分析する学問だからです。

残念なのは、わが国では「心理学部」や「心理学科」は文科系扱いです。

海外に比べると、今ひとつ、ポジションが低いように思われます。

心理学が科学として存在していくには、各々の仮説が実験等で検証されなければなりません。

その結果が単なる偶然でなく、統計的に相関関係が立証された時に、初めて正当な科学的理論として認められるからです。

その意味では、心理学は人文科学というより、自然科学といった方が良いでしょう。

世の中には、正当な理論と認められないにもかかわらず、一般大衆の間でまるでエセ宗教のごとく信仰されている社会風潮の一つに、いわゆる「血液型占い」正しくは「血液型別性格診断」があります。

「人間の持って生まれた性格は、血液型に影響を受けている」という理論に基づく「血液型別性格診断」では、「血液型が▢型の人間の性格は△△である~」と分類しています。

この血液型と性格との相関関係がブームになるくらい信望されているのは、後にも先にも日本だけというのが不思議な現象ですが・・・。

それだけ、日本人は何事にもレッテルを貼るのが好きなのでしょうか?
もっとも、血液型別の性格分析は、古代ギリシア・ローマ時代から研究されていました。

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■古代からあった「血液型別性格診断」のルーツ!?

例えば、ローマのガレノス(129年頃~ 199年)は、ヒポクラテス医学をベースに当時の医学をまとめ、人間の体液は血液を基本に「血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁」の4つから成り、そのバランスが崩れると病気になるという「四体液説」を継承し発展させました。

ガレノス以後、体液病理説(四体液説)は、西洋文化圏で行われたギリシャ・アラビア医学の基本を成しており、19世紀の病理解剖学の誕生まで支持されていました。

そして、それぞれの体液の過少と人間の気質には関係があると考えられていました。

次の解説は、12~13世紀のヨーロッパでベストセラーになった医学書サレルノ養生訓」などに見られる、各体液に関する典型的な気質・体質の考察です。

・黄胆汁質(胆汁質、en.Choleric)

荒々しい性格で熱血漢、短気で行動的、野心も強い。

気前がいいが傲慢で、意地悪で気難しい面もある。消化力が高く大食だが、やつれて見える。

脈が速く心臓に負担がかかる気質で、また張り切り過ぎて肝臓や腎疾患に陥りやすい。

黄色味がかかった熱く乾燥した肌をしており、硬くて水気に乏しい筋肉をしている。

・ 黒胆汁質(憂鬱質、en.Melancholic)

寡黙で頑固、孤独癖があり、運動も休養も社交も好まない。

強欲で倹約家、利己的で根に持つタイプ。神経質で自殺傾向がある。

注意深く明敏、勤勉で、一人で思索に耽ってばかりいる。

土気色で乾燥した冷たい皮膚をして、たいてい痩せている。脈は遅く耳は遠い。欠尿症で、食欲はあったりなかったりである。

黒胆汁は、主に悪いイメージを持たれ、狂気・精神錯乱と関連する体液と言われましたが、天才を生み出す体液だとも考えられました。

・多血質(en.Sanguine)

人柄は機嫌よく社交的で、ずうずうしいが気前もいい。

先のことは考えず、心変わりしやすい。

娯楽が好きで好色であり、教養とは無縁のタイプ。

体質は、筋肉質でたくましく、脈は規則的で皮膚はぬくもりと弾力があり、胃は丈夫で睡眠の悩みもない。

舌が乾きやすく、太りやすい。

風邪をひきやすく、関節炎のタイプで、頭痛や歯痛を伴うこともある。

この気質の良い状態が維持できれば、老いを寄せ付けないため長生きする。

・粘液質(en.Phlegmatic)

精神的に鈍く優柔不断で臆病だが、おだやかで公平、人を騙したりしない。

背は高くなく太っており、食べることが好きで運動や努力が嫌い。血の気のない皮膚の色で、肉質はやわらかく肌は湿っている。

脈は遅く弱く、胃弱で口臭がひどい。

貧血や腺病、鼻風邪やカタルに罹りやすく、耳鳴りや難聴になりやすい。また、粘液から逃れようとつばを吐く。

■血液型による性格判断は、単なる迷信に過ぎない?

現代から見ると、どうして?何を根拠にここまで言い切れるのかと、不思議なくらいユニークで面白いですね。

現代になっても、過去何度か、血液型と性格の相関について専門的な学術調査が行われましたが、いずれもその結果は統計的に有意な差が見られない、つまり従来言われているような性格の特徴と血液型との相関関係は「ない」ということなのです。

実際、A型にもずぼらな人はいるし、B型にも几帳面な人はいる、人は十人十色、百人いれば百通り、なのです。

そもそも、A、B、AB、Oの4タイプしかない血液型で1億2千の日本人を分類すると、約3千万の人が同じ性格だということになりますが、あまりにも大雑把すぎると思いませんか?

もちろん、当てはまる人も少なくないでしょうが、当てはまらない人もたくさんいるはずです。

たまたま身近にいる人が典型的なA型気質だからといって、「A型の人は皆そうなんだ」と早とちりするのだけは絶対に避けましょう。

日常生活でも、単なるイメージや思い込み、先入観だけで、結論づけしてしまうことのないように気をつけたいものです。

性格や行動の違いは、何も血液型によるものだけではないからです。

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■人は、生まれた後の環境による影響の方が大きい!?

人には、生まれつき備わっている生得的性質と、生後の環境によって醸成される後天的性質があります。

生まれつき変わらないと思われていた「性格」も人によっては、その後の環境の変化により変わっていく場合もあり得ます。「氏より育ち」なのです。

この考えが、行動主義の心理学、すなわち行動分析学の原点になります。

例えば、喫煙(または禁煙の達成率)にしても、少なくとも血液型などとはまったく因果関係がありません。

喫煙者は、生まれつきタバコが好きだったというよりも、周囲に喫煙者がいて(例えば親兄弟、友人など)、喫煙に対する興味を持ったり、喫煙を勧められたりといった環境による影響の方が大きいのではないでしょうか。

では、喫煙習慣を止めさせるには、どうしたらよいでしょうか?

その原理は明快です。

喫煙者に対して、喫煙すると直ちに不快感を覚えたり、不利益を被るといったマイナスの悪影響を実感させることが第一となります。

そして、最終的には、「タバコなんて、もう懲り懲りだ!」と悟らせることが目標となります。

このプロセスについては、詳しくは、また別の機会に・・・。

しかしながら、タバコを吸ったからといって、直ちに気分が悪くなるわけではなく、いわんやすぐにガンなどの病気になるわけではありません。

従って、禁煙を徹底させる一番の早道は、禁煙を法制化するか、従来の「有煙・火付け」タイプのタバコの価格を大幅に値上げする、ということになります。

将来に向けた国の財源を考慮する上でも、消費税よりも真っ先にタバコ税を上げるべきです。

通常なら欧米並みに一箱1,000円、いや一箱1万円にしても高過ぎことはないでしょう

 タバコ代の値上げは、昔から最も効果的な禁煙対策と言われています。

社会に多大の迷惑をかけている喫煙者に少しでも良心の呵責があるならば、きっぱり禁煙して公害の加害者たるを止めるか、月に何万円ものペナルティーを払い続けるかは当然やむを得ないと言うべきでしょう。